イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-PROJECT 鼓動*アンビシャス:第5話『BACK TO THE BABY』感想

最初の山場を乗り越えさらに盛り上がるリアルアイドル成り上がり物語、今週は男ツンデレの時間旅行。
『時間もねーし、主人公が攻略対象のオリジンにたどり着くまで信頼積み上げるのメンドクセーから、直接脳を揺さぶって幼児退行させようぜ!!』という、スーパーパワー勝負な展開の是国くん回でした。
クソみたいな家庭環境と幼児期の性虐待でねじ曲がってしまった素直な性根を見せつつ、普段は見せないピュアピュアで優しい部分を直撃させればお前らもメロメロだろという、あざとい計算を感じる回でした。
控えめに言って最高でしたね、阿修くん目立ってたし、北門さんとまさかの幼なじみ属性だったし……あざとい、あざとすぎる。

これまでは面倒くさい男ツンデレ&チョロ蔵な部分しか見えなかった是国くんですが、今回メインをもらってなんでこじらせたかが、まず見えてきました。
金はあるけど愛がない家庭環境、クソ以下のクソみたいな親父と女装を強いてくる母親のセット販売という、人格にひねりを加える装置みたいな過去を経験した結果、元々優しかったのに素直になれないめんどくさボーイが生まれたと。
今回お話に圧力をかけてくれたツダケン声のパパラッチとか、過去回想のクソアイドル候補生みたいな輩に、常時付きまとわれて人格形成してたんだろうなぁと思うと、チョロい部分が残ってるのが奇跡に思えてくるね。

んで、長年の経験で培った防衛機構を取っ払うべく、細かいロジックは放っておいて物理的に脳内時間を戻しすのが、今回の展開。
是国くんが隠している優しさをつばさと視聴者に見せつつ、女装あり北門さんとの濃厚な絆あり、『サービスシーンを最短で持ってくるためには、強引な突破も辞さない』という、赤尾先生不退転の気概が見て取れます。
むちゃくちゃ強引に必要なシーン引っ張ってくる手法は、大映ドラマ(もしくは韓流)っぽくて好き。
そういう意味でも、Bプロはプリリズ(特にDMF)の正当後継作だと思う。(キンプリの存在を完全に無視した暴論)


硬い殻が無くなった剥き出しの是国くんは優しさ溢れるピュア&ナイーブな天使ちゃんで、『あ、だいすけ頑張ってる。岸尾さんすげー頑張ってる』って感じのほわほわ対応だった。
クソみたいな環境で自我をサバイブするために身につけた、姑息な小悪魔力を全て押さえ込んで優しさ・可愛さ・あざとさだけを叩きつけてくる見せ方は、純真なだけに哀れでもあった。
あんだけのピュアボーイが現状のこじらせボーイに育ってしまう世界のクソっぷり、こじらせても生来の美徳を失わず時々優しさを見せる是国くんの健気さは、萌えるというより泣けてくるのが不思議だ。
今回の話しは是国くんの柔らかい部分を強引に見せる回であると同時に、その意味を理解し守ってくれるBプロのありがたさもしっかり描かれていて、凄く良かったです。

強引に時間を遡らせた結果、今回描いたのはあくまで『こじれる前の過去の是国』であり『こじらせた後の今の是国』の描写は薄くなっているってのは、否定し得ない事実。
記憶障害が一時的なイベントでエピソードをまたがない以上、今後もBプロの一員として活動していくのは素直でピュアな天使ではなく、魂の自衛のためにツンデレこじらせた小悪魔なわけで、面倒くさい部分をおもいっきりバッサリ行ったのは、是国くんの個別エピソードしてよかったのか、なかなか悩ましい。
そういう部分は今後Bプロの話をしていく中で見せるチャンスがあるけど、『思い切った手段で人格の根底を見せるのはメイン回以外ない』『こういう形でギャップを見せてファンサービスするチャンスもない』という見切りで、こういう形になったんだろうか。
今回見せた過去の無垢さは、ひねくれた今の是国くんにも繋がる部分なので、濃厚に描くことでキャラの背骨をしっかり立ててはいました。
今回見せたイノセントな優しさが、今後あるだろう他のメンバーの困難を乗り越え、傷を癒やす助けになってくれると、エピソードが響きあって立体感が出るのですげー良いなと思ってます。

