谷口総監督と荒川シリーズ構成がお送りするのは、妙にニチアサ（もしくはテレ東六時枠）のオーラを強く感じるパワードスーツ警察はぐれものアクションアニメ。
『レイバーの代わりにパワードスーツ着たパトレイバー』とか『ヘテロダインの代わりに犯罪者相手にするダイ・ガード』とか『今風になったメタルジャック』とか色々言えるが、最大の障害がお役所の手続きと政治という妙な生臭さが独特だ。
キャラも関係性も世界観も、犯罪者と追いかけっこしながらざっくり見せてしまう腕前とかは、流石に老獪なものを感じました。
見ててまず『楽しいな』と思ったのは少しヒネたキャラ配置が生み出す、掛け合いの面白さ。
職場モノ・お仕事モノの側面もあるお話なわけですが、意識だけ高いド新人を迎え撃つのは、全員後藤さんみたいに捻くれた古強者。
『法規と縄張り争いと政治に振り回されつつ、新規技術で犯罪に立ち向かう部署なんだからマトモじゃ務まらない』というのは分かりますが、みんな色々捻くれてて面白い。
未成年の新人ちゃんも『熱血漢の青二才』というわけではなくて、『腹に一物抱えつつ未熟で尻尾が見えちゃってる早熟の天才』だもんな、ヒネてる。
新人ちゃんのうっぜー横槍を華麗にかわしつつ、妙に賢いバカ犯罪者相手に丁々発止のやり取りをしていくスピード感は、なかなか楽しかったです。
一見豪快でがさつに思える赤い人がかなりクレバーな立ち回りをしていたり、堅物担当かと思った青い人が結構沸騰気質だったり、優秀さとクセを同時に見せる活躍の作り方は流石だ。
他のメンバーも見た目通り、定番通りの性格はしていなさそうで、魑魅魍魎が住まう魔窟で新人ちゃんがどう育っていくのか、今後が楽しみになる。
優秀なクセモノが集う仕事モノとしてはアレか、"ショムニ"に近いのか……つうか"攻殻機動隊"か、素直に。
法規とか手続きとか政治家への配慮とか、面倒くさいハードルが矢継ぎ早に飛び出してくる展開も、『主人公たちは公僕であって、秘密組織の正義の味方ではない』という設定を上手く活かしていたと思います。
ダイハチは超人アウトロー集団なので、ねちっこく描いたら相当ストレスたまりそうな生っぽい障害も、スルリスルリと対応していく爽快感がある。
ただ会議室に縛り付けられて静止した状況を追いかけるのではなく、移動司令室で犯人を追いかけ、時には爆発と暴力を交えつつ政治に対応していく見せ方は、アクティブでよかったですね。
ファンタジスタドールん時も転車台使ってたけど、谷口総監督は好きなんだろうか……。
そんな生っぽい（あくまで『ぽい』で止める加減が巧いと思う）お役所仕事を魅力的に見せつつ、SFガジェットのワクワク感を忘れていないのも良いですね。
ARやドローンの使い方、装着シーケンスの変身ヒーローっぷり、必殺技の見せ方などなど、派手にするべきところをちゃんと派手にしているのは、やっぱり気持ちが良い。
お役所の板挟みになった結果線路で移動する正義の味方とか、時間切れになると武装が黒いススになるビジュアルとか、お馴染みで安心できる感覚を与えつつも、フレッシュな要素もしっかり描いているのが強いなぁ。
絵に関しては西田アレンジが隠しようもなくバリバリに入った、色気のあるデザインがなかなか良し……つーか女の子ムニムニムチムチしてて凄いな……。
虹彩をピンクで取るのハルチカでもやってたけど、AS姐さん的な流行りなんだろうか。
メカニックデザインがちょっとだけダサめな所も、はぐれ刑事機動派なお話と噛み合っていて、良い味出していると思います。
ヒーロモノは強さと成約、両方に爽快感と説得力があることが大事だと思うのですが、パワードスーツが持っている超人的な力と、警察機構故の束縛、時限付きのスーパーモード等、両方を一話の中でしっかり見せてきました。
今回軽く受け流していた法規の鎖とか、正体バレの危機とかが、今後ダイハチを襲ってくるのかねぇ。
今回見せた頭のキレとタフさを見るだに、そうそう簡単に足を引っ張られる感じもしませんが、無敵の超ヒーロー様が無双するのではなく、色々と面倒なことになりそうなネタが転がっている方が、お話が面白くなる期待感は高まるよね。
アクの強いプロフェッショナル達の活躍を見ているだけでも面白そうだし、新人ちゃんが有象無象に揉まれる過程も楽しめそうだし、『近未来のパワードスーツ犯罪』というSF的でアクション満載な要素もある。
何より、どんどん事件と障害を用意してキャラクターを活かしていく劇作の姿勢がかいま見える。
今後どう転がっていくのか読めないけど、どう転がっても面白そうな第一話でした。
犯罪者たちを動きやすくしていたのは、アバンで寝言言ってた花江くん声なのかなぁ……当面の敵はコイツ、ってことかしら。
二話にして学園要素が交じるこのアニメが一体どうなるのか、来週が楽しみです。
