スタミュを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
色々あった二期もついに最後の幕が開く。『Shadow&Lights』本番前の穏やかな助走と、慌ただしく駆け抜けていく本番の対比が渦を生み出すクライマックス直前。
『光と影』のタイトル通り、選ばれなかったものの悲しみを舞台裏から切り取るカメラが印象的。
今回は本番入る前と入った後で完全に空気が異なっていて、その分水嶺としてチーム鳳のお歌がある構成。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
前半は主役を張れるくらいに育った星谷と、スパイス効いた出番はありつつ大きいのをもらえなかった空閑くん最後の交流が軸。二人のシーンは、画面の作り方が完全にロマンス。
先週から時間をバッと飛ばしたのも、最後に空閑くんから星谷への感情を乗せたのも、『星谷が主演を張る』という状況に説得力を積むための処置だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
星谷の素人パワーで進んできた物語だけに、いきなりメインへの抜擢はやっぱり急なコーナーだ。曲がるためには整備が必要になる。
そうやって星谷を舞台に上げて、描きたいものは鳳との対峙、憧れ殺しの大舞台なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
それは大トリのネタなので、今回は予兆を見せつつも対峙まではいかない。話を引っ張る小さな盛り上がりとして、揚羽との物理的衝突というアクシデントで引いたのは良かったのか、悪かったのか。
自閉した状況から星谷の光に惹かれ、扉を開けて出てきた揚羽が、釘の光を大事なものと勘違いして事故る。裏方やり慣れていないからこそ、影に引っ込んでキビキビ動くやり方がわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
アクシデントに至るまでの揚羽の動きには、色々篭っている…んだが、ちょっと微細に過ぎて難しい。
正直、あそこでの追突はアクシデントのためのアクシデント、ショックのためのショック、盛り上がりのための盛り上がりにも思えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
わざわざ小さな釘を拾い上げる必然性をもうちょっと分厚く描かないと、飲み込みにくいシーンかな、と。デカイ山作んないと次回に引けないってのも分かるが。
大きな衝突がトゥーマッチに思えるのは、小さなデコボコが小気味よく、スムーズで気持ち良く思えていたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
Bパート入ってからの舞台裏は、場面自体は高速で切り替わる心地よさを備えつつも、描いている物自体はたったひとつ、どっしりとしている。『影』である。
スポットライトを浴びて輝く舞台本番は、あくまで舞台袖から繋がる終端としてしか描かれない。描かれているのは奈落、選ばれなかったものたちが自分の未練と向き合う煉獄だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
そこには苦さがあり、無邪気なあこがれがあり、そういうウジウジとは関係なく高速で進む現実がある。
選ばれなかったことに、当然人は思い悩む。敗北感、挫折。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
『僕がここに連れてくるはずだったのに』
様々なキャラクターを舞台に上げ、あえてエグい言い回しをするなら『使い潰して』なんとかここまでやってきたスタミュ二期。
最終話一個前の主役は、そうやって倒れていった有象無象全てだ。
影の中で渦を巻く負の感情は、何も負け犬の特権ではない。主役たちも緊張し、選ばれ光を強く当てられるがゆえの、孤独な感情に翻弄されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
それはある。どんなにキラキラした物語の中でも、勝者が輝く足元では敗者が踏みにじられている。無視すれば消えるというものではないので、ちゃんと描く。
何故ならば、敗者は膝を抱えて痛みにうずくまっているだけではないからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
『膝を抱え 泣いていた』男が舞台上で立ち上がるように、選ばれなかったものたちは誇りを持って胸を張り、小道具を準備して舞台を進行させる。
それは表舞台に立つことの代理、二位という名前の『負けの一番』ではない。
僕はインカムを使いこなし、スタッフTシャツを堂々と着こなして、粛々と舞台を進行させる少年たちが凄く良いな、と思った。そこに漂う慌ただしさ、メソメソ泣いてる余裕なんて一切ないスピード感が良いな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
それぞれの立場で、少年たちは敗北から学び、あるいは勝利から学ぶ。タフだ。
抱え込んだ思いがどれだけ重たくても、現実は先に進む。ショー・マスト・ゴー・オンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
それは痛みを顧みない残酷な歩みではあるんだが、同時にその乾いた進行が救いになるときもある。光と影。自分の気持と、それとは一切関係ない現実界。いろんなものがあるからこそ、舞台は面白い。
高速でカットと登場人物を切り替え、これまでの物語を振り返りながら展開する舞台裏が、人生悲喜劇のステージとして見ごたえがあったらこそ、揚羽と星谷の衝突がちょっと大きすぎるかな、と思ったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
ああいう当たり前の、しかしとても大事な凸凹をもっと追って欲しかったのかもしれない
今回舞台裏で切り取られた『影』は、誰にでも訪れる敗北であり、再起だ。気持ちを整える間もなく襲い来る本番の中で、プライドと為すべき仕事を取り戻していく現地療法。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
そこに凄い親しみを感じたから、もっと見たいと思ってしまったから、ふっと劇的な空間に戻る瞬間に違和感を覚えたのか。
しかし二期の主役として、『影』に落ちつつ揚羽は光にとらわれている。自分が登ったかもしれない舞台。見せ場。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
スタッフTシャツを着て裏方仕事をするという『光』ではなく、スポットライトを求めて焼かれるイカロス。現実感の薄い揚羽だからこそ背負える、『影』から見える『光』の魔力。
それもまた、敗北者の一つの姿だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
誇りと痛みを胸の中で同居させ、キビキビとスタッフ仕事をする少年たちとはまた違う、幼い時間から脱皮しきれない揚羽のもがき。
それは星谷と衝突するし、そういう業を『しょうがないよな!』と受け入れてくれる善性が、星谷の武器でもあろう。
ここまで書いてみて思ったのだが、衝突でダメージを受け脱皮を促される役は、舞台に立つ星谷ではなく舞台裏の揚羽なのかもしれない。これは来週を見ないと分からんけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
ここで『光』と『影』の境界を揚羽に託して描いたのは、描ききれていないという思いがあるからか。もっと足すのか。楽しみだ。
『影』の中の奮闘は、『光』に立つ選ばれた存在達が全力で羽ばたいてこそ報われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
舞台裏に据えていたカメラはおそらく、来週表舞台に大きく移り、『光』の中でしか描けないものを切り取ってくれると思う。今回、『影』の中でしか描けないものを微細に切り取ったように。
『光』、表舞台でしか描けないもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
その最たるものとして、星谷と鳳の衝突がずっと用意されてきた。星谷の憧れ超えをどこまで説得力を乗せて書けるかが、お話全体の値段を決めるのは間違いない。
そしてそのため『にも』、選ばれなかった少年たち個別の顔を今回写したのは良かったと思う。
星谷は『気持ちだけはある』『性格で実力を補える』『天性のムードメーカー』として、期待されないド素人として扱われてきた。『影』の中にいる『光』だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
それが『光の中の光』になる舞台が、そろそろ終わる。その意味は、未だ切り取りきれていない。
だが『影の中の影』『影の中の光』を丁寧に追いかける今回があることで、『光の中の光』『光の中の影』特有の表情を活写する準備は、十分整った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月12日
直近の今回だけではなく、これまで描いてきたすべてを生かし、しっかり主題を演じきって幕を下ろせるのか。デカいヒキの活かし方含め、来週が楽しみだ。