イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-Project 鼓動*アンビシャス:第6話『SIX SENSE BLADE』感想

新米アイドルのキャリアメイク大作戦アニメ、今週は芸能人は霊感が命!
"幕末ROCK"か"薄桜鬼"かはたまた"刀剣乱舞"か、みんな大好き新選組を題材にして、THRIVEのツンデレ番長とMooNsの天然二人がキャラを見せる回でした。
まさかのオカルト憑依ネタでおもいっきりニトロをぶち込みつつ、前回クスグッた是国くんの家族ネタとか、仕事を一緒にする内に深まるユニットを超えた絆とか、各キャラクターの内面とか、いろいろ楽しく見せてくれるエピソードとなりました。
ネタ方面の火力に乗っけて一気にキャラを掘っていく手際、やっぱプリリズの系譜を感じずにはいられない。(専門はどっちかっていうとオトメより女児アニマン)

今回ピックアップされたのはBプロのオラオラ番長金城くんと、顔だけ良いキモヲタ釈村くん、そしてまさかの『見える人』、オッドアイの不思議系音済くん。
前回も北角+是国+阿修の三人ピックでテンポよく見せ場が回っていたので、人数と深さを両立させるベスト人数なのかもね、1エピソード三人。
MooNsで固めず、最初ちょっと距離のある金城くんと組み合わせたのも、ギャップが分かり合いのドラマを生む結果になっていて、とても良かったです。

『沖田の菊一文字……の鍔に宿った悪霊が新人アイドルに憑依し、新選組を意識した舞台をめちゃくちゃに!』という本筋はぶっちぎりにネタですが、オーディションというサバイバル・レースに挑む三人の顔はちゃんと真面目で、崩しちゃいけないところはしっかり守っていたのが良かったです。
いや、真顔で『悪霊』とか言い出す音済くんも、キモヲタと高い調整能力を誇るデキる男の間を行ったり来たりする釈村くんも、常識担当としてツッコミ入れる金城くんも、ギャグはギャグ……しかも完成度の高いギャグなんだけどさ。
怨霊ネタはネタとして、負傷というアクシデントをどう乗り切るかとか、だんだん構築されていくチームワークとか、人間関係の根っこまでは不真面目にやらず、オーソドックスな展開でまとめているところが、バランス取れてて良いわけよ。

まぁネタの方の切れ味があって始めて、コメディにシリアスな味を付ける方法は成功すんだけどね。
そういう意味では、なぜか池田屋が召喚される決戦シーンとか、鍔からにじみ出る紫色のオーラとか、『このアニメ、どういうジャンルだっけ?』と首をひねる頭の弱さが全開だったのは、とっても良かった。
人間笑うとガードが下がるもんで、本気で無茶苦茶にやり通して笑いを取ると、『こいつはこういう奴ですよ』『この話はこういう話ですよ』ってメッセージも、腹筋貫通して入りやすくなるけんね。
まぁそれだけじゃなくて、照れなく本気でバカバカしく笑えるってのは、それ単品ですごく大変だし素敵なことです。


ネタがネタだけにメインは『見える』音済くんだったけど、今回は金城くんの描き方が特に良かったと思います。
最初の方の突っかかってくる態度も、第2話で見せた高い理想が生み出すものだし、不器用に仲間を思う超直球の男ツンデレマジ最高だし、荒ぶることで話を先に進める仕事は仮面男子に対応した時と同じだしで、良いキャラよね。
『そのビニール袋は、どう考えても音済くんが心配で買ってきたやつだろ!!』とか、突っ込みどころ満載なのにクールを装ってるポンコツっぷりも可愛い。
やっぱオラオラボーイを描写する時は、どっかにマヌケで優しい部分が見えるとスコーンと心に入ってくるね。

MooNsの二人も天然な部分だけではなく、釈村くんのハイテンションにクソヲタしてると思ったらすっと冷えるギャップとか、音済くんの分かりにくい情熱とか、これまでのお話では見えづらかった部分がちゃんと見えて良かったです。
野目くんから手ほどきを受けて一瞬でアレンジするところまで行くとか、釈村くんは才に優れているクールな男で、家族関係に軽く闇を抱えているところも見えたなぁ……。
こっちも一見お調子者のクソヲタと思わせておいて、実はすごく冷静な部分があるっていうギャップを丁寧に描写しているわけで、オーソドックスながらキャラの立て方を把握した、良い扱いだと思う。

音済くんは前回あまり絡めなかった是国くんの家族問題をしっかり持ちだして、実は情の深い男だとしっかり見せていたのが良かった。
あと釈村くんのある意味作ったキャラと違って、根っこまで天然なところね……なんだよ『安心しろ、峰打ちだ』って……竹光だよそれ……。
表情に気持ちがあまり出ない音済くんの本心を、この仕事で初めて一緒になった金城くんは把握できず、MooNsで付き合いが長い釈村くんはしっかり分かっているところとかも、関係性の見える良い描写だったなぁ。
MooNsは仕事終わりのリラックスした時間を共有しているシーンも、なかなかの仲良しユニットなんだなと見て取れてグッドでした。
音済くんと同じ不器用系なんだけど、おずおずと仲間のために自分の得意な分野を教えてくれる野目くんの『体のデカい褐色ショタ』っぷりが、俺は好き。

音済くんと仲良くなった金城くんを、ホモっぽい香りを漂わせつつ釈村くんが戯けていじって、『ああ、三人は仲良くなったんだな』と実感して終われるラストシーンとか、エピソードを24分見守った手応えがちゃんとあって、良い〆方でした。
メイン三人の関係を新しく作るだけではなく、既に出来上がっているMooNsの関係性も抜け目なく描写する辺り、巧くエピソード使ったなと思います。
こういう感じでエピソードを積み上げ関係を創っていくと、多人数を立体的に捌く群像劇の楽しさも、個別のキャラクターを掘っていく愉快さも両立出来て、凄くいい感じね。


と言うわけで、2回めのキャラエピソードもネタあり関係性描写あり、なかなか手際の良い捌き方でした。
お仕事への真面目な姿勢といい、それが一歩ずつ実績に結びついていく確かな感覚といい、ネタまみれに見せて手堅い構成と演出を欠かさないところが、楽しく見れる大きな理由だと感じています。
多人数の強みを活かして、ワイワイ楽しく新しい関係性が構築されていく楽しさもしっかりあって、やっぱ良いアニメだなこれ。

これで6人に個別エピが回った形になりますが、残ってるのはTHRIVEの小理屈番長愛染くんと、MooNsの王茶利、野目、増長か……。
4人まとめて話を作るか、はたまた既に一度スポットライトがあたったキャラを活用してくるか。
そういう劇作のテクニックだけではなく、男の子たちがどんな隠された魅力を見せてくれるかにも、期待が高まりますね。