イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 15/12/29 アマデウス『炎の森』

今年のゲーム、今年のうちに! というわけで、さっくりと二本目にとりかかることに。ゲームの速さが強さに変わる、進化とはまっこと素晴らしい。

シナリオタイトル:炎の森 システム:アマデウス GM:コバヤシ

Braveoneさん:ロック・ガーランド:20代男性:ゼウス/英雄の子 傭兵界の生ける伝説として、神話災害に唯一立ち向かえるPMCを率いる伊達男。しかしその伝説は全て作りものであり、僭称者の称号を必死に隠している。

よねちょくん:揺籠包:19歳女性:タウエレト/導きの子 ベビーシッターを表の顔とする、バブみに溢れたグラマラスな女性。大いなる勝利と引き換えに神の力を失う預言を受けており、只人に戻る日を心待ちにするヘンテコな神子である。

浅間忍さん:赤牟騎士:14歳男性:アザトース/創世の子 ブラスバンド部でチューバを担当しているが、本当はトランペットがやりたいという小さな願いを持つ少年。その実混沌なる全能神の加護を受け、運命の中心にいる創世の子である。ゴッドパワーが高まると髪が金色に逆立ち、声が緑川光になる。

シェンツさん:荒羽瓜子:14歳女性:スサノオ=災厄の子 プロぼっちとして薄暗いオーラを放つ、ナードでギークないじめられっ子。神殺しの預言を受けた呪われしアラガミの裔であり、黒い炎を放つ大剣の威力は叙事詩に残る。

こんな感じのチルドレン・オブ・アトムがのっしのっしと神話災害を突破してくゲーム、アマデウスを遊びました。ルールブック付属だよ。

いやー、面白いねこのゲーム!!(白痴顔)

かなり独特なダイスロールシステムを採用しているのですが、専用のプレイエイド"運命の輪"が直感的に遊び方を教えてくれて、ムードダイスをインガに変換し、力を高めていく様子が視覚的に判るのは、プレイの雰囲気をとても高めてくれます。

シンプルな判定法なのですが、どれをアクティブダイスにしどれをインガに送り込むかの選択がちょうどいい悩まし加減で、ダイスを振っていてとても楽しいのは、新規性と安定感両方を達成していて、とても良かったです。

戦闘もGMサイドは一切ダイスを振らないのに、脅威度と戦略性、緊張感が同居する面白い戦闘システムであり、これも専用のプレイエイドを用意することで神話級の強烈な怪物をタクティカルに攻略している感じを、適度な負荷で出していて素晴らしい。軽さは強さだ。戦闘になるとダイスを振る回数が増え、インガが一気に回収されてPC達が強まっていくのも、クライマックスの興奮を巧く演出していて良い。

ロールプレイを引き出す世界設定も、現実と神話が交錯する神話災害を舞台にし、神と人間の間にある神子をPCにすることで、程よい異世界感と地続きの安心感を両立させています。ムードがあってシナリオやキャラクターをどんどん作りたくなる魅力に満ちた、非常に良いものだと思いました。

特技や武器、アイテムのデザインも実用性とムードを兼ね備えたいい塩梅で、フレイバーやビジュアルエイドが豊富なのもあって、神話と現実が交錯するゲーム世界が自然と立ち上ってくる、良い世界観が生まれています。これもモチベもりもり上がる要素でグッドナイスだ。

不吉な預言をハンドアウトとしてシステムに組み込むことで、『PCが頑張らないとどういう不幸なことが起きるのか≒シナリオに参加するモチベーション』がシステムレベルで安定してシナリオに滑りこむことになり、当事者性が非常に上がっているのが良いと思います。PCがシナリオにいる意味がしっかり用意されてるのは、『俺が俺じゃないといけない理由』が分かりやすくなり、プレイに迷わなくて良いので最高です。

判定周りはサイコロフィクションから離れていますが、シナリオ運営や細かいデータ周りはサイコロフィクションからのフィードバックが有効に使われ、現状での総決算の趣もあります。トリガールールを取り込むことで、秘密の取り回しの悪さが改善されていたり、艦これRPGの特殊機能ルールの有効活用などなど、実践で遊べることを最優先に考えた、シンプル&ディープなデザインとなっております。

付属シナリオは比較的シンプルなシナリオでしたが、GMのアドリブで色々足したりしつつ、PLみんな楽しそうにロールする良いセッションとなりました。やっぱ世界観にムードがあるので、演出を頑張っていこう! というモチベが上がるのが、セッションの温度に繋がった気がする。『この世界で生きてるキャラを、思い切り演じてみてぇぜ!!』って気にさせるゲームは、やっぱ勝ってるね。

GMとしてもよく考えられたシステム処理により、数値処理の負荷を減らし、その分演出にパワーを回せるシステムで助かりました。ここら辺はシナリオの組み方次第だと思いますが、PCに渡す真実のトリガー条件で巧くドミノを作れれば、かなり安定しそうな予感。元ネタはマジで無限にあるしな、何しろ神話創世RPGだし!

