イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ 三期ベストエピソード5選

というわけで、一年の長い旅路を無事走り終えてくれたプリパラ。
良いエピソードがたくさんありますが、特に心に響いたエピソードを5つ選び、どこがズギュンと胸に届いたかを思い返してみよう、というのが今回の記事です。
いろいろな魅力があるアニメだったので、『ざっけんなコバヤシおめー』という意見もお有りかと思いますが、そこはまぁ、個人の好みということで一つ。

 

・第93話『ジュルルの大冒険』

 混乱し疲弊した状況から此処に辿り着くまでの旅路を、トンチキなボケと笑いで飾りつつも、らぁらの気持ち自体には嘘をつかずしっかり展開する。

プリパラ:第93話『ジュルルの大冒険』感想 - イマワノキワ

 

前半を牽引した子育てエピソードからは、育児の疲弊とネグレクトの取り返しのつかなさを、笑いのオブラートで包んで叩きつけてきた この回を。ここで『ガキ育てんのは、楽しいことばっかりじゃねぇ』という本音を剥き出しにしてきたことで、ジュルルと暮らしていく日々全体のトーンが、しっかり定まった感じがする。
楽しいこと、しんどいこと引っくるめて色んなことを共有したことが、ジュルルがジュリィとなり、システムの不条理に殺されていく後半の流れに感情を揺さぶられる、大きな足場になったのは間違いないだろう。

 

・第114話『急げ! 神アイドルグランプリ』

『他人の中の己』を見つけることでより『己』らしくなれた子供たちは、それを適切な場所、適切な形で発露することでより望ましい状況にたどり着けると考えていればこそ、プリパラは『みんなトモダチ、みんなアイドル』というコピーに『みんな』の文字を入れているのでしょう

プリパラ:第114話『急げ!神アイドルグランプリ!』感想 - イマワノキワ

 二期で語りきれなかったひびきとふわりの再話として、その二人に深く関係するファルルのキャラクターを照射し直す物語として、想定しうるベストを飛び越えていった名エピソード。
ここでトリコロールの関係性に深く切り込み、物語的な腫瘍を的確に切除したことで、『文句なしの最強ユニット』としてトリコロールを描き切り、神GPに挑む説得力を積み上げることが出来たと思う。シリーズ構成の中でも有用だが、なにより三人の女に残った陰りを描き切り、キャラクターを壊さないまま再配置しきった技量が見事。


・第117話『女神、アイドル始めちゃいました』

ただ巧いだけではなく、今回提示された物語の種はどれも、お話が先に進んでどんな花を咲かせ、実をつけるのか楽しみになる、引き込まれるフックです。

プリパラ:第117話『女神、アイドル始めちゃいました』感想 - イマワノキワ

三期後半をクライマックスまで引っ張ってくれた女神の物語からは、その起点となるこのエピソードを選びたい。 ここで『懐の広いアイドルだな』と思っていたジュリィは、ジャニスが内面を露わにするに従って『身勝手な女だな』となり、その裏側を知ることで『マジ女神だな』となった。
二転三転する評価を追いかけるうちに、ジュリィとジャニスが一体どんな女なのか、どういう欲望を抱えているのかが実感できて、キャラを身近に感じることが出来た。そうすることで、プリパラ崩壊という大きなスケールの話を視聴者に引き寄せることも可能になる。デカイ話を親身に聞かせるためには、かなり計画的な見せ方が必要であり、それはとても難しいが可能だと教えてくれる、一連の流れ。見事だった。

 

・第123話『ノンシュガー漂流記』

過去の物語が結実して一つの結末が生まれるのは、それを見守ってきた視聴者としても充実感と満足を覚える描写なわけで、そういう意味でも非常に巧妙に、的確にノンシュガーの物語をまとめ上げるエピソードになったと思います。

プリパラ:第123話『ノンシュガー漂流記』感想 - イマワノキワ

 同じく後半を引っ張ってくれたノンシュガーからは、実質最終エピソードと言えるこの話を。無人島を舞台にしたドタバタコメディとしても、トンチキな状況が真心の地金を磨き上げる話としても、切れ味鋭いエピソードだった。
先輩アイドルたちが二年以上使って、自分の成長をかなりの精度で終えてしまっている中で、数少ない新要素として物語に飛び込んできたノンシュガーは、ジャニスと二人三脚で欠損が埋まっていくドラマ、関係が構築されていくドラマを走りきり、場を盛り上げてくれた。物語が飛び続ける燃料を供給しながら、自分たちの物語もしっかりやりきった彼女たちには、感謝してもしきれない。


・第130話『女神の想い、ママの誓い』

全てのアイドルは『死』の運命を克服し、愛するべきものを取り戻すために、高みを目指す。 神アイドルを目指し走る道のりの中で、本当の自分が磨きだされ、、真剣だからこそ生まれる絆がある。 プリパラがこれまで描いてきたことを、プリパラが一つの終りを迎えるこれからの話数、やりきる。 そういう宣言が、高らかになされた今、僕はとんでもなく来週からのプリパラが楽しみです。

プリパラ:第130話『女神の想い、ママの誓い』感想 - イマワノキワ

三年間の クライマックスである女神救済編からは、その起点となったこのお話を。とにかく24分の使い方が尋常ではなく巧いエピソードで、最終戦に向けて各キャラクターがどういう課題を背負い、モチベーションを持ち、序列がどのようになっていて、やるべきことは何か、見事にまとめきっている。
この話数で的確に全てをまとめたからこそ、最終盤はゆったりと時間を使って『これまでやってきたこと』を思い返し、あるいは『これまでやってこなかったこと』に目配りして描き直すという、余裕のある進行ができたと思う。三年分の思いが巧く昇華できたのだとすれば、それはやはり、このエピソードに詰め込まれた圧倒的な語りの技術が、強烈に後押ししたのは間違いない。

 

というわけで、主に『三期全体の構成』という視点から5つ、選んでみました。
エピソード個別の切れ味としては、これらに並ぶ話も沢山有るんですが、やっぱ三期は綿密に話を積み上げ、過去すくいきれなかった要素を再話する目の良さが印象的なので、そういう話をピックアップしたくなります。
かくして、あまりにも的確に物語を積み上げて走りきったプリパラは、アイドルタイムという新しい時間に向かいます。楽しみですね。