イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第110回『水泳大会ぷり!イゴ!』感想

アクティヴレイドだけに水着回はやらせませんぞ! とばかりに、キチった肌色回で殴りこみをかけてきた女児アニ。
こっちもいろんなキャラてんこ盛りの賑やかな展開の中で、のんちゃんの仲間探しあり、どうにも『トモダチ』を信じ切れないひびきあり、リーダー同士の友情あり。
複数の軸でアッパーなテンションを支えきる、プリパラらしい息抜き回だったと思います。

お話としては第8話『ドキドキ!夏だ!水着だ! プールでかしこまっ♪』と第63話『トモチケは世界を救う』を融合させたような話で、両方の脚本をやった福田さんのテイストが全面に出た作り。
アイドル水着バラエティ特有の『とにかく推しが出てりゃ、中身の方はどーでもいいだろ?』というノリの再現とか、おざなりに差し込まれるステージワイプとか、大量のキャラを入れこむ器の作り方がまず上手い。
ここにざっくりと懐かしいキャラ含めて大量に盛り込みつつ、ときどきあじみで場をひっくり返してノリよく進めていく気持ちよさが、プリパラの強みを活かしていてよかった。
出るキャラを絞って軸をハッキリさせた展開も面白いけど、色物含めていろんな奴がいる面白さもプリパラの魅力なわけで、こういう賑やかな回があると作品の魅力を思い出せるわけです。

そういう賑やかさに押し流されるだけではなく、必要な要素をクッキリ描く巧さもあるのが今エピソードの良さ。
同じ出自を持つファルルとジュルルの触れ合いだとか、着実に発達段階を踏むジュルルが『泳ぎ』という新しい発育を見せたりとか、ソラミVSドレシVSガァルマゲの三軸構造だとか、ネタに紛れてプリパラの『今』をしっかり描いてくるのは、さすがの巧さです。
こういう形で現状をまとめてもらえると、キャラが増えてもこれから何が起こるのか、何をするべきか迷わずに済むので、視聴者的にはありがたい限りだ。
状況が止まってきたらあじみを暴走させてひっくり返せばいいしな……こういうジョーカー的な扱いをし続ける限り、人格としてのあじみを掘り下げるチャンスは来ないということでもあるが。


賑やかで楽しい展開と現状確認を巧妙にこなすだけではなく、今後の展開に繋がる課題も手際よく並べられているのが、今回の巧さ。
賑やかな水着バラエティーで目立つでもなく、今後のために仲間探しをするのんちゃんだけど、既存メンバーとはウマが合わず、今回は見送りになってました。
この後あの子とあの子を引き連れ、新ユニット『ノンシュガー』で殴りこみをかけてくるのは確定した未来なので、そこに上手く繋げる描写だったなと思います。
一人でユニットすら組めてしまう天才肌が、『トモダチ』作りというプリパラの基礎教養に欠点を抱えているのは、ちょっと面白いね。

同じく『トモダチ』を信じ切れないひびきが、それでもプリパラ好きすぎてくっそ下らない水着バラエティーを見続けてしまう様子も、今回しっかり描かれていました。
後ろめたそうに視聴の痕跡を隠す姿は、まるで嫁さんがいぬ間にAV見てるオッサンみたいで死ぬほど面倒くさかったですが、その面倒くささが今のひびきなわけで。
既に自分用のイベントをこなしたふわりは、理解者ッ面で見守ってますけども、はたしてふわり(やらぁら)の性善説的アプローチでひびきのこじらせた人格を掘り返しきれるかは、どうにも確信が持てないところです。
水と油にしか思えないジュルルと触れ合うことで、何らかの化学反応が起こり事態が変化すると良いんだけど……それは来週以降かな。

Bパートでもりっもりポイントを稼いでいたのはみれぃ&シオンのWリーダーでして、サンライズアニメでお馴染みの無人島漂着展開を経て、素直になれない頭脳派どうし、思う存分キャイキャイしてました。
『『ここでプリチケを出してくる!』』のシンクロ具合とか、相合傘とか、爽やかにお互いを認め合う友情の濃度とか、シオみれ好きな人としてはありがたい限りの展開。
実際、シオみれは掘り下げたら面白そうな組み合わせなのに、あんまり描写がないもどかしい間柄だったので、今回ガッツリと気持ちが描かれて非常に良かったです。
こういうお姉ちゃんたちがいるから、他のメンバーが安心してユニット出来てると見せる意味でも、頼れる二人の関係性が掘り下げられたのはグッドだったな。

しかしあの木、相合傘が描かれている割には具体的な名前は消えていて、ちょっと不穏な感じもします。
『神アイドルグランプリ』は三年目のプリパラを貫く大きな軸なので、今回のイベントをフックにして、しばらく立ったあとでまた転がす伏線だったりすんのかなぁ。
単純に、神GPは勝者の名前が残らないほど昔からやっていて、その階段に主役たちが足をかけたって演出かもしれんけどね。
どっちにしても、こういうエモいエピソードが入ることで神GPがただのイベントではなく、キャラクターの感情を受け止めるのに相応しい試練として機能するわけで、必要なところに必要な球が来た感じが強くあるね。


そんなわけで、バラエティ豊かな楽しさ、忙しないキャラクターたちの現状整理、今後の展開への伏線張りなどなど、いろんな事を盛りつけつつまとまった、素晴らしいエピソードでした。
ともすれば過積載で掘り下げ不足になりそうなところを、腕力のあるギャグと展開の速さでテンポよく進めて、過不足なく描き切ってしまう手腕には、まっこと感心しきりであります。
あれだけエモい関係を書いておいて、ツイッターでは『え? これが百合なんですか?』だもんなぁ……福田さんすげーわ、マジ。

んで来週は、思う存分面倒くさいところを振り回しているひびきのターン。
ノイローゼになったり嫌われたり一緒に暴れたり、他のキャラも上手く掘り下げてきたジュルルと向かい合うお話がやってきます。
別に優等生顔で『子供の純朴さで、僕の捻れたトラウマも治ったよ!!』なんてこたーやってくれなくていい(というか、そういう話じゃないのはドロシーが既に証明した)ので、思う存分紫京院ひびきらしく、面倒くさく自分と向き合って欲しいと思います。

三年目のひびき、『状況がこじれて面倒である』って描写は多いんだけど、そこに踏み込んで『こじれた先にどこに行きたいのか、行くべきなのか』を規範以上に示せてはいない感じだしね。
常に『異物』として描かれてきたジュルルが、ひびきにどんな爆弾を投げかけ、二人がどんな反応をするのか。
そっから先の物語はまず変化が起きてから見つければいいと思うので、来週は思う存分暴走して欲しいもんです。
……ソッチのほうが展開がキチって、見てて面白いしな!