イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 17/07/16 マギカロギア『トゥインクル・マグヌス・フェアリーテイル』

昨日はシェンツ先生GMでマギロギを遊んだよ。超久しぶり。

シナリオタイトル:トゥインクル・マグヌス・フェアリーテイル システム:マギカロギア GM:シェンツさん

Braveoneさん:"残裁切断のセオリー"未那識世織:19歳女性:司書 ひん曲がった人格と一流の切断魔術を両立させた、糞めんどくさい女司書。世界を『切断』として認識しており、アンカー以外の人間との距離感を全ての意味で間違えている欠陥人間。
新米くん:"堕落せし怠惰の魔女"フィリス=フィルス:外見13歳女性:異端者/天涯 『魔女』という異種族として生まれ、権能として周囲を怠惰に落とし込む能力を持った異端者。息をするように誘惑し、歩くように呪う。そういう生態にもかかわらず、怠惰から這い上がり、己の生き方を貫く人間を尊敬している。
二次元くん:"人形庭園"四方堂菜月:200歳女性:書工/阿房宮 表の顔として、アンティーク店を営む魔法使い。特に人形に強い。永遠に美しいものを常に求めており、それを魔人形に封じ込めて静止させるピュグマリオン
コバヤシ:"孔雀の羽(プリューム・デュパン)"夢色えくれあ:13歳女性:書警 パティシエ見習いの13歳。魔法使いにふさわしくないほど普通の倫理観を持ち、ハッピーエンドを心から信じている。しかしその才覚は絶大であり、『お菓子』を愛するエゴイズムで魔術空間を塗りつぶし勝利する。

というわけで、超久々なマギロギでした。シナリオは妄念に彩られた異郷に現実の都市が塗りつぶされ、取り込まれたアンカーと無辜の人々を救うために魔術師は死地に赴く……という感じのもの。
マギカロギアでしか楽しめない、幻想的で暗喩と韜晦に満ちたムード満点のシナリオでした。ネタの選び方も古典文学に童話、メタ文学論がそこかしこに根を張り、異常な花を咲かせるケレンに満ちたモノ。作者のフェティシズムが咲き乱れ、かつPLが入り込む余地のある工夫がされていたことが、強烈な魅力となっていました。
お話として、雰囲気がいい感じなだけで終わらないのがシェンツ先生のシナリオの(たくさんある)良い所(の一つ)で、異郷攻略が作業にならないようサプライズを仕掛けてくるタイミング、切迫感をギリギリまで引き出しバリエーションで楽しませるデータ構築と、ゲームの『実』の部分も素晴らしい仕上がり。PCサイドのリソースをギリギリまで引っ張り出し、かつ不公平感のある一方的な印象を与えない戦闘バランスは、ホントスゲェなと思う。

PLサイドはま~見事に人生の爆心地みたいなメンツになりまして、マギロギ特有だなぁと。『魂の特技』『真の姿』というパラメーターが非常に有効に働いていて、『このキャラは『それ』を極限まで詰めた結果、人理を超えたのだ!』というコアの部分を、簡勁に表現・共有出来るのですよね。
結果、人生を一点から捉え世界を塗り替える、とがった人格の持ち主が肩を並べることに。ルールを強制的に捻じ曲げるほどのこだわりを持ちつつ、アンカー一点でギリギリ人生に適応している限界人間たちのショーケース。それがマギロギのPCだ!
とは言うものの、『アンカーと運命』というデータ一つで人間性を担保し、それでも人間であり続ける理由、事件を引き起こす側ではなく解決する側に回る理由があるのがとても巧妙。そこを見落とさないと、どんだけの極限人類でも意思疎通が可能で、一緒にゲームできるわけだから。ピーキーさと安定感、独自性とプレイアビリティを両立させているいいゲームだなぁと、つくづく思いました。

僕はいかにも主人公な……つうかぶっちゃけプリキュアアラモード丸パクリのキャラで参加。狂気が力となる世界では、あまりにも人間的過ぎる正気は最大の狂気になりえるという塩梅の、りぼん主人公属性の夢見るガールでした。
最初は幼い綺麗事にしがみついているのだけども、マギロギの世知辛いプレイを通じて現実を学び、時にエゴに飲み込まれかけ、『魔法使い』たる自分、バロックな異物である己自身を認めていくという物語を、巧くTRPGに落とし込めた感じがします。なんというかな、『手応え』があった。
今回のシナリオは戦闘で物事が解決し、大抵は超ろくでもない情念が世界を飲み込み、犠牲を要求するマギロギのシステム・プレイ風景に正面から挑んだシナリオでした。ゲームシステムが作り上げる必然的な因縁……システム的世界律のようなものをえぐり出し、データとシナリオを用いてPLに叩きつけるような、強靭なシナリオ。
システム全体への侃い批評眼が、非常にクリティカルに『ああ、マギロギはこういうゲームなんだな』という体験を生み出し、キャラクターとプレイヤーがその真正さに向かい合うことで、真芯を捉えた物語が生まれる。TRPGを遊ぶ醍醐味みたいのを、みんなで共有できる卓でした。とても素晴らしい体験だった。
久々にやったマギロギは非常に独特で、面白いシナリオでした。ハードなシナリオを乗り切るにはデータ習熟が足らない感じもあったし、色々ハプニングもありましたが、無事完走できてとにかく良かったし、楽しかった。同卓していただいた方、ありがとうございました。良いセッションだった。