イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/07/07

GANGSTA:第1話『NAUGHTY BOYS』
薄汚い街で、薄汚いおじさんたちが、薄汚いチンピラどもを皆殺しにしたり、薄汚い能登麻美子を助けたりするアニメ。
『サムチャンやミチハチの頃の、スカしたマングローブが帰ってきたぜー!!!』という感じの、適度に薄汚く適度にオサレなアニメでございました。
薄汚くてオサレなアニメが大好きな身としては、とても有難い。

お話としてはドサンピン二人組の愉快な日常という感じで、愛とか真実とか正義とか、そういうものに一切興味のないコンパクトな展開。
『のさばってるチンピラ皆殺しにしてこい』という依頼が、パトカーに乗った警察からくるシーンは、世界を律する薄汚さを最高に表現する良いシーンでした。
ヒロイン役の能登麻美子もガチで前後する売女だしなぁ……加減がなくて、とっても良いです。

同時にただ薄汚いだけだと飲みきれないので、少しリリカルなスパイスを効かしてくれてるのも有り難い。
聴覚障害という主人公の属性を活かして、最後ヒロインを電話番に雇う締め方なぞ、良い短編を見たなぁという感慨にふけるのに十分。
依頼主に噛み付く所もツダケンの演技が冴え、野良犬の吠え声のような荒い迫力がありました。

主人公達が持ってるどっか抜けた空気が独特で、おじさん観察アニメとしても楽しめると思う。
同時に、その抜けた空気からサラッとメガヴァイオレンスぶっこむ落差がいい味になっています。
淡々としたおじさん主役のまんがタイムきららと、血だるま剣法パートで緩急つくのはいいね。


主人公たちの顔見世と、『タグ付き』の特別感説明っつう意味合いもあるんでしょうが、ヴァイオレンスは結構一方的。
こんだけ薄汚い世界だと、やられ役にもみっともない生き汚さを期待したくなりますが、かなり従順に殺されてました。
今後敵役にも『タグ付き』が出てきたら、ドッグ・イート・ドッグな血みどろバトルが見られるのかしら?

敵さんが『開襟シャツが制服なのかな?』と言いたくなるくらい同じ服装だったのも、ネームドの敵が出てきたらまた変わってくるだろう。
こういうろくでもない世界のお話は、外見でキャラが立ってる人格破綻者がドシドシ出てくれたほうが嬉しいので、ミチハチくらいビチッとキマった服装を希望。
……ミチハチは無理だな、毎回衣装違ったからなミチコ。

というわけで、『だいたいこういう作品』というのをしっかり見せてくれる、フックのある第一話でした。
ろくでもない世界で、セコセコおじさんたちが暴力を切り売りしたり、ゆるーい日常を送るのを楽しみたい層には最高のアニメです。
僕はドンピシャズバピタでそういう層なので、次回が非常に楽しみですね。
いやー、ろくでもねぇ。(褒め言葉

 

のんのんびより りぴーと:第1話『一年生になった』
穏やかな田舎の風景の中を、永遠に一年生を繰り返す少女れんげがループしていく、ノスタルジックSFの第一話。
というわけではなく、時間を巻き戻すことで原作で使ってないエピソードを発掘し、二期を保たせるという狙いの時間巻き戻しで、二度目ののんのんびよりだッ!
あらゆる時間がとても綺麗だったからこそ、それを繰り返しても見る価値があるというかなりの変化球だと思うな、時間巻き戻し。

セカンドシーズンの出だしということで、今回は徹底的にれんちょんにカメラを据え付け、多感で賢い六歳児が入学式というイベントをどう体験しているか、じっくりと見せる造りでした。
相変わらずれんちょんはエキセントリックで無垢で、素晴らしい六歳だった。
いろんなことに興味を持って、世界を楽しそうに経験している姿が活き活きしていて、『やっぱ……のんのんびよりは……エエなッ!!』という気分になった。

