イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

戦術の書き方について:推測の方法論

個別戦術論に行く前に、Ver15.4で「試合前に判る要素」が明言されたのを受けて、スペック推測と行動について書いていきたいと思います。

 

・ スペックを推測するということ

大会ルールによると、流派知識を所持していないキャラが分かるのは「能力値」「漫画技能ではない肉体系技能」「【外観】が付いた特徴」です。

逆に言うと「肉体系漫画技能」「精神系技能」「【外観】の付いていない特徴」「動作」は推測するしかありません。

この時頼りにするのは、CP効率が導く「定番」でして、例えば「知力13なら先読みは16にするだろう」「身長180なら間合い系動作を取るだろう」「技能に20CP以上使っていれば、達人の指導をとっているだろう」という、ケース・バイ・ケースの経験知が積み重なって、スペック推測を可能にしているわけです。

これはとても重要で、相手のスペックが読めないからといって無難で消極的な選択肢ばかり取っていると、勝機を逸して相手にターンを明け渡す事が多いです。

例えば「相手は180未満だから、間合いを詰めても大損はないはず。フェイントが効いたから攻めよう」というのは推測を軸にした決め打ちなわけですが、ここでアウトファイトを過剰警戒して手を出さないのは、あまりにも消極的に過ぎます。

同時に無策に突っ込んでもカウンターを貰うゲームであり、攻めるタイミングと引くタイミングを図るべく、スペックの推測とそれに基づいた戦術の分岐というのは大事になるわけです。

 

・ 何を推測するべきか

基本編でも書きましたが、戦術の基本は「必要な物を、必要なだけ書く」ことです。

つまり、過剰な推測は過剰な記述を呼び、意図と異なる理解をされて負ける可能性を上昇させるわけです。

なので、必要最低限のスペック推測というものをしたい所です。

CP効率が厳密に決まっているゲームなので、単純な有利・不利だけで見れば、試合前に分かる状況からある程度のスペック推測は付きます。

 

具体的には

・ 身長180以上で主技能20以上なら、アウトファイト系動作は上げている

・ 柔軟があるなら関節対策はしている

・ 知力13以上で主技能が空手・柔道なら化勁を所持しており、受け回数が+1される

・ 知力13以上なら誘いを使ってくる

・ 主技能レベルからの受け数字推測

あたりが、ほぼ間違いのなく読め、戦術分岐に深く関わってくるスペック推測だといえます。

ここでスペックを推測できるからこそ、「誘いがあるなら全力防御は対策されるな」とか、「主技能空手21だから安易な攻めは止めよう」とか、具体的な戦術分岐を考えることが出来ます。

 

・ 見えない部分での罠

そのうえで、スペック推測が難しい部分や、あえてCP効率の悪いルートを取ることで、戦術の機能不全を狙う技術があります。

「推測させない」罠で一番解りやすく、対応がしにくく、機能するのは漫画系を用いたトラップです。

夢幻掌や空蝉、超跳躍などの、「相手が所持していた場合、個別に対策を考えなければいけない」データは軒並み不透明です。

例えば知力10でも空蝉を所持している可能性はあり、ということは「主技能18だから無条件な攻めをする」という選択肢は(空蝉不所持なら正解なのですが)悪手になってしまいます。

空蝉は知力や移動力、階級といった「見える」データとは一切関係ない部分から生えてくる「数字14を確保できる避け」なので、崩しきれていない状態でリターンを重視した攻めを打つことは、すなわちカウンターの的になる、ということです。

同様にして、遠距離戦になった時相手が夢幻掌を持っているなら待機は悪手ですし、超跳躍を持っているなら距離を離すのが悪手になります。

そして、それらは推測が困難です。

 

CP効率の悪いルートというのは例えば、知力13であえて先読みを12に抑えたりする行為です。

もしくは、本来なら移動力8が確保できない能力値から型派生でランニングをのばして、移動力8を確保するとかもそうです。

基本的に、スペック推測とは「相手が最善効率でキャラを作っている」ことを信頼して行うため、拍子取りのために先読みを12で止めている相手も、先読み16だと考えて能動防御の数字を考えることになります。

ということは、少なくとも一回触るまでは相手に見えている能動防御の数字は実測より1多くなり、消極的な選択肢を強いることが出来ます。

移動力に関して言えば、「移動力7なら完全背面距離2を取れば、取替されることはないだろう」という推測で全力移動背面取りを行い、推測値と実測値が異なった結果悪手になったりします。

武神降臨も長い時間遊ばれてきて、定番といえるスペックは的確に推測されるようになってきました。

勝つためには、定番の外側に出たり、相手が定番を推測していることを逆手に取って、戦術を誤作動させたりする行為は、普通に行われる時代だと感じています。

 

・ より良いスペック推測のために

では、勝つためにはどのようなスペック推測をするべきなのか。

一つは(何度も言っていますが)書き過ぎないことです。

書式と内容の吟味で、無理なく読める程度の文章量でも必要な情報を推測し、それに基づいて的確に機能する戦術は書けるはずです。

大抵の場合、「戦術をしっかり書こう」と考えるPLは文章が長くなりがちなので、書き終わった後に必ず「削る」時間を設け、自分の書いた文章を読み返すことが大事に為ります。

もし可能であれば、自分がGMになった場合そのスペック推測分岐でどれくらいの時間、労力が必要とされるのか、シミュレーションを行ってみるのもよいでしょう。

3分以内に相手のスペックを推測できない場合、その推測分岐は書きすぎです。

 

もう一つは。しっかり書くことです。

考え過ぎ・書き過ぎの害を今回は主に書きましたが、無論考えていないこと・書いていないことのほうが害は大きいです。

実際の試合や鍵を見返して、現行のルール下で強いスペックは何か、それに対向する手段はなにか、何が流行するのかについて考えるべきです。

そして、どうしたらそれをキャラに実装し、機能させられるかを考えるべきです。

必要なもの・不要なものを切り分け、加不足のない戦術記述・スペック推測を行うことが大事だといえます。

 

最後に大事なのは、開き直ることです。

これは自分の好みで都合よく流行を無視したり、特定行動へのアナを正当化することと同じではありません。

CPを割り振ってキャラを制作していくゲームである以上、特定の行動に対応できない状況は必ず生まれます。

仮にすべての状況に対応できるキャラが出来たとしても、それは「中途半端」なだけです。

その「中途半端さ」を的確に付けるキャラが出てきた瞬間に、全対応というのは机上の空論になってしまいますし、必ず出てきます。

その「特定状況への対応の無さ」を開き直り、ある種の確信を持って穴を開けておくことで、戦術にはブレがなくなります。

スペック推測で言えば、流派知識がなければ読めない部分は必ず出てきます。

それを把握した上で「読めないならしょうがない」と開き直れるまで、スペック推測を詰めたかどうか。

それが大事なのです。

(まあ3D6というランダマイザと、クリティカル/ファンブルの仕様、各種バッドステータスの強さから考えて割り切らないとやっていけないゲームですけどねMA+)