ID-0を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
銀河のならず者採掘業者に身を寄せた未熟な主人公と、記憶も肉体も失ったスペースメカ忍者。凸凹コンビの初仕事が心地よいテンポで流れていく、活劇の第2回。
背景設定やキャラの秘密情報なんかもどんどん盛り込まれ、喰い応えのあるエピソードでした。
豊かな枝葉は一旦後において、メインストーリーを追いかけていくと、今回の話はマヤちゃんがエスカベイト社に己の存在意義を見出すまでの物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
軍隊叩き上げの社長は、実際に危険な採掘をやりきるタフさを証明しない限り、マヤを認めない。マヤも現場で危険を共有し、イドの人間性を確認していく。
大企業が秘匿情報に定めた新惑星を蛇の道は蛇で見つけてくるエスカベイト社は、世間の常識から外れたアウトローだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
頭でっかちの常識人、知識だけのチブル星人であるマヤは、そこに放り込まれた『この世界の当たり前』担当である。当然齟齬は置き、そこを乗り越えていく過程がドラマにもなる。
マヤの認識としては、Iマシンは仮初の宿、宇宙での『死』を肩代わりしてくれる鋼鉄製の流し雛みたいなもんである。それが社会の一般常識でもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
しかしアウトローたちはそういうところから離れて存在していて、生身に帰ることは出来ない連中があの船には集まっている。
マヤはそういう場所に想像力が追いついておらず、結構無神経に『生身に帰ればいいじゃないですか』と言う。シリアスな痛みを生むはずのその言葉を受け流す、リックの戯けた対応は、帰りたくても帰れない悲しさが背景にある。ある種のやけっぱちでもあろう。真実タフということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
実は『帰りたくても帰れない』のはマヤも同じで、教授の陰謀により社会的な立場(同一性・ID)を失ったマヤは、タフガイたちとはまた別の形で帰還すべき社会的身体をロストしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
マヤもまた、帰る場所のないアウトローであり、エスカベイト社には来るべくしてやってきたのだ。
ここら辺の資質は鉄火場で一気に開花し、ナビゲーターとしてイドを見事に導き、荒くれ者も真っ青なリスキーな選択をビシバシ指し示していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
常識に縛られたフツーの女だと思ってたら、思いの外タフで優秀であったという、納得の行く意外性。採掘現場での緊迫感のあるアクションがそれを飲み込ませる
資質を鉄火場で見せていくのはイドも同じで、彼の場合はぶっきらぼうで冷徹な仮面を剥ぎ取り、人情家の熱い血潮を教えてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
理屈では目の前で失われるのは仮初の命で、取り返しのつくものだ。しかしイドは、代返の聞かない鋼鉄の身体でマヤをかばい、傷を受けた。そういうことの出来る男なのだ。
イドが見せた優しさを裂け目にして、マヤはアウトロー達の事情に侵入していく。彼らの過去を採掘し、共有していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
帰るべき身体も、頼るべき記憶もない、identificationの手段を失ったID-0(イド)。彼が鋼鉄の兄弟であると理解したから、マヤは己の身体を分け与える。
これは意識を複製/転写するSF技術があって初めて可能なヒューマニティの表現であり、とてもSF的なシーンだなと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
人間の定義が拡張した未来でも、命と真心に背中を向けず、真摯に向き合えることこそが人間の証明となる。
シンプルで古臭い真実を、ズドンと打ち出してくるのが気持いい。
常識に縛られた半人前の地質学者と、クールすぎて素顔が見えにくい宇宙忍者。お互いの欠損を物理的に補い、コンビとして助け合いながら疾走する二人の姿は、見ていてとても楽しいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
やっぱバディものはイイなぁ…マヤちゃんの強みが明確かつ有効なので、バディを組む説得力があるのが良い。
『命を心配するのは英雄的な行為で、良いことだ』という価値観はリックにも及んでいて、危険域ギリギリで二人を待ち回収する振る舞い一つで、彼が『良いやつ』なのだと判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
ここら辺は教授のクソ外道っぷりが、反射材として効いてるところだなぁ。命を軽んじるクズがいるから、ヒーローが目立つ。
マヤちゃんのイニシエーションから目を外すと、色々情報量の多い回だった。緑川が子安になったり、身体を思い出せる連中と思い出せない連中のIDの差異(と合同)だったり、超絶インチキなオリハルトの性質だったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
あんな時限爆弾がいきなり転移してくるなら、Iマシンも開発するよね。
アリスガワ博士の解説によれば、Iマシンは記憶と精神をマシーンに転写するものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
鋼鉄のアウトロー達が身体を持っているか否かはまだ分からんが、VRルームでの描写が『私はこういう存在である』という自己認識、IDを示しているのは間違いない。
記憶がない(だろう)イドはIマシーンの姿を己と認識し、生体の記憶がある社長やカーラは人間体を投影する。あそこで見えたのはそれぞれの過去、それぞれの喪失なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
マヤの健常な想像力はまだそこには及ばないけど、だんだんそこに踏み込んでいくデリカシーを学習し、色々明らかになるだろ
デジタル化した意識を機械に転写した時、『私』は複数化する。機械の私と肉の私、どっちが本物なのか。Iマシーンという道具立ては、そういう命題にも切り込める武器だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
イドの状況が記憶喪失によるIDロストなのか、コピーされた電子の自我が独立行動している結果なのかは、現状判別つかんね
他の連中も色々ワケアリっぽい(ここに想像を巡らすのに、EDの一枚絵が活きてるのは巧いと思う)し、オイオイ事情が見えてくることだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
緑川が子安になった事情とかな! 何だよアレ! 『来たな…我がボディ…』ってことかよ! 空裂眼刺驚とか撃つのかよ!
ジョジョオタクの興奮はさておき、記憶の混濁、身体の乗り換えという問題はエスカベイト社だけではなく、その敵も抱え込んだネタのようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
記憶や意識や身体、『私を私たらしめるもの』を切り貼りできる超技術が、悪いことばっかりではないと継ぎ接ぎボディの大活劇で示せたのは、良かったと思う。
ここで身体二元論に堕ちるのではなく、『身体と記憶の関係性にも色々個別の表情があるし、社会的身体が喪失しても人間は『帰るべき場所』に帰れないのだ』という視野の広さがあるのも、その言葉の最上の意味で『SF的』だなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
意識を拡張し切り貼りする技術は、想像力を拡大もするのだ。
世界の片隅に押し流されたマヤちゃんがアウトローの流儀を学び、イド達アウトローが体温を持っていることを教えてくれる、良い第2話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
必要なことを高速で説明しつつ、人間のドラマ、アクションの興奮がちゃんと詰まって楽しいってのは、ホント優れたエンターテインメントだと思います。
あ、後とりあえずアウトロー試験に合格して一息ついた! ってところで石の中から女の子が出てきて、話がさらに転がる要素を見せてきたのもグッド。安心感と期待感を同居させる、難しいけど必要な投球術が冴え渡る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
しかし上田麗奈はまーた超越者っぽい役どころか…声に透明感があるからかな。
帰れないなりに居場所を見つけたマヤちゃんと、移ろう魂の宿り木を探し続けるイド。彼らの物語がどう転がっていくのか、非常に楽しみになるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月16日
SF的ガジェットや思索的広がりもいいけど、シンプルなドラマに歯ごたえがあるのがほんと素晴らしい。バディもの最高(二度目)