そんなれんげを見守る仲間たちもやはり気持ちのいい連中ばかりで、小気味いい掛け合いなどで細かい笑いを取りつつ、新しい学友を向かい入れていた。
人数が少ないので子供も駆り出されて入学式の準備をするわけだが、れんげの特別な時間を手際よく作り上げていく年長組は、いつもと違って頼もしく見えた。
これは多分、入学式に心躍りつつもどこか不安でもあるれんげが感じた気持ちとシンクロしているわけで、視聴者をれんげと同じ気持に連れて行く演出の妙味を感じる。
単純に、僕がれんちょんと仲間たちが好きすぎるだけかも知れん。
あと兄ちゃんの超人っぷりに加速度が付いてて、あの子が好きな僕としては嬉しい。

れんちょんにカメラが固定されることで、宮内家の日常がじっくり見られるのも、今回のいいところ。
れんげが日々を過ごしている宮内家が丁寧に描かれ、視聴者にとっても身近に感じられる効果が、良く出ていた。
いつもの学校組だけではなく、色々言いつつバス停まで送ってくれるひかねぇとか、マジ好き。


二期になっても背景美術の圧倒的な力は健在であり、『よく取材した』というレベルを打ち抜き、理想の田舎像として再構築された風景が素晴らしかった。
淀みのないクリアな色彩、広々とした空気感、流れる清らかな水。
『こうである』という実像ではなく、『こうあって欲しい』理想像を徹底的に切り取ってくることで、れんげたちを見守り、包み、育むこのアニメ最大のキャラクター『田舎』は一切のセリフ無しに、圧倒的なキャラ立ちを達成している。
そして場所でありキャラでもある田舎が魅力的であることが、このアニメが特別な理由の大きな部分を占めていると、僕は思う。

懐かしさを刺激する風景だけではなく、れんげの今を切り取る演出も優れていた。
特に無人の職員室に立ち込める埃と光は、そこが特別な空間であると無言のうちに雄弁に語っており、初めての学校にれんげが感じる期待と不安を静かに強調していた。
特別な服(これを『おーとくちゅーる』という言葉で印象的に見せたのは、その後の流れと相まってすっごく良かった)を着て、特別な歌を唄う入学式の光景も、静かな緊張感と優しさに満ちていて、胸を打たれました。

期待通りであり想像以上という、続編としてこれ以上望むもののない二期第一話だったと思います。
今回は詩情に重点した話でしたが、例えば子供たちの小さな成長であるとか、ドタバタした日常であるとか、別の見せ方でも面白いアニメだというのは、一期を見ていると判る所。
今回の仕上がりのままに、色んな顔を持った素晴らしい子供たちと、彼女たちを包み込む田舎の光景を、もっと見たいと思いました。
イヤー、マジ素晴らしい。

 

・ミリオンドール:第1話『在宅ヲタ VS 現場ヲタ』
アイドルアニメ飽和時代にブチ込まれた、コアでマニアックなアイドルヲタクアニメ。
青春の中でキラキラしないし、飲み込み易い学園モノパッケージでまとめもしない、原液マンマのドルヲタ汁をがぶ飲みさせるスタイルは、徹底的にストロングだ。
おまけに主人公二人はエゴを肥大させた最悪のヲタで、好きになれる要素は現状無い。
専門用語が飛び交いすぎるので、番組終わりにドルヲタ用語解説コーナーがあるというのは、親切なのか不親切なのか、もうよく判んねぇな。


お話としては軸が二つあり、在宅-ローカルユニットアイドルと現場-地下ソロアイドルを対比させながら進む感じか。
一つ問題があるとすれば、この二軸の問題設定、結構アイドルの知識がないとピンと来ない、コアなネタだってことだと思う。
視聴者の殆どは『在宅? 現場? ローカル? 地下? ユニット? ソロ? なにそれ』という人であり、そういう人な物語にすんなり入っていけるような、スムーズな導入ではけして無かった。
コレについていけない人は、最初から振り落としていくつもりなのか。

