スタミュを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
星谷選抜枠落選! 主役抜擢!! 衝撃的なヒキを受けて始まる最終章…に向けて、ド素人が成功するために説得力を積み上げる回。
星谷が自分と向かい合い強くなる回であると同時に、去っていく柊先輩へ最大限の花道を用意するエピソードでもあった。素晴らしい。
ここまで星谷は前向きな精神性と優しさ、溢れる行動力でガンガン話を引っ張ってきた。それがこの作品特有の毛並みの良さを生み出しているのだが、裏を返せば他人優先、自分がないということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
それは『期待の新人』である間は強みだが、舞台の真ん中を支える『主演』としては弱さにもなる。
このアニメはキャラの強さも弱さも全部ひっくるめで掘り返すので、二期で一度触れられたハングリー精神のなさ、自分の問題には必死になりきれない星谷の脆さが、今回もう一度扱われることとなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
それは一人では乗り越えられない問題であり、星谷の憧れである鳳が助けてはいけない問題でもある。
これまでは鳳に憧れ、見上げることで先に進めていたわけだが、共演者である以上二人は同等のラインに立たなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
星谷はもはや、『夢に憧れるだけの素人』ではいられない状況に追い込まれたのだ。ここで鳳が手を差し伸べてしまえば、二人の間にある格差は固定され、星谷は変われない。
周囲の連中が空回り気味に曇天を走り回る中、星谷に唯一届くのは柊先輩である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
星谷が『憧れへの視線』で揚羽と共通点を見つけ、それを足場に彼を攻略していったように。兄にあまりに複雑な思いをいだき、星谷より先にそれに決着を付けた男が、『判るよ』と隣に立つ。『お前なら出来るよ』と。
一期で自分の感情に振り回される姿、そしてそれを星谷が無自覚に導くありがたさを見ていた分、柊先輩が星谷を支え、鍛え、導いていく姿は心を打つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
善因善果、かつて助けられたものが、今は助ける。そういうサイクルが主客を変え、演者を入れ替えてあらゆる場面で見られるのは、とてもいい。
同じ感情を共有する他者を鏡にして、自分の姿勢を確認し、困難に立ち向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
二期を貫くモチーフは少年たちが挑む”Shadow&Lights”のテーマであり、柊と星谷を結びつける絆だ。
『同じ男に目を奪われ、魂を焦がされた兄弟。だからこそ、後を託せる』というロジックには説得力がある。
鳳は舞台袖の暗闇に引き下がりつつ、真ん中に立つ星谷と柊の視線を浴び続ける。その屈折した光が、スターとしての彼の凄みを引き立てもする。そういう思いを引きつけるだけの引力が、鳳にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
本番に向け、星谷の憧れ超えに向けて、準備を整えつつ壁の高さを確認する手際も、今回とても良かった。
柊と星谷の魂のぶつかり合いは、ド素人が主役を張り、舞台を成功させる展開を描写で支える準備でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
あれだけ熱い思いを込めたから、あれだけ練習したから。星谷でも/だからこそ舞台を成功させられると思わせるためには、脚本をクシャクシャにする努力描写が大事なのだ。
ここで1話、星谷が前に進むために使うのはスタミュっぽいなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
彼は素人だからこそ、色んな人を巻き込み前向きにしていく主人公足り得たし、それは同時に『演劇』の真剣さを損ないかねない爆弾でもある。
『ド素人でも話の都合でうまくいくなんて、随分チョロいね』と思われたら終わりだ。
キャラクターが持つ美点と劇作上の強み、その影にある弱さと都合の良さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
両方踏まえて、後者を前者に寄せていくお話にじっくり時間を使う。これは前回、那雪の敗北に意味をもたせうるために尺を使ったのと同じ姿勢だ。
ここら辺怠けないことで、熱を損なうことなく自然に話にノレるのだと思う。
柊先輩は脚本から自分の名前を消し、前向きに去っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
同じ場所でお互いだけを見ていた兄弟が、脚本に赤線を引き、変化を受け入れる。一期から続く感情の流れが凄く巧く昇華されていたのも、今回とても良かったポイントだ。
俺あの兄弟の間にある感情、マジ好きだかんね。こういう終わりは良い。
メイン二人にガッツリ寄せた展開であったが、星谷に助けられた人々がウロウロ駆け回り、重くなる空気を巧く抜いていたのは、彼らの人の良さを感じられてよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
ずっと助けてきたやつが、ちゃんと助けられる互恵性があるのは、やっぱ良いことだ。キャラを『善意のタダ乗り野郎』だと思わんですむ。
まぁ少年たちの空回りはある程度以上ファンサービスというか穴埋めというか、話の中軸にはかかわらない描写なんだけどね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
でも個別のキャラ萌えで売っている以上、そうやって細かく見せ場を入れるのはある意味誠実でもあるんだろうなぁ。自由過ぎる戌峰の描写とか、アホでよかったよ。
天候と画面のトーンがシンクロする印象主義の演出も、今まで通りよく冴えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
曇り空から雨、柊と出会って晴れに繋がる流れは、そのまんま星谷の心理的/物語的状況を意味する。絵でムードを後押しするのは、映像表現ではやっぱ大事だなぁ。
柊が切り裂いた星谷の青い空は、同時に柊自身が巣立っていく空でもある。そこを切り開くために星谷がどんなことをやってきたか考えると、同じ空をみんなで見上げるラストカットは、なかなか感慨深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
チーム柊がメンターへの情を覗かせてたのも、しみじみと良かった。俺も好きだよ柊先輩のこと…。
一足先に鳳への感情に決着を付け、柊先輩は新しい舞台に旅立っていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月5日
星谷もハードな本番を経て、鳳の背中を見つめ続ける立場から彼に並ぶ主演へと、それを飛び越えて星谷自身へと走り抜けていくだろう。
クライマックスへの予感と期待が高まる、良い修行回でした。来週も楽しみです。