3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
島田八段決死の一戦に挑み、散る…ッ! というわけで、人の良い兄ちゃんもまた修羅であり、そうである以上討ち死にもする、というお話であった。
島田さんが主役なんだが、その側にいて零くんが手に入れたものが非常にしっかり判るので、筋がブレている感じは一切しないね。
今週はとにかく開始五分が圧巻。シャフトの幻想的な演出力が最大限暴れた、遠い夢のシーンの仕上がりは凄まじい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
巨大すぎる雪嵐で圧倒された後、美しくも残忍な故郷の幻影にしっかりはまらせて、氷雨降る現実に帰還させる。視聴者の首根っこを幻想で捕まえて振り回す、演出力の豪腕。
設定ミスとも取れる、シーンごとにサイズが変化する畑が逆に『夢』であること、島田八段が置いてけぼりにしてきたものの大きさを教えてくれるところとか、宗谷の象徴である鷺が地面を置き去りにして行き過ぎていくところとか、いちいちメタファーの組み込みが上手かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
髪の毛の残量も多いしな!
初手で『わけわかんねぇが、とにかくすげぇ』雪嵐で殴っておいて、話が終わってみるとその意味がわかるという構成も良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
宗谷という存在の質量に気圧され、光明を見落としてしまった島田さんと同じ位置に、視聴者を置く見事な仕掛けだ。
僕はこのアニメを『水』に注目しながら見ているわけだけど、変質した『水』としての雪の表情、運命の文節をガラスを伝う雨にたくす演出、討ち死にした島田さんに零くんが差し出す死に水と、今週も『水』は色んな顔を見せた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
しんしんと降り積もりもすれば、嵐にもなる。雪は静かで冷たく、孤独だ。
そういう象徴の輝きの中で、島田さんの痛みと血潮はうねり、狂う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
きれいで抽象的ものなど知ったことかとばかりに、具体的な痛みと激しい練に振り回されながら、無様にあがき、必死に戦う。
その姿は、外野が言うようにみっともないだろう。情けないだろう。愚かしいだろう。
だが視聴者は『うるせー! 何も知らねぇのにガタガタ言うな!!』という気持ちになるし、零くんも同じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
無責任で客観的な視点を配置することで、主観的な肩入れを加速させる劇作のテクニックが、今回は聞いていた。ずっと零くんが我慢して我慢して、最後に角を張ることで獅子吼するのが良い。
顔のないざわめきと同時に、とにかく濃い藤本さんを『分かってないやつ』代表として置くのも面白くて、とにかく存在がぶっといので、外野の意見にもまぁ一理はあるかな…という気持ちになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
面白いやつが言っていることには、ついつい耳を傾けてしまうのだ。その振幅が楽しい。
零くんは控えめで周囲の声を気にするいつもの零くんなのだが、最後の最後で、棋士にしか出来ない抗議を大声で叫んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
それはこれまでの物語で積み上げた人間的成長があって初めて打てた、盤外の一打だと思う。大切な人のために、黙っていることなんて出来ないうねりを、零くんも手に入れたのだ。
ここら辺のエネルギーを予見するために、朝食バイキングをモリッと食ってる描写があるのは面白いし、これまでの描写にも沿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
食うことは自分を大切にすること、戦うためのパワー、負けないための支えを手に入れること。川本家を離れても、そこで手に入れた体験は血肉となって生きている。
そういう食卓の情景が、島田さんの『夢』の中では『失われてしまって手に入らないもの』の一部として描写されている対照も、また面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
零くんが手に入れてきたものを打ち捨てて、島田八段は零くんを受け止められる島田八段になった。食卓を軸にねじれる、人間力の在りか。
名言「生きてるって気がするぜぇ!」もしっかりやりきってくれて、闘い死ぬことの無様さと輝きを、しっかり切り取ってくれるエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月4日
ここの描写が分厚いと、これを受け取って太くなる零くんの魂、お話全体にも説得力と愛着が出てくる。ミキシンの演技含め、まさに渾身の仕上がりでした。