イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ ベストエピソード10選

というわけで、三期に引き続き、プリパラ全体でもベスト・エピソードをピックアップしていこうと思います。腹を抱えて笑った話、作品の強みに唸った話、色々ありますが、懐かしさとともに見ていければいいなと、そんな感じです。

 

・第1話『アイドル始めちゃいました』

露骨に芸能界たる"女の子はみんなアイドルになれる"プリパラ世界ですが、切磋琢磨とか言ってたんで多分、エーデルローズも真っ青なアイドル蟲毒だと思いますネ。 ……ファンが点数つけるシステムなのに、ステージハケたらぁら&みれぃに拍手してた辺り、そんなに毒のない世界なのかしら?

アニメ感想日記 14/07/06 - イマワノキワ

 まずは作品の顔とも言える第一話から。ただ『世界で最初のプリパラだから』という部分よりも、キャラと世界の見せ方、全体的なトーンの醸し出し方、笑いの作り方と、作品の強い部分がコンパクトにまとまっている、お手本のようなエピソードだから選んだ感じ。
当時の感想を読み返すと、スゲー勢いでプリリズの亡霊を振り払えていなくて、色眼鏡で見ているのが判る。それをぶっ飛ばす独自のパワーと、形は変わっても残るリスペクトがにあったから、僕はプリパラが好きになったんだと思う。

 

・第12話『はばたけ、そふぃ!』

ダメダメな子でも周囲の支えがあれば鳥かごから出れるし、出すための援助は惜しんではいけないというテーマは、起承転結の結に当たる今回でも、徹底して貫かれていたと思います。 前回のメイキングドラマ失敗Verを踏まえ、籠の外から鍵を手渡し、自分で開けさせる今回のメイキングドラマを見れば、自分たちが何を伝えたいのか、何を伝えるべきなのか、スタッフに迷いがないのが判ります

アニメ感想日記 14/09/24 - イマワノキワ

今思い返しても、第1クール目そふぃ編は非常によく締まった話で、メイン三人+マネージャー二匹のキャラを存分に紹介しつつ、三人が運命的に出会い、そふぃがこれから長く続く体質との戦いを始める第一歩として、過不足ない仕上がりをしている。
ここでグッとエモく盛り上げたことが、視聴者を引きつける パワーを生み出し、維持する源泉になったと思う。欠点が明瞭なそふぃはこの後も、体質を『改善』しきることなく、なんとか巧くやっていく方法を色々探しながら、へにゃへにゃ生きていくことになる。俺は、そんな彼女を見るのが好きだった。すごく好きだったよ。

 

・第24話『さよなら、プリパラ』

今まで苦しめられていたバリアがぶっ壊れる所と、ADリスペクトの篭った『若い世代のパフォーマンスで、年長者を苦しめる執着が溶けていく』展開を台詞抜きでやったのは、リリカルで非常に良かったです

アニメ感想日記 14/12/13 - イマワノキワ

僕はグロちゃん大好き人間なので、『イヤな大人』をやり続けた序盤の功労者が決壊し、少女の愛がこじらせた大人を救うこの回はベストである。一期はホント、各クールのボスが存在感あって、みっしりと詰まった九ヶ月だった。
ここで解放されたグロちゃんは不出生の教育者としての才能を存分に発揮し、ふわりやらあろみかやらペッパーやら、問題ありまくりも子供たちを片っ端から包容し、『頼れる大人』としての仕事を存分に果たしてくれた。大神田グローリアという存在がいてくれたことは、プリパラの問題児たちにとって圧倒的に僥倖だったと思う。 

 

・第36話『ファルルのトモダチ』

人が死ぬという事実は絶対的に重たく、小学生一人の頑張り程度では覆らないほど、リアルな事実であると、今回のらぁらの失敗は見せています。 その重たさはこれから起こる奇跡の重さ、プリパラがひっくり返す現実の重さを意味しているわけで、それを担保するべく、ユニコンは道化た仕草を貫きつつも、過酷で真摯な現実性を、今回見せてたんだと、僕は思います。

