ACCAを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
シャレオツの暴力で殴りつけて一気に走った第1話に比べると、ややテンポを落として世界の輪郭やキャラの顔を掘り下げていく感じの回。
色彩を活かした空気の作り方、ヴィヴィッドな食事描写がよく効いて、たっぷりと作品世界の空気を吸い込むことが出来るエピソードだった。
お話としてはジーン周りの人間関係の説明、ACCA設立の歴史と現在の状況、そして通奏低音となるクーデーターの気配を、巨人の国への楽しい旅に乗せて描いていく感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
議会から切り離された民間行政組織って無茶苦茶舵取り難しそうだけど、よく形を保っていられるなあ。
舞台となっているのは変形したEUというか、クーデーター鎮圧のための取引により地方自治化が進み、個性の強い各区が緩やかに連動している国。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
国王の影響力が未だ強くあるということを、煙草の値上げとかケーキの好みとかでひっそり見せてくるのは、謀略モノとして上手い手筋だと思う。
100年間の平和の中で、じっくりと腐敗は進み、しかし平和は平和なので監察課の仕事は少ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
表面と中心、中枢と辺境が連動しつつ軋みあい、その接合点に内乱の予感が埋まっている構図は、緊張感があって好きだ。その疑惑が主人公に収束していくのも、とても面白い。
切れ者なのか愚物なのか、正義の人なのか腐敗しているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
主人公なのにさっぱり読めないジーンの懐の深さが、正体の掴めないクーデター疑惑と上手く噛み合って、ぼんやりとしているのに印象が強い、不思議な読後感を与えてくれる。
ジーンの表情が鮮明になった時、話も一気に進むんだろうな。
そういう不透明な主人公が成立しているのは、レイルやニーノといった『眼』がジーンの周辺に複数存在し、多角的に彼を観察しているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
それは底が見えない主人公(と彼が背負う物語)を立体的に計測し、中身を隠したまま詳細を視聴者に届けてくれる。面白い構図だな。
主人公の懐が見えないことで、お話全体に靄がかかったような不思議さが出てくるし、食事や煙草を効果的に使って『こいつは人間なんだな』という感触は取り逃がさない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月17日
見えないのに先が見たくなるというのは、サスペンスを作る上ではとても大事な欲望の形であり、上手く醸し出していると感心する。
ニーノは『俺は気づかれていない監視役だ』と自惚れているけども、果たして本当にそうなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
そういう疑問が湧いてくるのは、一応の切れ者としてニーノが上手く描けているからだ。それを上回る手筋が、ぼんやりしたジーンにあるのだろうか? ツダケンのネットリ声を聞いていると、自然そう考える。
お話を支える、隠蔽された二面性を強調するのは、妹ちゃんも同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
明るくヴィヴィッドで、美味しそうな食物に囲まれたハッピーな平穏。
その色彩が鮮やかだからこそ、声高ではなくしっとりと『この景色が、ジーンにとっては大事なんだよ』と伝えてくれればこそ、隠れている部分を見たくもなる。
光と影の対比は色んな場面で効果的に使われていて、カフェで妹ちゃんとニーノが暖かく話し合うシーンと、五長官の会議シーンの明暗は見事だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
ニーノもジーンも、あの光と影のちょうど真ん中にいる。どちらがジーンにとって、『平和』にとって本当なのかは、先を見ないとわからない。
意図された緩急と明暗を心地よく使い分け、『まだよく分からないだろうけども、お話も主人公も光と影の際にいるんだよ』としっかり教えてくれる、サスペンスのある第2話だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
主人公自体は空白として描写されてるんだが、その輪郭を彩る日常描写がしみじみよくて、先を見たくなるんだよなあ
それは研ぎ澄まされたシャレオツ力で生み出されているもので、五長官会議のペンタゴンの机とか、あまりのシャレオツパワーに失神しそうになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
ACCA本部もそうなんだけど、幾何学的にスッと線を引く気持ちのいいレイアウト、良く刺さる使い方してると想います。
全体的な構図から離れて個別の顔を見ると、妹ちゃんが可愛かったのと、あっちゃん声の本部長からひっそりヒロインオーラが立ち上っているのが面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
この雰囲気でロマンスをやると、湿気と風通しの良さが同居する気持ち鋳物になりそうだから、ジーンには頑張って欲しい。雰囲気まじ好きなのだ。
しかし王室と議会、地方自治政府にACCAと、権力のアクターが多すぎる国だな…よくクーデターをボヤで済ませられていると思う。政治家優秀なんだろうな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
王室飾りと思いきやそれなりに実権があるっぽい気配なんで、存在しないクーデターが本当は…って運びにしてくんのかなぁ。読めね~。
そう考えると、地方自治が成立したクーデター『未遂』が本当に未遂なのか、怪しくもなってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
妥協点に見えるところが実は終着点で、国家の形を維持したまま中央集権構造(≒王家の権力)を解体する狙いのクーデターは、実は成功していたのではないか、という疑念。おもしれーなこのアニメ。
ともあれ、ゆるっとシャレオツな表面を大事にしたまま、権力と欲望と公民意識が中枢で渦を巻く二重構造は、ジーンの不透明さと一緒にしばらく続きそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月18日
表面と深層を安易に分けず、両方に魅力と意味を詰めて進めていくポストモダンなスタイルはとても好きだ。来週も楽しみである。