イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

K RETURN OF KINGS:第8話『Kaput』感想

ドレスデン石板という空疎を奪い合うアニメ、八話目は緑陣営大勝利と、青の株価が大暴落。
磐さんのモクモク戦術が見事にキマり、石板は奪われ宗像さんはフルボッコに。
イライラを猿比古にダイレクトボレーした結果、キレて緑陣営に行っちゃいましたとさ。
頑張りすぎて気絶したアンナといい、おかんのように王様を心配する淡島さんといい、ホント女と敵役しか頑張らないアニメだな……。

前半は磐さんの能力お披露目タイムであり、噛ませ犬役は宗像さん。
流のスーパー稲妻ラッシュに比べると、霧で幻惑しながらリボルバー撃ってたまに腹銃床してくる磐さんの戦闘法は地味だ。
宗像産をどん底に落とすためにはいろいろ喋らないといけないとはいえ、『肌色アニメのモザイク代わりかよ!』と突っ込みたくなる量のモクモクの中で、ベラベラ愚痴りながらのバトルは非常にKっぽい。(万能形容詞)

描かれないと思っていた磐さんと流の過去描写があったのはありがたいが、芳忠さんの若い演技は仙道思い出しちゃって面白すぎる。
自分が敗れた夢を流に賭けているところとか、人命救助が鍵になる関係の描写とか、磐さん株はかなり上がるお話だったので、個人的には嬉しい。
まぁここが最高値で後は負けるしか無い流れではあるが、悪役には悪役の見せ場というものもあるので、この盛り上がりを殺さず良い退場をしてほしいものだ。
……Kだから特に死んだり罰せられたりせず、のんびり野に放たれる可能性もあるけどさ。

宗像さんが幻惑攻撃にボッコにされ、自分のアイデンティティも踏みにじられる中、シロはかなりボーッと見てた。
『これ負けイベントでしょ? 絡んで株下がるのやだから、アンナの看病してます。ほらアンナ、能力たくさん使ったんだし気絶とかして!』と自己防衛に走るシロPLの姿を幻視し、あまりの厨房っぷりに目眩がする。
宗像と猿比古の喧嘩でもそうなんだが、このアニメの男たちは修羅場をボーッと見過ぎ。
このままだとまたうじうじスパイラルに入って半世紀くらいお空を回遊するので、クロネコチームはジジイをチアーアップし、やる気にさせなければいけない。
そういう意味で、無駄にやる気のあるクロネコが白銀のクランズマンなのは良い配置だな。


磐さんがダラダラ喋って造った時間で、超かっちょいいヘリコで石板を掻っ攫う緑陣営。
お話的に石版パクられて緊張感を足さないといけないイベントとはいえ、ルパン一味ばりのチームワークでお宝奪還大作戦をぶちかます緑は、おそらく全クラン一番結束が硬い。
赤も白銀も仲は良いんだが、それを実際に活かしてなんかするって段になると、な……。

そして器の小さいところを随所で見せていた宗像さんが、ついに大爆発。
欲望の赴くままにお猿を煽りまくてったら、最後の一線超えて出てっちゃいました。
うう……石版を管理するという重責がカッコいい宗像さんをあんなにしちゃったんや……全部激務が悪いんや!!
能力酷使しすぎた結果『上がり』が近づいてるから、余裕ないのかねぇ宗像さん。

猿比古に関しては常にイライラしているマンであり、緑に打ち込む楔としてはベストだろうなぁと思う。
ガチで裏返ったのか計略なのかは読み切れない描写だけども、石版盗まれた時のフェールセイフ描写もあるし、計略だと信じたい。
でも猿比古、八田ちゃんとキャッキャ出来れば全部OKな側面あるしなぁ……ここの転がし方は、キャラの身勝手さを上手く活かしてグッドですね。

そして上司と部下の開けた穴をフォローするべく奔走する、青のクラン唯一の女。
『統制の取れた鋼のチームだと思ってたけど、途中入社の中間管理職一人抜けたらズタズタでした』という株の下がりっぷりを見るだに、今回一番ワリ食ったのは青の一般クランズマンかもしれん。
主役としてお話に関与するには粒が小さく、画面に映らないのはサービス上不可能。
結果『遠巻きに見守り画面から消えることはないが、声をかけたり行動したりはしない男の群れ』という、女子校のイジメかイベント会場のコンパニオンのような風景が出現するのだ。
……Kっぽいね、ウン(万能形容詞)


メインクランが軒並み仲良し時空に飲み込まれた結果、お話を回転させる種が少ない二期。
それを動かしているのが新参緑であり、このタイミングで石版というトロフィーを一旦盗み、『やっべぇマジピンチ』という空気を作ったのはとても良い。
心地良いと同時に場を停滞させている慣れ合いムードをぶっ壊すのが猿比古なのも、『まぁアイツしかいねぇ』という人選だろう。

その上で『能力・死力を尽くし切り、全力でぶつかり合った結果石版を奪われた!!』という展開には見えず、奪われた側がどこか余裕があるのがこのアニメである。
汗臭く、泥臭いのは徹底NG、感情の動きも実際の立ち回りもアクションと同じくスタイリッシュに。
強みを徹底した結果、『お前ら本気で人類革新防ごうと思ってないやろ』と突っ込みたくなる、余裕綽々な世界の危機描写となった。
ここら辺は『イケメンショーケース、略して生簀』というアニメの売りを優先した結果であり、メイン客層には刺さる……のかなぁ。
俺どう考えてもストレインな客なので、そこら辺は解かんねぇ。

個人的にはキャラクターはどんどん追い込まれ余裕がなくなり、剥き出しの感情で事態に取っ組み合って欲しい考えを持っているので、カメラ映りを気にしている今のK男子はあんま好きになれない。
K男子がカメラ映りを気にしなかったことは一度もないわけで、そういうお話だと言われればそのとおり。
アンナは流とのアクション、気絶というダメージ描写、クランズマンを守るという真っ直ぐな意思と、いい感じに剥き出しのまま動いていたので、今回の話しでは一番好感を持った。
緑の連中が好きなのも、色々軽口叩きつつも目的のために全力で策をめぐらし、体を張っている姿が見えたからだろう。
『このままもっと余裕が無くなって、スタイリッシュじゃなくなれば良いなぁ』などと、作品の根っこひっくり返すような感想を抱くお話でした。