ボールルームへようこそを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
競技ダンスという名前の運命に、少年は出会った。畳み掛けるように押し寄せる出会いの波。天才であることに飽き果て、それでいて誰よりもダンスを愛する男、兵藤清春。
瞳孔からほとばしる眼力が火花を散らし、屈折した感情が未来を切り開く第2話。素晴らしかった。
というわけで今回はとにかく『眼』の回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
IGの作画力に支えられた、まつげバッチバチ瞳孔ビッキビキの眼力クローズアップ作画が、コレでもかと群れをなして襲ってくる。
そこに込められているのは集中力であり、存在感であり、意思であり、才能である。目は口ほどに物を言うわけだ。
今回のお話はド素人多々良が、同年代のライバルであり憧れでありメンターでもある清春と出会い、心にその存在を刻む物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
ボーっとした普段の姿と、圧倒的な才覚を見せるダンスの時の表情。二つの仮面の奥にある清春自身の存在感を見逃さない…瞳を奪われてしまうのは、多々良の目の良さの証明だ。
多々良はまずダンサーの清春に出会い、そのシルエットとパフォーマンス、異質な『眼』に引き寄せられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
その後個人的な交流があり、しずく恋しさで勝手にイメージを膨らませ、HSDAでの練習を『見る』ことでそのイメージを乗り越える。色々ヘンテコだけど、人生の手本にするべきダンサーなのだと
それは多々良がダンスという競技にとにかく真剣で、前のめりに『見て』いる結果だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
『胸を張ってただひとつ、好きだといえるもの』に先週であった多々良は、ダンスに関して目を見開くことを拒否できない。よく見ることは、今の多々良にとってダンスにアプローチする最善の手段なのだ。
その瞳が、清春の才覚と美しさ、真剣さゆえの退屈を見逃さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
角膜を貫通して心に突き刺さるような強引さで、己の存在をアピールしてくるダンスの化身。年上の教導者である仙石さんとはまた違う角度から、多々良は運命に出会い、それを真摯に取り込んでいく。見て、盗み、己のものにしていくのだ。
多々良が清春のアマルガムを眼で学んでいくのは、窃盗ではなく学習だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
多々良なりにダンスに真剣だからこそ、眼で食らいつきもぎ取ろうとする。少しでも、自分が憧れたダンスに近づき、理想の自分に近づいていくために。
『眼』という才覚を最大限発揮して、多々良は見る。その視線の熱量。
前のめりの集中力と学習能力。多々良の『眼』は異才であると同時にハンディでもあって、普通の教え方は上手く行かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
息抜きコメディを交えて『なぜ多々良は特殊なのか』を説明していくシーンは、ド素人が上手くなっていく物語的嘘に説得力を足し、展開を飲ませる足場にもなる。
多々良の特殊性を仙石さんがちゃんと理解し、天才が花開くために必要な特殊な水を与えようと動いている姿が頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
清春の退屈を取っ払うために、多々良という異才と出会わせる算段も含めて、テキトーな無頼なんだが子供たちをよく見て、よく教えてる。いい人よな仙石さん。
出会いが運命的なのは清春も同じで、視線で自分の中に切り込んで熱を上げてくる多々良を、彼なりに特別な存在として遇している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
アクビが出るほど退屈な凡人の世界から、突然視線でぶっ刺してきた変な素人。盗み、盗まれ、与え、与える。視線と感情が交わる特別な関係が生まれていく。
少年と少年、そしてコーチ。男たちの視線が交わる複雑な空間を前に、しずくも黙っていられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
ダンス以外何にも興味のないはずのパートナーが心を動かした、奇妙な少年。彼女自身も多々良を好ましく思いつつ、しかし『眼』が奪われることには嫉妬する。複雑怪奇な『眼』の戦いが至る所で勃発する。
多々良からしずくへ伸びる、健全で幼い恋心が、この関係を更にややこしくする。清春に『眼』を奪われつつも、勝手にしずくを蔑ろにする(と思い込んだ)清春に憤り、嫌味でリア充で傲慢なイメージを膨らませていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
屈折した感情とコンプレックスが、恋愛とパートナーシップの間を幾度も行き来する。
グダグダと脳内で煮込まれた妄念が、パンと弾けて答えを見つけるシーンにセリフがないのは、本当に素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
多々良の『眼』は清春の動きと身体を捉える。滑らかな曲線が体重移動で滑り、回り、緊張感を保ったままスムーズに繋がっていく。あまりに美しく圧倒的なものを、多々良は素直に『見る』。
ダンスに初めて出会ったときから、多々良は良く『見て』いた。ダンスの根源的な美しさと、それに心動かされる自分自身を。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
自分を抑えておけないほど圧倒的に湧き出してくる、情熱という名前の真実。多々良はそれに嘘をつかない。つくことができない。それが主人公の資質であり、物語を牽引する。
あれほど美しいものは、真摯に競技を愛し、己を追い込み、パートナーを想うことでしか生まれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
勇壮な墨痕で描かれる清春の動きを『見る』ことで、多々良は競技ダンスの、自分自身の、清春の真実にたどり着いて、間違えかけていた自分を改める。
この迷いと正解、緊張と寛解のカタルシスが良い。
ダンスとパートナーへの真摯な思いが生み出す、一瞬の幻影。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
それを『見る』事が出来るのも、多々良が一流へのパスポートを持っている説明の一つだ。感受性がなければ、真実はたやすく曇ってどこにも届かない。
仙石さんが多々良のシャドウに見たのと同じ『眼』を、多々良も持っているわけだ。
清春のシャドウに火を入れられた多々良は、自分自身もシャドウを踊ることでエピソードを終える。日本最強クラスの天才が可能にした眩暈の欠片を、一瞬でも手に入れることで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
ダンスへの、清春への、しずくへの、自分自身への思い。
多々良の『眼』が見つけたものが、あの幻に綺麗にまとまっている。
多々良と清春の出会いがどれほど運命的で、周囲の人々の心を揺さぶるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
『眼』というフェティッシュを的確に使うことで、詩情と膨らみを持たせつつよくまとまり、視聴者への伝わりの良いエピソードとなりました。
テーマを的確に把握した上で作画力を使い、説得力を出すスタイル。好きだなやっぱ
同時にこの話は日常的な青春の話でもあって、魂が衝突するボールルーム以外の場所でも、少年と少年は時間を共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
のんべんだらりとした息抜きのシーンにペーソスがあり、いい感じにのんきだったのも良かったです。みんな楽しそうなのが、とても良い。その柔らかさだけが生み出せる熱量もある。
かくして出会った二人は色んな人を巻き込みながら、ずんずんと運命へと進んでいく。青春を前進させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月16日
それがナカナカとんでもないことになりそうだ、という期待を、見事に煽る第2話でした。表現しにくい凄みを筋肉描画に乗せて、問答無用で押し切れてしまうのはやっぱ強い。来週も楽しみです。