『アイドルも他のエンタテインメントと同じく、欲望を燃料にして走る』という、これまでのアイドルアニメが避けがちだった所を軸に据えたのは、なかなか面白い。
一話を見た限りだと、在宅代表のブロガー女も現場代表の認知厨も、ろくでもないエゴイズムがムンムン出てるもんな。
主人公たちをアイドル周辺の汚れの観察者にせず、当事者にしているのはなかなか良いと思う。

今のところドルヲタの汚い部分しか見えないけれども、それでもアイドルにしがみつく理由を見せてくれると、明暗が上手く付いていいかな。
ドルとドルヲタの地獄絵図を延々描いて、見れば見るほどイヤーな気持ちになる怪作アニメになってくれてもいいけどさ……WUGの三話までが一生続く感じか……やっぱ見ねぇなソレ。
キラキラに加工されたアイドル伝説ではなく、『リアル』なアイドルをやる! というのは、物語を語る立場の選択肢の一つであり、それ自体では価値も無価値も持たないと思う。
『リアル』なアイドルフィクションは数が少ないだけで、唯一ってわけでもないし。
泥から生えた蓮の綺麗さを見せるにしても、沼の深さに切り込んでいくにしても、何を見せるかという意識がハッキリしてくれていたほうが、無責任な視聴者としてはありがたいです。

現場と在宅の対立、ファン同士の対立というのも、あまり触って来なかった部分であり、上手く掘り下げると面白い気がする。
あと推しがメジャーになったら離れていく、コア層の面倒くせぇ心理とかも。
何分ニッチな(のに悪目立ちする)趣味のニッチな対立なので、すう子とリュウサンが何故いがみ合い、分かり合えないのかという部分を分かりやすく伝えてくれると、知識のない人も入りやすくなる。
そこら辺の敷居を下げるより、すでに知識を持っているコアな層をすくい取ること重点なのかなぁ。

握手会の描写とか、地下の湿った空気とか、細部に関しては結構生っぽくって良かった。
キラキラしたアイドルアニメがあえて切り捨ててる所をひっくり返して、カメラを突っ込んだ感じは好きだ。
生っぽいドルヲタ世界を見せられて楽しいかどうかってのは、また別の話だけどさ。

ドルヲタ大戦争のコマにされている二つのアイドルだが、主人公たちに比べると描写が薄め。
主人公たちの衝突に説得力を持たせるためには、彼らが推しているドルが何を目指し、何が人を引きつけるか描くことが大事だと思うので、今後ドルの描写も太くなっていくことを望む。
というか、エゴ剥き出しのドルヲタが肥大した自意識をブルブル揺らす様子だけでは、見ていて息苦しすぎる。
ので、アイドルがキラキラしてる部分もちょっとは欲しいかなぁ、と。
尺がないので、コンパクトかつインパクトの有る見せ方が必要になるけど。

お話の構造やキャラ回し以外の話をすると、正直作画も動画もよろしくないので、ビジュアルでフックするのは難しいと思う。
本来ならキメ所である3Dダンスシーンも違和感が表に立ってしまっていて、あまり機能してないし。
話で強く惹きつけられるならあまり気にならないと思うんだけど、現状作品紹介に手一杯って感じだしね。


尺が少ない上に物語の要素が多く、一般的ではない題材なので説明の方法も考えなくてはいけないという、なかなか難しい状況だとは思います。
単純に時間をメイン人数(ドルヲタ二人、推し二つ)で割っても、一つにかけられる時間はたったの二分だし、それに加えてアイドル業界・ドルヲタ業界の常識説明もしなきゃならんしね。
『別角度からアイドルに切り込んでみました!』で終わるのか、はたまた『別角度から切り込むことで、これまで捕まえられなかったアイドルの姿にクローズアップしました!』となるのか。
そこら辺はこれからのお話捌き次第だと思います。

色々言ってますが、自分の興味のあるジャンルでコアに掘り下げてくれる視点は貴重で、『これ、俺用のアニメだ!!』という興奮はある。
題材や視聴者に対する悪意も現状は感じないので、化ける素地はあると思っています。
とりあえず、なんか一本胸に突き刺さるエピソードが欲しいですね。