イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

スタミュ-高校星歌劇-:第5話感想

ミュージカルスターを目指す五人の夢物語、赤と青の攻略エピソードを経て五話目。
チョロ蔵共相手に稼いだ好感度をフルに活かし、チーム鳳が一つにまとまるまでのお話でした。
これまで話を牽引していた星谷を凹ませることで、周囲が彼を支えやすい状況を作り、真ん中に主人公が居座る理由をちゃんと描写したのが、とても良かった。
アバンで提示したチームリーダーをラストで回収する作りといい、的確な曲の使い方といい、今回の絵日ソードは切れ味があったなぁ。

星谷くんは素人ながら真っ直ぐなやつで、そのやる気でチーム鳳のメンバーをチョロチョロ転がして、ここまで話を引っ張ってきました。
素人要素も時に侮られ、時に補われつつ、一番カメラに映る時間が長い主人公が練習しまくることで、汗と涙の青春歌劇というジャンルに相応しい頑張りを強調してきた。
今回はそういう牽引力の強い主人公の素人っぷりが周りの足を引っ張る、正確には引っ張っていると思い込むことで話が凹み、これまで引っ張られる側だったチーム鳳が星谷を引っ張る側に回るという、逆転のお話。
こういうのは基本的な人間関係が構築されていないと面白く無い訳で、赤いのと青いのをコロコロ転がした甲斐があったというものです。

空閑くんの個別エピはまだ来ていないわけですが、細かく良いこと言わせたり、星谷を支えさせたりして存在感があるので、既に十分キャラが解っている状態。
今回も自分がミュージカルにかける理由を、凹んだ星谷のケアという形で開示してました。
『お母さんを笑わせるために、ミュージカルにのめり込んだ』って、"泣き虫サクラ"みたいだな、"餓狼伝"の……そのうち優しくしてきた星谷に『いらないッッ!! 与えるだけの愛ッ!!!』とか叫びながら襲いかかってほしい。(廃人化した空閑くんを星谷が背後から抱きしめるフラグ)
主人公に対して好意的なキャラは、やっぱり半自動的に視聴者の好感度も上がるなぁ。
その上で、寡黙なんだけど人間関係の視野が広く、的確な動きをする空閑くんはキャラが立っていて、専用エピがなくても存在感がある。
ノルマ的に個別エピを並べるのではなく、適度に見せ場を分散した上で進級テストという障害を早めに出す構成は、緊張感が途切れないので良いと思いますね。

お互いを認めない凸凹した状況から、主人公星谷がつなぎ役となってチームがゆるく結びつき、進級テストという試練を前に星谷が凹んで、それを補う形でチームがチームになる。
話が始まってから五話が過ぎ振り返ってみると、泥臭くオーソドックスな話運びながら、食べごたえのあるドラマが展開しているように思えます。
『とにかく前向き、ガンガン行動』という星谷のキャラクター性がお話を引っ張ってくれているので、停滞感が少ないんだな。

そんな彼らのランドマークとして、一つの歌を歌って〆たのは、ミュージカルアニメとしてとても良かった。
感情の起伏、お話しの盛り上がりにしっかりと寄り添った曲の使い方であり、アカペラ調に立ち上がる曲の雰囲気も最高にグッド。
劇が展開されている空間から切り離されたPV的使い方も悪くないんですが、やっぱりお話しの盛り上がりがそのまま曲に繋がるスムーズさは、ミュージカルの醍醐味だなぁ。

アバンでは『俺が俺が』と主張していたチーム鳳が、24分間の紆余曲折を経てラストカット、素人の星谷をリーダーとして認める流れも、今回のエピソードが何を見せたかったのか、非常に分かりやすい形で提示していて素晴らしかったです。
印象的なアイテムを使いこなしてお話を可視化するテクニックがあると、グッと演出の泥臭さが抜ける印象です。
全体的に、"スタミュ"らしからぬ(失礼!)、スマートなエピソードだったと思います。


チームが一丸となる上で良い仕事をしていたのが、ライバルのチーム柊。
彼らの優等生っぷり、『このままじゃ俺たち勝てないぜ!』というチーム鳳の焦りを視聴者に見せる上で、今回のダンスはとても良い仕事をしていました。
ぬるっと気持ち良い滑らかな動き、無駄のない群舞と鋭い表現力。
練習着の着崩し方で各キャラの個性をちゃんと見せていた所とか、動画以外の部分も良かった。

あれを見て星谷が凹むということは、素人なりにミュージカル学科合格というお話しの到達点を重く捉えていて、それに届かない自分が歯がゆい、情けないという感情あってのこと。
いろいろ尖った発言もするけど、少なくともチーム鳳にはミュージカルをナメてる奴はいなくて、キャラクターがお話しの中心にあるテーマを真剣に捉えてくれていると、やっぱり嬉しいものです。
あとま、チーム鳳内部での凸凹は五話にして使いきってしまった感じがあり、ライバルとの突っつき合いで話作るしかないってのもあるので、今回チーム柊が存在感を出したのは良かったですね。

そんなチーム柊の指導役である眼鏡ですが、メンター同士で思う存分キャイキャイしてた。
眼鏡が鳳さん好きすぎるだけかと思ったら、鳳さんも眼鏡の責任感を大事にした上で自由を与えてやりたいとか思っていて、相思相愛だった。
今回は練習風景が多かったので、鳳さんも目立っていて良かったですね。
今後チーム柊とバチバチする展開が増えると思うのですが、その上に立っている柊&鳳もどんどん自分を主張して、今回みたいな面白い掛け合いをしてほしいものです。

そんなわけで、お話を構成する要素が生き生きと躍動した、素晴らしいエピソードでした。
スタミュが持っている真っ直ぐでキラキラした青春の躍動が、いい方向に走りだした印象を受けます。
今回見せたスマートさを上手く継続してくれると、お話しの密度がより上がり、「フツーに面白い」以上の仕上がりが期待できる気がします。
スタミュ、更に面白くなってきました。