今回阿修くんが脇を支えてくれたのは、まぁ当然俺があの子好きだって贔屓もあるけど、ありがたい話でした。
阿修くんはなんにも考えてない無垢なキャラに見えて、鋭い観察力とそれを活かした細かい気配りができる、優しさと素直さと賢さを兼ね備えたデキるヤツ。
家庭環境がクソじゃなければ、ツンデレをこじらせなければ『こうなっていたかもしれない是国竜持』というキャラなわけで、主人公を己のシャドウと対峙させることで描写を深めていく意味でも、良いマッチアップだったと思います。
まぁ、他に色々気づいてわざわざ手を差し伸べるタイプのキャラがいないってのもあるだろうけどね……ほんと阿修くん、人間力高いわな。

タコレの相方として、まさかの幼なじみ属性持ちとして、北門さんとは濃厚な描写が乱打(ラッシュ)されてました。
正直1話だけだと『ズルい王子様』としか思えなかった北門さんだけど、第4話で見せたリーダー力と今回見せた甘酸っぱい過去の合わせ技で、一気に愛せるキャラクターとして立ててきた印象があります。
Bプロはお仕事アニメでもあるので、キャラは社会人としてあんま強い感情を出さず仕事に徹しながら話が進むんだけど、そこにはいろんな事情や感情が秘められている。
幼い優しさを込めたアメちゃんのやりとりや、是国くんが『北角さん遊んでくれない……』と拗ねるシーンで、ふたりのぶっとい絆が感じ取れたのは凄く良かったですね。
ピュアな優しさの象徴であるアメちゃんが、最後是国くんのところにしっかり返ってくるところ、ド直球のイイハナシすぎて好き。


メインの是国くん、これを支える北門&阿修&つばさ以外にも、色々横に広い描写していたのも良かったです。
雷神フェスの反響を受けてBプロの認知度が上がっている描写が入ったり、他のキャラが抱えている地雷をひっそり描写したり、濃い目のメインストーリーの合間にしっかりシリーズ展開に必要な要素を埋め込んでくるのは、さすがの話運び。
とりあえず釈村くんの家庭事情と、王茶利くんの病院通いかな、今回の伏線は。
王茶利くんは声が森久保のアーパーキャラなばっかりに、『無神経にズカズカ踏み込んで、キャラの事情を周囲から引き出す役』を担当させられて可哀想だったな……あそこで無神経な発現しないと、是国くんの背景を説明できないから必要な動きなんだけどさ。

我らが主人公つばさちゃんは、音楽業界のことな~んも知らない視聴者の代弁者として仕事に戸惑いつつ、男たちのイチャイチャを邪魔しない程度に体を張る、見事な見切りを披露。
ここでつばさではなく北門さんに最大の見せ場を持ってくる辺り、つばさと是国くんの恋愛関係よりも、キタコレというユニット、『お仕事の単位』を大事にしているアニメなんだなぁと思った。
脳味噌まっピンクに染めて仕事を蔑ろにされるより、やるべきことを必死にやって、その過程で信頼が恋に変わっていく展開のほうが、キャラを好きになれて俺も好きだしね。
今回あまりにキタコレの描写がキすぎてるので、男女恋愛の方向に舵を切る気があるのかさっぱり見えなくもありますがね!!
アメちゃんという一種のトロフィーを、つばさではなく北門が持って行って終わるのはこのアニメらしいよ、ホント。


そんなわけで、ツンデレボーイの優しい過去をパワー勝負でぶっこ抜くことで、そのオリジンを掘り下げるエピソードでした。
僕はツンツン対応を演じつつも、優しい気性が隠し切れない是国くんが好きだったので、今回その起源がたっぷり濃厚に味わえたのは、彼をさらに理解する上で凄く助かった。
北門さんとの絡みも濃かったしなぁ……あの過去回想は絶対『え……竜ちゃん男の子だったの?』イベントがあったと見るね、風呂とかで。
あとサラッとキタコレ両方共超金持ちの家系であることが判明してて、乙女ゲーの相手選びはマジで給与明細に厳しいチェックはいるなと思った。

第1話Aパートで導入と世界観説明、Bパートから3話まででユニット紹介、4話で序章の山場と繋げて、5話めの今回から個別エピ開始。
話数の仕事がクッキリ見える手堅い構成ですが、Bプロという大きな物語をどう展開させるかも気になるところです。
そういう横幅も、キャラに切り込んでいく縦の深さも両立できるとしっかり示した、今回のエピソード。
今後掘り下げられるだろうキャラクターにも期待が持てる、いい仕上がりだったと思います。