イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

影鰐 -KAGEWANI- 承:第6話『失明』感想

番場が寝ている間は相変わらずクリーチャーホラーだよ! なアニメーション、今週はVSバジリスク
『ショッピングモールに突如現れた、人間を石化させる邪悪な巨大蛇』というクリーチャーの能力と、『視覚にハンディを抱えたか弱い少女』という組み合わせの妙味が唸る、見事なホラー短編でした。
失明』というハンディが同時に能力を無効化する矛盾も良いし、その裏で猿楽社内政治がギュンギュンと回転し、木村の野望がドシドシ進む欲張りな展開も素晴らしい。
八分間という小さな土台に、アニメーションは一体どれだけのものを乗せることが出来るのか。
表現の新たな地平に挑む意欲作が、今ここにあるわけです。

久々にスタイリッシュダークヒーロアクションから看板を書き換えた、今回の影鰐。
番場先生の超かっこいいアクションとヒロインっぷりで勝負できない以上、メインはやっぱりクリーチャーとなります。
今回のバジリスクは所謂『蛇に睨まれた蛙』状態を人間に対して発生させ、意識はあるのに丸呑みにされるというイヤーな殺し方をしてくる、ナイスクリーチャーでした。
『ああ、こういう死に方したくねぇなぁ……』としみじみ思えるフレッシュな発想力は、ホラーにおいては大事な武器よね。
残虐シーンをスマホ画面でクッションすることで、直線的な身も蓋もなさを巧く交わしつつ、バジリスクの恐怖はむしろ上がっているのも素晴らしい見せ方でした。

そんなバジリスクの恐怖に立ち向かうのが、おそらく影鰐史上最萌えなヒロイン・莉央ちゃん。
二期になってから露骨に作画力がハネている影鰐ですが、莉央ちゃんの可憐さにぶっ込むのはむっちゃ正しい使い方だと思います……人間現金なもんで、外見可愛い方が『よし頑張れ! 生き残れ!!』と素直に共感できるけんね。
彼女の視覚ハンディはヒロイン力を上げる弱点であると同時に、バジリスク最大の武器を封じる長所でもあって、このクリーチャーとヒロインの組み合わせはマジでアイデア賞もの。
『要素要素が的確に噛み合わさった時、その魅力は加算ではなく乗算になるのだ』という題目が、アイデアではなくちゃんと物語と映像になって伝わってくる快楽は、控えめに言って最高でした。
八分という短い時間だけに、ワンアイデアの充実感がより大事になる作品だけど、二期になって枯れるどころかマジ加速してるからなぁ……影鰐すげーわ。


クリーチャーホラーとしてもアイデアに満ち溢れた傑作でしたが、そこに猿楽の社内政治を巡る野望の物語まで乗っけちゃうのが今の影鰐。
番場先生が寝ている間に、木村がすげー勢いでリベンジへの土台を整え、むちゃくちゃ主人公力稼いでいました。
この話はお話にもキャラクターにも不思議な『可愛げ』があって、それが短い尺に油を乗っけていると思っていますが、悪役だったはずなのに怒涛の逆襲戦の真ん中に立つ木村を応援したくなるのも、一期で感じた不思議な『可愛げ』のおかげかなぁ、とか思います。
寝っぱなしの番場先生にしても、スタイリッシュな奇獣狩りのババアにしても、なんか可愛いんだよね……単純に、作品全体が好きになってるからキャラも好きになってるだけかも知れんが。

そんな木村の野望に立ち向かうのが、木村昴声の本間さん。
額に『オス、悪いです。追いつめられたら銃とか取って戦います』と太字で書いてある良いキャラで、早くも炎上する猿楽本社で影鰐人間(もしくはメカ木村)と一対一するクライマックスが待ちきれません。
アイツぜってぇ強えよ……声ジャイアンだし……メカ木村と"幕末義人伝浪漫"最終話みてぇな殴りあいぜってぇするよ……。(何億回でも浪漫にラブコールマン)

ここに来て『猿楽の社内政治』という新要素をフューチャーしてきたのは意外でもあり、二期の木村推しを考えれば自然でもあり、良いところに目をつけて転がしてきたなぁという感想。
とりあえず優秀な駒を自分に引き寄せた木村に、どういう手を打ってくるのか。
今後が楽しみです。

そんなわけで、俺の好きな要素しか八分間の間に詰まっていない、世界最高のお子様ランチアニメ(超絶褒め言葉)でした。
ホントよー、このテンポと密度で毎回叩きつけられると、面白すぎて狂っちまいそうだよマジで。
来週以降どのような球でストライクを取ってくるのか、むっちゃ楽しみであります。(ストライク取るのは前提)