アニメ感想日記 15/03/15 - イマワノキワ

 第34話に漂う『愛を知った機械』のSFテイストと非常に迷ったが、一年目ラストの勝負どころとして『死』を捕まえに行ったチャレンジ精神を勝って、ファルル編からはこれを。ユニコンの悲壮な怒りと涙を、大谷育江が圧倒的な声優力で熱演していた。
ここで『母と死』を本気で描ききったことが、二年後ジュルルに対し『母と死』をらぁらが演じ直す時に、大いなる財産として生きていた気がする。このとき『死』を理解できず(理解せず)、その幼さで奇跡を引き寄せた少女は、子を育む旅路の果てに『死』を受け入れ、精霊となった我が子を言祝ぐようになる。そのロングスパンでの物語的視力の良さが、プリパラ最大の強さの一つだ。


・第64話『ハムとあじみ』

……やっぱ歴代最強だな。

プリパラ:第64話『ハムとあじみ』感想 - イマワノキワ

ぶっ飛んだキャラ造形を得意とするプリパラでも、最強に強まったキ印、あじみ先生登場回。たしか時間帯移動した直後にこれだったので、『プリパラがどんなアニメなのか』を一発で理解らせるパワー勝負の展開になった記憶がある。プリパラが持っている笑いの暴力が、一番強く出た回だと思う。
あじみの強烈すぎるキャラクターは二期では結局扱いきれず、頭を打って『正気になる』 というプリパラらしからぬ決着でしか、お話を一旦落ち着かせることができなかった。このリベンジは、同じく語りきれなかったひびきと一緒に三期できっちりやりきることになる。

 

・第80話『ポップ・ステップ・ガァルル!』

ガァルルは元々好きなキャラだったのですが、生まれからくるネガティブな要素が綺麗に反転し、幼い真っ直ぐさでプリパラの楽しさ、ステージの面白さを主張する、無垢なる救世主として活躍していました。

プリパラ:第80話『ポップ・ステップ・ガァルル!』感想 - イマワノキワ

 世界設定の闇を全て背負い、愛されなかったものの代表としてこの世に産み落とされたガァルルが、同じく見捨てられたみれいを奮起させる構図が圧倒的に美しい回。一個前の第79話で、『努力は必ず報われる。夢は才能を凌駕する』という綺麗事を、一回完膚なきまでにぶっ壊しているところと合わせて、見事なエピソード。
ガァルルはこの後も、不完全に生まれ落ちた俺達の影絵として、圧倒的にエモく熱く己の物語を積み上げて行く。それを支え、隣り合うことで、アロマゲもいい塩梅に『自由で悪い子供』として走り回っていた。
その自由さが、同じく子供のはずなのにプリパラ世界を背負う主人公でもあり、あまり自分のエゴを暴走し得なかったらぁらの不自由さと、奇妙に呼応している気がする。彼女は来年も、永遠の六年生としてカメラの前に立ち続ける。その幸福、その不幸。

 

・ 第89話『み~んなトモダチ! み~んなアイドル!』

何がどうあれ、プリパラはまだ止まらないし、止まれません。

プリパラ:第89話『み~んなトモダチ! み~んなアイドル!』感想 - イマワノキワ

ひびきが体現する『才能の比べ合いとしてのステージアクト』 というテーマとその失敗を、「難しすぎたね!」というのんちゃんの一言で飲み込んでしまった、プリパラの怪物性を体現する二期最終話。
ここで終わっていたのなら、プリパラは正直色々しこりの残る物語だったと思う。ここで語り得たもの、語り得なかったものを冷静に見極め、いかにして三期特有の物語を展開しつつ、語り残したものを語りきっていくか。この回で語られた終わりが、実は全くもって終わりではなかったことを、三期で僕らは思い知ることになる。
それが可能になったのは、語りきれなかったとしても重要なテーマに挑み、自分たちの物語が内包する矛盾を俎上に載せ、キャラクターに背負わせて語ろうとしたチャレンジ精神ゆえであり、ある程度以上それに成功していたからこそではないかと、終わってみて思う。見返すと、相当二期不満なんだな俺……って感じではあるな。


