サクラクエストを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
ロマンティック浮かれモードに水をぶっかけられ、改めて己を問い直した国王一行。幻想と現実の交錯点で、それぞれ己らしく迷い、学び、手をつくして夢を実現させていく。
それがどういう大樹になるかはわからないけども、希望の種はちゃんとまかれた。地に足付いた前向きさ。
今週は幻想と現実のお話で、シンデレラがモチーフのひとつになるのも納得の仕上がり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
『すね毛の生えたシンデレラ』というワードの強さも良かったが、東京という舞踏会場から逃げ出して間野山に来た早苗ちゃんが、彫刻の付いたガラスの靴を手に入れる展開もナイスだった。
上っ付いた夢や、失敗からの逃避で間野山に流れ着いた国王と早苗ちゃんは、一志兄さんが代表する現実側の人間からすれば、信用の置けないヨソモノだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
先週はそれを叩きつけて終わったわけだが、今週は幻想をいかに現実に変えていくか、その境界線を見定めていくこととなる。
フワッフワであるがゆえにスケールデカいことを考えつく由乃も、一旦地面に足をつけて自分の足で実物を見て、彫刻を学んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
「現実に見ると、写真とぜんぜん違う!」というのは彫刻だけではなく、間野山という場所、国王という仕事、仕事それ自体にもかかる大きなセリフだろう。
由乃が幻想と現実をする合わせるスタイルは、傷や痛みを気にせずガンガン前に進んで、自分の目と足で学び、吸収していくやり方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
光に満ちたその足取りは、闇の中をウロウロと迷いながら道を探す早苗ちゃんのスタイルと対比的でありつつ、両方に意味がある。どっちかを『正解』にしなかったのが良い。
お話全体のスケールは、話の中心になる主人公で決まる。だから、由乃が夢見がちで現実性のないアイデアばっか思いつくのは、とても良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
脇の甘さはパーティーの仲間が補助すればいい。早苗ちゃんが現実的な折衷案を用意しつつ、100年計画の桜池ファミリアも企画として残せば良い。
それぞれ違うやり方、スタイル、自分らしさがある。それは弱点であり欠損でもあるが、だからこそ補い合い、みんなで一緒にいる必要性も、その結果生まれてくる大きなものも明瞭になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
国王パーティーがどう機能するかを見せるテストケースとして、今回の幻想と現実のすり合わせはとても良かった。
幻想と現実の接触点を見つけたのは早苗ちゃんも同じで、意識高い系田舎暮らしという魔法のドレスで着飾っていた彼女は、一志兄さんにガツンとやられ、辰男に支えられることで自分を見つめ直す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
彫刻の付いた木靴を履いて、間野山で自分がどうあるべきかを発見し、行動していく。
ヨソモノであるが故に、早苗ちゃんは地元の人が気づかない『駅』の意味に気づく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
結節点、境界線は当たり前に存在しているが、そこがなければ外部との接続は途切れ、自分も今ここにはいない。そういう発想は、アウトサイダーの特権だ。だから、ラストで観光客が彫刻に目を輝かせる展開に説得力がある
『現実』の代表として嫌味なこと言っているように見える一志兄さんが、実は一番幻想を追い求めている危うい存在だという対比も、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
誰にも届かない欄間を掘り続ける兄さんは、自分を貫いた夢をずっと置い続けている。死んでも、滅んでも悔いはないという危うい夢想に支配されている。
国王たちが見つけた結節点は、自分たちが間野山に居場所を見つけるだけではなく、一志兄さんや間野山彫刻自体にも生きる道を与えたわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
自習の結果『伝統もまた常に時代に対応し、変革して生き延びてきた』という事実にたどり着き、それを足場に進んでいくのが面白い。
シンデレラをモチーフにしているだけに、早苗ちゃんのロマンス気配を上手く補助線に使っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
みすぼらしいジャージから、デキる女へと魔法をかけてくれたのは、木彫りの靴の王子様、というわけだ。兄さんもラストでデレたしな!
ああいうストロングスタイルの職人ツンデレは良い。凄く良い。
早苗ちゃんと辰男はふたりとも『駅』を通って間野山にたどり着いた、漂白のアウトサイダーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
そんな二人の距離感が縮まり、半身だけ境界線から乗り出してお互いを心のなかに入れていく場面として、駅前でコーヒー飲むシーンは叙情性が高かった。お酒じゃない所が良い。少し苦くて、元気が出る。
板目を縦の境界線として使って心理的距離を示し、そこをお互い乗り越えて心を許していくレイアウトが特徴的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
ピチッピチッと画面を区切る直線が、二人の身体で侵犯されていく。そのほころびから物語が転がっていって、より良い結末がやってくる。
『越境』というテーマに似合った絵作り。
自習シーンを長めに取ることで、上っ付いた国王達が地面に着陸し、足をつけて進んでいく説得力と楽しさがちゃんと確保されていたのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
学ぶ内容、方法で各キャラの個性が出て、今後の展開を期待させる仕上がりになったのも、なかなか目端が利いている。早苗ちゃん終わったから、次は誰かな。
急にしおりとり凛々子が高校時代の思い出をぶっ放し、『アタシら『地元』で『百合』だから。そこンとこヨロシク』と威圧してくる流れとか、リリカルさで不意打ち仕掛けてきて凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
幻想に浸れた学生時代が、既に遠くにあるってのがこのアニメらしいなと思う。夢の時代からちょっと離れた場所。
夢見る頃を過ぎても、夢を見ることはやめられないし、それは意味がないことではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
膨らむ夢をどう現実に着地させ、少しだけ嘘っぽい、だからこそ希望に満ちたお伽噺に質感をもたせるか。
作品全体の取り回しに関わる問題を、なかなかいいところに納めるエピソードだったと思います。
群像劇なので、色んな個性があること、それは根本的に良いものであることが、描写の中で示されたのもとても良かった。それぞれのやり方、それぞれの結論があるけども、それは排他的なものではないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
国王初のクエスト成功として、とても良い仕上がりになったと思います。次のエピソードも楽しみ。
追記
サクラクエスト、『駅を装飾する』『100年計画で城を作る』という計画もかなりふわっと夢っぽいわけだが、国王の浮かれモードを前回ちゃんと描写し、そこを思いっきりぶっ叩いた上でより良いふわっとを出し、早苗ちゃんが修正し…と、夢っぽさの調整を細かくやって、飲ませる手際が良いね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
いきなり解決策として出されたら飲めなかったかも知れないモノも、より大きく中身が無いものを削って膨らませてまた削って…とやることで、『現実味のある夢』として受け入れられるようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
『作中のリアリティは作中の描写が全て定める』という、フィクションのルールの乗りこなし方が良く分かる
いわば今回の前後編、作品全体のリアリティラインを彫刻し見本を作ったわけで、こういうモチーフとのシンクロが感じられる/妄想できるのは、面白いなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月3日
早苗ちゃんエピの運び方と落とし方はとても良かったので、この塩梅の他の仲間も掘り下げていってほしいな。