イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Go! プリンセスプリキュア:第40話『トワの決意! 空にかがやく希望の虹!』感想

お話しの大きなテーマを最高の形で描いた10代目プリキュア、今回はホープキングダム攻略戦・序章。
終盤戦は今回見せた定形を利用して進みますよ! というラインを引く回であり、兄妹揃った王族チームのモチベーションを整える回であり、一般国民代表クロロくんの禊をする回でもあった。
相変わらず一回の話で色々やるなぁ、プリプリは。

幼少期から離れ離れになっていたお兄様と再開し、いい塩梅にポンコツってたトワ様ですが、そういう時間は五分と持たない。
あっという間にヤバそうな茨に覆われた故郷を見せつけられ、黒い炎を胸に滾らせてました。
最終的には亡き父母から受け継いだノブレス・オブリージュを思い出して、ディスピアへの憎悪ではなく、王国復興という希望のために戦うルートに入り、修羅落ちを華麗に回避。
結構危ういところだったと思うのですが、そこら辺の心情変化を言葉ではなく表情一本で見せていたのは、なかなか表現力があって良かったですね。

プリキュアは世界最強の綺麗事アニメなので、敵憎しの感情でディスピアをボーボー燃やしても、国は帰って来ません。
なので希望に立ち戻り炎の城という橋頭堡をぶち上げる今回の流れは、『お約束』と言ってしまえばその通り。
城が復活するときの演出といい、トワの『炎』という属性を全面に打ち出した流れといい、なんかRPGのラスダン攻略っぽい話だったね、今回。

ただ、虹が空を守り花薫美しい国がグッチャグッチャにされ、両親と臣民が半死半生に追い込まれている状況への当然の怒りを、言及しないながらも感じさせる描写にしているのは、プリプリっぽいなぁと思います。
マイナスの感情をけして世界を作るのではなく、存在させた上でそれを巧くいなす方向で描写を作っていく感じというか。
そうすることで『お約束』が持っている茶番感を巧く消した上でベーシックな強さを最大限生かし、グッと視聴者の心に刺さるエピソードに仕上げているのは、特にここ最近のカナタエピで感じるところであります。


トワの決意に説得力をもたせていたのは、やはり頑是ないクロロくんの涙でして、ただただ美しかった王国の復興を求める幼い気持ちは、身勝手ながら純粋。
敵幹部になった理由が『そこにいたから』というあまりの残忍さひっくるめて、いい意味で子供代表のポジションに落ち着いた感じがあります。
ホープキングダムのファンシーな絵作りが巧く行っていること、妖精たちのキャフフがなんかすっごく幸せそうだったことも相まって、自分としては『この子のために頑張らにゃならん』という気になる、良いヒロインだと思います。
取り戻すべき平和、それを奪われて涙を流す子供がちゃんと書けると、それを取り戻すべく笑顔の仮面をかぶる王族の気高さも強調されて、非常にグッドね。

そういう意味では、他人の国を茨で埋め尽くしてふんぞり返るディスピア様の傲慢さも、いい仕事してた。
『もう既に終わった。全ては失われた』というトス上げは『私が、私達がホープキングダムだ!』というホープ兄妹のレスポンスを引き出す呼び水としてやっぱ良く出来ていて、悪役が迫力持って悪役を続けてくれるのはありがたい。
分霊である四足獣も貫禄十分の戦い方と、二足歩行では出来ない殺陣で存在感があり、非常に強そうでした。

とばっちりで異世界にぶっ飛ばされたユイちゃんは戦闘以外で大活躍……と思ったら、クロロくんは自分で戻ってきたのであった。
正直、あの辺りは色々持て余してる感じがあったが、非プリキュアの友人にしては存在感が消えないよなぁユイちゃん。
来週はこの追い込みの時間帯で個別エピを貰うようなので、プリキュアの語り部をどう魅力的に見せるか、今から楽しみであります。

というわけで、魔法の国を取り戻すべく、ノーブル・レジスタンスが決意を新たにする話でした。
ホープキングダム再興は異世界組の核になるモチベーションなわけで、今回在りし日の美しい姿と、ディスピアに踏みにじられた無残な現在を目に見える形で強調したのは、最終決戦が見えてきたこのタイミングに相応しい、良い補強だったと思います。
俺はプリプリが持っているお伽話感というか、普通のファンタジーっぽさを高いレベルで仕上げているビジュアルがかなり好きなんだなぁとか再確認したエピソードでした。
いいよなぁ……7つの虹が空を守り、王宮に集まる国とかさ……。(夢見がちな乙女アイ)