イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツ!:第163話『ハピネスパーティー♪』感想

久々のアイカツ!社会見学、舞台は夢クリエイションなおもちゃ企業DANDAI様。
ステージから少し離れて、おもちゃに込めたアイドルと広報担当、デザイナーたちの夢を追いかける話でした。
プレミアムドレス回とはまた違ったクラフトマンシップが垣間見えて、やっぱりアイカツ!社会見学回は面白い。

今回の主役はアイドル……ではなく、アイドルが好き過ぎて頭おかしい企画担当者仲谷さんだったと思います。
『シャンプーの人といい、この世界の会社窓口はドルキチレズしかいねーのか』って感じですが、本気で子供の夢に立ち向かう姿勢は好感度高し。
商品をどう作るかではなく、商品開発を通して何を届けるのかを真ん中に据えたお話作りに、非常にマッチしたキャラだったと思います。
アイカツ社会見学らしい細かい取材と、それがもたらすお仕事描写のリアリティが、彼女の真剣さを裏打ちしているのが良い。

仲谷さんの職人魂に呼応する形で、瀬名&天羽のデザイナー師弟コンビも目立っていました。
映画版でも自分を追い込み、根詰める人だと分かっていたけど、あれだけのベア全部手作りって……おばあちゃま修羅すぎる。
天羽さんの本気を受け取って仲谷さんが動くとことかは、職人たちだけに判る本気の魂のせめぎあいを感じてアツいシーンでしたね。

そして久々のセナツバ……やっぱあかりちゃん好き過ぎる男……。
恋人でもなく、お助けマンでもなく、瀬名くんが持つ独特の存在感と爽やかさが活かされた出番だったと思います。
やっぱ瀬名あか良いなぁ……アイカツ!の構造上、今回の立ち位置以上には踏み込めないのが運命的に確定しているのが、どうにも惜しい。
惜しいのだが、この位置の絶妙さを考えるとここで良い気もして……悩ましいね。


職人たちの気持ちに応える銀河系アイドル軍団ですが、子どもたちにモテたり自発的に企画を出したり、相変わらずのデキるアイドルスタイルだった。
子どもが真っ先にひなきちゃんに飛びつくシーンを入れてくれたの、俺嬉しかったよ……。
あかりスミレ優先でたいてい置き去りなので、ちゃんと女児モテなのだと分かったのは良かった……。
あと出るだけで楽しい珠璃な……あの女ほんとズルいな。

他のアイドルたちもモテてましたが、知名度・行動力共にあkりちゃんが首一つ抜けている描写をちゃんと入れるのは、あかりジェネレーションの到達点描写を重視している四期らしさ。
誰に頼まれるでもなくCMの企画出しを取りまとめる辺り、アイカツ世界にふさわしいセルフプロデュース力に磨きがかかってきた感じがあります。
3月で待つ大トリSLQCに説得力を出すためには、このタイミングで『あかりちゃん(が代表するあかりジェネレーション)はどこまで来たのか』を見せなきゃいけないから、こういう描写は大事だ。

他にも黒さを前面に出す天羽とか、エリート街道まっしぐらなののリサとか見所たくさんありました。
あえて主役アイドルを作らず職人の話にすることで、アイカツの人数の多さを捌いて見せ場を平等に作れるってのは面白いところです。
こんだけ歴史が積み上がりキャラが増えると、交通整理だけでかなり大変なわけで、そこをサボらずいろんな形でキャラの良さを引き出し続けるアイカツはやっぱ凄い。

そして今回一番の主役は子どもたちだったのかなぁ、と思います。
アイドルたちも子供時代を回想し、自分たちが送り出すおもちゃが届く先に、強い共感を示していました。
それは画面の中の子どもであると同時に、画面の外側にいるメインカスタマーでもある。
無論購買意欲を的確にくすぐる販促回(というよりバンダイの会社理念説明ビデオ)ではあるんだけど、今回おもちゃの企画過程をアニメに捉える中で詰めた願いってのは、結構な部分本音なのかなぁと身勝手に受け取りました。
『僕は君たちが好きだよ』ってメッセージがアニメーションから視聴者に出ているのは、やっぱ幸せなことじゃないかな。

というわけで、ノーステージながら非常に満足度の高いお話でした。
アイカツ世界が持っている底なしの善性は、今回のように真心が相互反応するお話でこそ生きてくる気がします。
僕は今回キャラクターたちが作り届けてくれたモノのメイン消費者ではなく、あくまでおこぼれを貰っている立場なわけですが、それでも漏れてくる光に心が暖かくなる優しい回でした。
アイカツは良い、本当に。