イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-:第12話『誰がための秩序』感想

無軌道な若者が日本を人質にとって大騒ぎなアニメも、遂に一期最終回!!
メカニクル刑事ドラマのラストエピソードは、ミュトスくんのロンリーハートがズタボロにされる展開でした。
自衛隊と警察の間で揺れ動くウィルウエア管轄権とか、華麗に高飛び決めたバードとかは、セカンドシーズンに持ち越す要素かねぇ。

お話の方はこのアニメらしくストンストーンと進みまして、主人公サイドに残された意外な一手が状況突破の鍵になるという、分かりやすい逆転劇。
『頭いかれちまった腐れ若造に、体でぶつかってやる大人が必要なんだ!』とウィルウェア・アクションに勤しむ姿とか、真相を伝えて情と心を折って勝ちに行く展開とか、刑事モノのスタンダードを抑えて終わったなあ……全部終わった後、ミュトスにカツ丼出しててもおかしくない。
全部バードの手のひらの上感がなくもないが、黒崎さんも息を荒げていたように、今は調子こいて二期でぶっ飛ばされるのが彼の仕事だと思うので、せいぜい我が世の春を堪能しておくがいいさ。

ミュトスのバックボーンには非常にじっとりと重たくやり切れないものが横たわっていたわけですが、そこはあんま掘り下げず、あくまで背景程度に止めてました。
動機を太く描写するよりも、政治劇や権益争いをスパイスに加えつつ、肩の力を抜いたヒーロー物語を展開することが主眼だとすれば、あんま触りすぎないのも正しいかしら。
日本全部を人質にとった危険な遊戯に見合う動機だったかは、描写が薄めなので正直判らんところですが。

そういう意味では、これまであんま目立たなかった黒崎さんが自分を曲げずに犯罪者を拾い、自分なりの正義を貫きに行ったのは、泥臭くて良い盛り上げ方だったと思う。
『世界とかは変えてやれねーけど、お前と正義の為に命は張ってやる。銭湯仲間だし』という黒崎さんの歩み寄り方が、このアニメらしくて僕は好き。
あと、『ツンツンしてたけどやっぱ一緒にお酒飲める仲間が欲しかったし、ちゃんと手に入れました!』というあさみちゃんのクエスト消化っぷりも。
一期のラスボスを繋ぐ線が『銭湯で袖すりあった』というのは弱い気もしますが、ここら辺も過剰に重たくなるのを避けた結果かねぇ……やろうと思えば、ダイハチの誰かが過去集団自殺事件を受け持ってたとか、出来なくもないだろうし。


と言うわけで、フツーに次回予告が流れてもおかしくない、いつもどおりの軽妙洒脱さで1クールが終わりました。
夕方アニメの空気といいますか、そこまでカロリーの濃いドラマをキャラに背負わせず、ダイハチという組織それ自体を主役にした展開は、肩の力を抜いて楽しめて良かったです。
単純に『うぉーウィルウェアかっけええええ』ってなれるシーンが多めだったのも、それを助けてたかな。
成長物語成分は、あさみちゃんがしっかり担当してくれたしね……セカンドシーズンは少し目立たなくなるかな?

色んなノスタルジーをぶっこみつつ、それを不必要にアゲ過ぎないというか、自分たちの階級が無様であることをどこか自覚している冷静さが残っていたのは、結構好きな部分です。
やりたいことと自分の身の丈を把握していたからこそ、すっきり楽しい読後感で毎回終わることができていたと思いますし、懐かしさを大事にしつつ、今のアニメとして視聴に耐えるよう様々に工夫をしてくれたのは、見やすくてよかった。
7月から始まるセカンドシーズンも、この良さを維持したままヴァラエティ豊かにすすんでほしいものですね。