・第99話『青春ジャンピンスナッピン!』

ジュルルと遊ぶ三人の笑顔に無理がないのは、愛される赤ん坊側の描写としても幸せなことだ、本当に。

プリパラ:第99話『青春ジャンピンスナッピン!』感想 - イマワノキワ

 ジュルル子育てエピとしても、ドレパ個別エピとしても切れ味鋭いお話を、三期から選ぶ。人数が増えてくると、過去に自分の物語を終えたキャラはなかなか尺をもらえなくなってくるが、こういうあまりにも鋭い一撃があることで、存在感をアピールできていた。
思い返すと僕は東堂シオンというキャラが本当に好きで、この回で『赤ん坊』という壊れやすい異物に戸惑いつつも間合いを見つけていく描写があって、本当に嬉しかった。そんな彼女が最終話ラストで、ストイックな侍としての選択肢に立ち返り、舞台から一旦降りることで自分らしさを貫いてくれたことは、感謝してもしきれない。共にあり続けることだけが幸せの形ではないし、キャラクターのプライドを慮り尊重することはとんでもなく大事なのだ。


・第102話『変幻自在! ジュエルチェンジぽよ♡』

やっぱこういうパワー勝負の回がしっかり楽しいからこそ、プリパラはプリパラなんだなぁ……。

プリパラ:第102話『変幻自在! ジュエルチェンジぽよ♡』感想 - イマワノキワ

 シオンメイン回が続くなぁ……そんなに東堂が好きか! はい好きです!! そんな感じだ。さておき、プリパラが力強くコメディであり続けたこと、140話ずっと楽しかったことは、凄く意味のあることだと思う。楽しいという感情は強い。異物を飲み込みやすくなるからだ。
ヒガナ年中面白くあり続けるということは、想像を絶する苦行だ。しかしプリパラは色んな笑いをえげつなく追求し続け、その上で守るべき一線を維持し続けもした。出来ることではないし、それがどうやって成立しているかは、マジやりっぱなしのこの回を見ればわかる。野放図は卓越した技量によって、共有可能な価値へと変貌するのだ。


・第135話『スマイル0%』 

『みんなトモダチ』を肯定するか否かに関わらず、そこには勝ち負けがあり、明確に上下が付けばこそ悔しく、楽しくもあったはず。 『ライバル』でありながら『トモダチ』でもあるという、非常に難しい距離感にずっと取り組んできたプリパラにとって、ひびきの厳しい態度は『勝負』の部分を肯定する、強力なロジックでした。

プリパラ:第135話『スマイル0%』感想 - イマワノキワ

『みんな』が楽しい アイドルテーマパークでありつつ、点数によってヒエラルキーが決まるリアルな階層社会でもあるプリパラ。そのリアリティを維持するためには、才能の優劣に嘘をついてはいけないし、それを乗り越えて勝ちをもぎ取るためのロジックを積み上げる必要がある。
『みんなトモダチ』という楽園の綺麗事を守るためには、実は相当シビアに勝ち負けを描写し、負けていく側の誇りをしっかり照射しなければいけないことを、プリパラに積み重なる幾つもの『勝負』は示している。
第135話はその勝敗のロジックが最も先鋭化された物語であり、圧倒的実力を誇るトリコロールの『縦の強さ』に対し、パラ宿という地の利、積み上げてきた歴史と人の繋がり、主人公としての天命全てを重ね合わせ、勝負を『横の強さ』にずらした凡人・南みれぃが勝利するエピソードだ。
神GPはパラ宿最後のアイドルバトルだけあって、『なぜ勝ち、なぜ負けるのか』という問いに対し、かなり容赦なく答えが出ていた。その上で、ノンシュガーやガァルマゲドン、うっちゃりビッグバンという『負けることが約束されていた』ユニットの維持や誇りも、しっかり追いかけてくれた。
そういう形で勝ち負けを描けたのは、『みんなトモダチ、みんなアイドル』を掲げたアニメとして、誠実な回答だったと思う。最終回で、シオンが『次勝つために』選んだ答え含めて。

 

という感じで、10話選んでみました。並べてみると、ホントお前は東堂シオンが好きだな! っていう感じのチョイスだ。はい、プライドがあってハンサムで優しい子が、いつでも大好きです。
140話に及ぶ分厚い物語の中から、10話を選ぶのは結構大変でした。それは二年九ヶ月物語を見守らせてもらった結果生まれた、幸せな苦労だとも思います。ありがとう、プリパラ。
願わくば、来週からのアイドルタイムにも、ここに選び取った物語のようなかけがえないきらめきが宿りますように。