というわけで、非常に面白いセッションとなりました。富士見書房冒険企画局の意気込みが感じる展開をしているアマデウスですが、その意気込みが一切フロックではない、最高に"遊べる"システムに仕上がっています。今後もモリモリ遊びたい気持ちですし、皆さんにも遊んでいただきたい!! 同卓していただいた方、ありがとうございました。

 

◎おまけ:シナリオ中に気づいたTIPS

自分用にメモを取っておこう。

・PCは想像以上に火力が出る。オーバーフロー分を有効活用するためには、あえての本体殴りも視野に入るレベル。

・判定+2が非常に重要で、デフォ目標値が4である以上2で成功を変えるこの数字が大事。1はどうせファンブルなので、C++とかはかなりえげつない数字だと思う。命中に関してはクリティカル狙いと回避値が6以上になることを考えて、ダイス振ってプラスを乗せてもいいけど、ミドルの判定に関しては+2で制圧できる。

・となると<親神の恵み>は超強いので、権能をよく見て、トンチをねじ込むパターンを事前にある程度準備しておくと、結構スムーズな気がする。タウエレトの『カバ』とかどう使えって権能だけど、『賢くて優しいカバがどこからともなくやって来て、助けてくれんだよ!』くらいの豪論でも、面白いので僕は許す。ここら辺は環境次第だと思うけど、ムード重視でゆるっと遊んで良い気がする。

・能力値はいろんな局面で判定するように工夫されているので、そんなに捨てれる能力値はない。あえて言えば術式使わない奴の霊力、武器使わない奴の武勇、休憩判定を無視したキャラの日常あたりか? どっちにしても回避で使うタイミングがいつか来るけど。

・ミドルのメインは交流か調査になるので、愛か頭脳、どっちかが安定して触れると良い感じだと思う。特に頭脳は偵察判定に直結するので、ダメージはないけどクッソいやらしい効果を広範囲に撒き散らす術式を抑えるためにも、可能な限りB以上欲しくなる。

・インガに関しては白がかなり溜まりにくく、他はスムーズに溜まっていく印象。ダイスを振った回数に直結するので、マスターシーンで行動回数を消費しない判定を用意し、インガチャンスを用意してあげるとスムーズかもしれん。パーティーの色は一色に染めたほうが当然強いが、ファンブルで運命の輪が回った時のリカバリーが弱くなるので、バラして配置していくのは案外悪くない。

・黒インガは判定値ペナがかなり重いので、可能な限り抑えたほうが有利ではある。パーティーの色から完全に黒を排除し、ガンガンインガも取り除いていく戦術は実際有効。しかし黒前提のギフトは協力なものが多いので、割りきって一個は置くのもアリ。ファンブル回避できるし。ただし黒が二段階覚醒している時はPC半分負けている状態なので、それを前提にしたビルドは止めておいたほうが良い。

・本体狙いではなく脅威を叩く場合は、相手をぶっ殺せないダメージはゴミ以下になるため、きっちり確殺取れる相手を選ぶのが大事になる。なので安定性はクッソみたいに強い。そんなに火力が出ないキャラでも、パーティーに貢献しつつBOSSを削って満足度がある戦闘ルールは良いなぁ、凄く良い。

・同一パラグラフならPCの方が早いので、理想形は各パラグラフを制圧するようにPCを配置し、相手の手数を潰しつつ本体にダメージを入れていく形か。大抵のエネミーには『ここを潰すのが重要』という強力な脅威があるので、そこに集中し過ぎないプロットを目指したい。

・職業によるトンチ修正は振った後に+出来るため、<親神の恵み>より取り回しが良い。その分使用に制限があるが、ロールプレイのタネにもなるので積極的に使っていきたい。若干のトンチ要素をあえて組み込むことで、自発的なロールや演出の創出をシステムレベルでサポートしていくのが、今のTRPGデザインのトレンドなんだろうな。時代はめぐるね。

・PCのプロットが上手くいくとかなり戦闘をコントロールされるが、基本的に1ターンでは沈まないようにデザインされているし、どれか一枚脅威は動けるはずなので、見た目よりもPCはストレスを感じている。ここら辺のバランスは良いので、楽勝ムードに見えてもそれはPCが頑張った結果だとポジティブに受け取り、素直に楽しんだほうが良いだろう。PC皆殺しにするゲームじゃねーからこれ。

 

こんな感じか。スマートな数字設定なんだけどデータ的な掘りがいがあるのは、やっぱ良く出来たゲームなんだと思う。現状最強候補はポセイドンかバステトかアザトースだと思います。