イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デュラララ!!×2結:第33話『薄氷を踏む』感想

情念と混沌が渦巻く坩堝と化した池袋のエレジー、今週は怪獣大決戦。
イザシズがお互いの持ち味を活かした殺し合いを展開し、池袋ゾンビパニックはどんどん拡大、ろっちー先輩が話しが終わる舞台を整え、新羅がやっと起きた。
マンション組と杏里&沙樹が合流したのも含めて、わりとクライマックスのための準備が多い回だったかな。

そんな中、一足お先に大決戦なイザヤとシズちゃん。
陰湿な罠で窒息死を狙うイザヤと、それをセルティとの友情コンボでぶっ壊し、鉄骨ホームランで宇宙までぶっ飛ばすシズちゃん。
知略テクニックタイプと友情パワータイプの戦いは、現状シズちゃん有利か……当然だけど。
しかしウザヤと殺し合いしてても相手の土俵の上なので、シズちゃんに望まれてるのは『勇気を持って拳を収める』ことなんだろうなぁ……となると、実はヴァローナが鍵握るんかね。

合間合間に過去回想が挟まってたけど、アレを見てると成る可くして成った関係性というか、ウザヤがあの時代のまま発酵した結果、ビルを使って殴りあう結果に至ったように思える。
そこら辺の薄っぺらさを全部新羅に見抜かれているのは、自分のカルマを乗りこなそうとした奴らと、自分を全肯定して好き勝手生きてきた奴の差なのだろう。
ウザヤの異常なシズちゃん憎しには、『勝手に大人になりやがって!』という幼い嫉妬が混じっている気がするんだが、そういうのを自己分析できるならイザヤはウザヤには成ってない。
どうしようもなく宿ったカルマを肯定し、立ち向かわなかった結果が底のない吹き流し人間であり、八つ当たりで爆発事件は起こすは殺人は狙うわのクズ人間なのだ。
カルマを乗り越えちゃった人間も、カルマに押し流さえた人間も、両方愛情を持って切り取るデュラララの筆は、僕はとても好きです。
……ここら辺のテーマは、殺人機械である自分を乗り越えられるかっていうヴァローナの物語と地続きなんだな。


イズシザの物語が物理的に大爆発する中、他の人達はわりかし静かに舞台を整える感じ。
後ろ向きな高校せチームの中では、罪歌のことを自分から告白できる杏里が、一番成熟しているのだろう。
ろっちー先輩の超アシストのおかげで、紀田くんも帝人もようやく対峙できそうだけどさ……。
モチベーションの確認から状況の整理、他キャラクターの連絡に余計なキャラの物理排除まで全部一人でこなすろっちー先輩は、マジデュラララ完結の最大功労者だな。

クソ先生のクソっぷりはどんどん加速しており、全く後腐れなくぶっ飛ばせるラスボスとしての地位を盤石にしてた。
自分の有り余る力を持て余してきたシズちゃんが、体はって因縁に決着つけてる最中だけに、力に溺れる先生の姿は良い具合に醜い。
こっから改心して綺麗な姿を見せて~~とやってる尺はないので、まぁボコボコにされるんじゃないすかねフツーに……自分から核弾頭を集めてるしな、あの人。

絶賛暴走中のセルティを受け止め、お話をまとめるのに絶対必要な新羅も、ようやく自意識を取り戻した。
結局この話の半分は新羅とセルティのラブ・ロマンスなわけで、男役が意識喪失状態の間まぁ話も進まんからな。
デュラハン』という生まれつきのカルマを背負いつつ、どのキャラよりバランスの取れた人間性で色んな人を助けてきたセルティと、首なし女に惚れ込み他の奴ワリとどーでもいい奇人なれど、医者として頑張ってきた新羅の二人も、自分の中のどうしょうもないものと戦う存在なのだな。
このお話のキャラクターはまぁだいたいそういう奴で、バランス良く上手くやれるのもいるし、迷い路の最中にいるのもいるし、もう取り返しの付かないところまで迷っちゃったのもいるわけだ。

自分の中の同しようもない存在というのは、作中のキャラクターを飛び越して読者みんなに宿っている、普遍性のある存在だろう。
だから、カルマがあることそれ自体を無理くり否定するのではなく、それと上手く付き合ったり流されたり、キャラクターの数だけある業の物語を等しく愛し、肯定するデュラララのスタンスは、何度も言うけど豊かで好きだ。
群像劇のごった煮物語という形式も、複雑なカルマを一つの入れ物に入れこむ上でよく機能しているし、言いたいことと伝える手段がよく噛みあった、良いお話なんだなぁこのアニメ。(超今更な述懐)

新羅が起きたことでセルティの物語も先に進みそうだし、ろっちー先輩が頑張ったおかげで紀田くんと帝の話も最終決戦目前。
既にバチバチやってるシズちゃんとウザヤ、ゾンビの数が不気味に増え続ける露西亜寿司前と、各々の物語にケリがつく準備(もしくは最中)が展開するエピソードとなりました。
自分のカルマとどう向かい合うのか、綺麗でなくても良いので、やりきった結末が楽しみですね。
……既に一回カルマを焼きつくして、自分の悩みは自分で解決できる辺り、やっぱ赤林のおいちゃんは頼りになるな。