イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd:第6話『逆襲のルドラ』感想

"シン・ゴジラ"公開記念ッ!! 今週のアクティヴレイドは昭和特撮に捧げるエレジーだよー!!
つーわけで、一期第6話・第7話に続くノスタルジア三部作(勝手に命名)、円谷ならぬ角山監督の思いを踏みにじる犯罪に第八が挑み、そして抑えきれないビターな話となりました。
『既に死んだ犯人』を追いかけるミステリを軸に、クールジャパン戦略への生っぽいブッコミあり、普段はクールな瀬名くんの意外な一面あり、ノスタルジーを超えたクエリエイターの気骨あり。
たくさん乗っかっているのに非常にスッキリした、毛並みの良いお話でした。
ヒーローと特撮作成者の交流を交えつつ、ちょっとメタな味付けで食べさせるって意味合いだと、ティガの"ウルトラの星"が近いのかねぇ。

つーわけで、今週は瀬名くんの個人エピソードであり、巨大ロボアニメ・鉄道に続く昭和ノスタルジーに関わるお話。
『プロジェクトマッピングで再現された大怪獣が、犯罪のダシにされる』というフックが非常に強くて、自然と真相を追いかけたくなる良い導入でした。
そこから瀬名くんの意外な一面を掘り下げ、犯人候補の人間性に触れ、陽動に引っかかり水際で阻止……と見せかけて敵にしてやられるという全体の流れがスマートで、非常に飲み込みやすいお話でした。
あえて負けを経験することで、瀬名くんにバードへの個人的な因縁を産み、今後モチベーションが燃え上がる燃料を積ませたのは巧いよねぇホント。

『瀬名くんと特撮』という意外性のある組み合わせを、過去のエピソードを交えつつ見事に混ぜあわせ、意外な魅力として整える展開も良かった。
やっぱクールガイはどっかに熱くなる部分を持っていたほうが良くて、それが特撮という『ジャンル』ではなく角山という『人』なことも、根本的に警察人情話であるこのアニメには、凄くシックリ来ていたと思います。
今の瀬名くんのホームであるセナーズ・インクと第八が交差し、ちょっといい雰囲気で同じ釜の飯を食うシーンがあったのも、瀬名くんの人間味を見せる回として大事な仕事だったね。
やっぱ暖かいメシを一緒に食うシーンがあると、なんだか心がほっこりするよ。

あと面倒くさい元カノが切れ味鋭く再登場したのも、瀬名くんのキャラ掘るのに良かった。
マジ面倒くさそうだったもんなー……船坂さん相変わらず災難だなー。
全然関係ないけど、今回妙に女の子が可愛いカット多かったな……エミリアとか白タイツが際立っていて、非常にキュートだった。


今回のお話が飲み込みやすかったのは、エピソード・ゲストになる角山のキャラクターが魅力的で、彼の話をもっと聞きたくなる引力があったのが大きかったと思います。
特撮史に名を残す巨匠でありながら、袖すりあった瀬名くんに親身に対応し、製作者の自己満足を踏み越えて心に届く表現を目指す好人物。
CGという『ジャンル』それ自体を批判するのではなく、それが視聴者を惹きつけられない
瀬名くんの『あの人が犯人のはずがない!』という熱い気持ちに、素直にシンクロできるようにエピソードのだし方・見せ方が考えぬかれていて、キャラと視聴者が気持ち良く重なり合える話運びになっていました。

角山の特撮への思いは同時に、それを利用して犯罪遊び(被害絶大)に利用するバードへの怒りにも繋がるようになっていて、感情の運び方がとにかく巧みでした。
角山さんがどれだけ手間を掛けてミニチュア特撮を仕上げているのか、撮影現場の細かいカットでしっかり熱意を積み重ねて見せてくれたのは、一期第6話でもよく機能した、このアニメらしいマニアックな気配りでしたね。
あの時もキーとなる『幻想』の作画監督、山根まさひろさんだったなぁ……。

バードへの反感もそうなんですが、都知事黒幕説へのひっそりした導線も、巧く張り巡らされてました。
二度目の爆破でぶっ飛ばれた辺り、区画ごと稲垣都政に反対してた場所なんだよね。
バードが某国大使館と繋がっているのは今回見えたけども、彼の『遊び』が稲垣の正義と繋がっていたとしたら、なかなか厄介そうだなぁ。
まぁ先のことは分からんけども、二期はここら辺の構造はかなり意図的に見せている気がする。


そんなわけで、今はなき巨匠の思いを受け継ぎ、事件を玩弄する巨悪への怒りを深くするエピソードでした。
感情導線の描き方がスマートかつ温度があって、製作者の手のひらの上で気持ちを転がされる快楽が強いお話だったなあ。
ミニチュア特撮へのノスタルジアと、死者の思いを冒涜する犯罪への怒りが巧く噛み合って、エモーショナルなエピソードに仕上がっていました。
エピソード単騎できっちりまとめるだけではなく、今後の展開に繋がる要素も巧く積み上げていて、こういうお話が真ん中に来るシリーズは強いなぁとつくづく思います。