イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツスターズ!:第17話『ゆりちゃんと一緒!』感想

夢への道は常に地道な努力から!
今週のアイドル活動スポ根アニメは、泥臭い草の根アイドル総選挙。
人格者ゆりちゃん先輩をナビゲーターにしてS4生徒会の組織図を見せつつ、これまで周りのお膳立てに乗っかってきたゆめが、独立独歩に向けて踏み出すお話でした。
あえて小春やローラと切り離すことで、夢のアイドル活動に必要なタフさがみっしり養われ、先輩へのコネクションも養われるという、これまでとは切り口の違うお話し。
揶揄や嫉妬も含めた苛烈な競争社会の一端を見せたり、ゆめを苛む『あの力』にすばるが踏み込んだり、結構いろんな事をやってる回でもあったな。

というわけで、映画への前フリでもある今回。
一年生総選挙という生臭い価値判断を前にして、生来の『華』があるローラや真昼相手に、色々頼もしくなってきたけど根本的にドン亀である主人公が何を武器にするのか、というのがお話のメイン。
色々迷った挙句『アイドル活動はまず足、そしてコネ』という、ジャパニーズ選挙スタイルを手に入れて価値にいく展開は、いい意味での意外性と泥臭さがあって面白かったです。
幹部連に切り込んでいく理由が、地盤欲しさの身勝手なものではなく、『忙しい先輩を助けたい』という利他的な場所から始まってるのが、いい具合に話の泥を抜いていた気がします。

これまでのスターズ! はとにかく友情重視であり、物事は基本二人以上で解決してきたわけですが、今回はあえてローラや小春をゆめから遠ざけ、セルフ・プロデュースの基本を学ばせる回。
ソロでの強さを手に入れることで、ユニットの響きあいもより面白くなっていくと思うので、ここでゆめ独自の強さを探させる展開が挟まるのは、凄く良かったです。
人を引き付ける『華』もなく、ちょっと幹部仕事を手伝ったくらいで明るい未来を思い描いてしまう、お調子者の虹野ゆめ。
そんな彼女の武器として『粘り強く、泥臭く、必要な仕事をし続ける誠実さ』『そんな姿勢が生み出す人脈』を持ってくるのは、キャラの個性に似合った説得力があるもので、とても良かったと思います。

そういう泥臭い地盤の上に乗っかってこそ、チート臭い『あの力』の後押しも素直に受け止められるわけで。
これが『あの力』一本槍の無敵サクセス・ストーリーだと反感も覚えたと思いますが、これまで積み上げてきたアイドル活動を活かし、あくまでゆめの努力で掴んだステージに一足しする形で『あの力』を載せる今回の使い方は、なかなか良いスパイスでした。
すばるくんが気づいたように、確実に魂削る悪しき力だしなアレ……恋愛関係一本ですばるに存在意義をもたせるのはちと弱いので、ここで『あの力』関係のクエストをふったのは上手い手筋だと思った。


ローラとも小春とも孤立したゆめを導くのは、華々しく輝くスター……ではなく、星が輝くための下準備を担当する幹部たち。
宣伝活動に事務処理、スケジュール調整に設営と、アイドル活動の影にカメラが切り込んでいくお話でした。
これまでは四ツ星の派手な部分しか映らなかったので、こういう形で設定を開示し、世界観の隙間を埋めていく話が展開されるのは、『普通さ』が売りのスターズらしい見せ方だと思う。

ゆりちゃん先輩が代表する幹部の地味さ、誠実な爽やかさも心地よく描けていて、スポットライトの当たらない立場でも腐らず、為すべきことを一個ずつ果たしていく仕事人っぷりに、強い好感が抱けました。
ゆりちゃん先輩の活躍を、我が物のように喜ぶツバサ先輩(一般制服)が描写されていたのも、ツバサ→ゆり→ゆめと継承される幹部イズムの流れを感じ取れたし、ツバサ先輩のいい人っぷりもよく見えた。
他のS4がエゴ強めでアイドルの『華』を背負う分、常識的で地道なツバサ先輩がいわゆる『面倒見のいいセンパイ』の仕事をだいたい拾う形になってんなぁ。

今回はスターズらしい『影』の描写も冴えていて、ゆめの地道な努力に追い出される形になったこはるとか、人情のかけらもなく煽り倒してくるあことか、苦味の濃いエピソードでもあった。
特に相変わらずお話の進行とキャラクターのケアに寄与しまくり、視聴者好感度が(少なくとも僕の観測範囲内では)高い小春が曇る展開は、中々に衝撃的。
負けたこと、追いぬかれたことそれ自体ではなく、ゆめ達の横に並ぶ実力がない自分に腹を立てる辺り、ホントあの子は人間出来てる……出来過ぎてる。
あの子が脇を固めてくれればこそ、スターとスターを目指す女の子のお話が展開できているフシもあるので、はよう報いてあげて欲しい……具体的には3Dステージ早く、な!

スターズの苦さは前作にはなかった要素であり、『あの力』のネガティブな側面もその一種だと思います。
上手く使えばオリジナリティに変わる部分ですが、同時に扱いが難しいヤダ味でもあるので、上手くフォローするエピソードがほしいってのは、前々回のローラと共通かな。
しかしアコはすばる絡みの恋愛ライバルでもあるし、『ツンツン担当』という名札下げて登場した真昼やローラが凄まじいチョロ蔵だったからなぁ……早めにデレるとシリーズ全体が崩れる、難しい立場でもあるか。
ライバルとしての立ち位置を維持したまま、人間的な魅力や何か好きになれる部分を見せてくっつー、難しい舵取りが要求されるキャラよな、アコは。


そんなわけで、ゆめが天才たちにはない強みを掴みつつ、映画へのブリッジを架けて、四ツ星の運営システムを解説し、『あの力』をめぐるクエストにすばるを巻き込むという、地味な話なのに色々起こったエピソードでした。
スターズはただでさえキャラ数多いのに、今回で幹部連が四人追加されたわけで、こんぐらいの手際と内容で回していかないと、色々処理しきれんかもね。
手際よく必要な描写を回していくことで、ただキャラが多い状況から踏み出した魅力が生まれる土壌も育つと思うので、こういうまとまりの良いエピソードは、今後も増えてほしい気持ち。

そして来週は、S4最後の超新星、ゆずパイセンの個別エピ。
待った……この日を……いやホント、舞組露骨に尺の振り分け少ないから、頼んますよマジ。
フリーダムな要素が強調されるゆずパイセンだけど、その土台としてしっかり人情があるんだと判る話になってくれると、個人的には嬉しいですな。