イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第22話『プール de プランス 大レース!』感想

夏休み地方巡業もついにラストッ!
花の都プリパリを舞台に、トリコロールの面倒くささと投げっぱなしやりっぱなしの狂気が加速するレース回でした。
前後の脈絡を全般的に蹴っ飛ばし、沸騰したシチュエーションだけが繋がる独特のヴァイヴスが、『ああ、福田脚本だなぁ……』という感じ。
アイドルタイムだけだと『プリパラを爆破した使えない人』でしかないまほちゃんが、どれだけ面倒くさくて王子様なのかを見せる回でもありました。
ここで彼女のキャラ性強調してきたのは、しゅうかのメンターになるからかなぁ、とか思ったり。

つーわけで、いつにも増してアタマのオカシイ展開がノーブレーキで加速していく回でした。
レースの始まり方、キャラの退場の仕方、個別の交流、決着の付け方。
どこをとっても前後と繋がっていないんですが、勢いとネタの鮮度で押し切れてしまうという、なんとも不思議なテイスト。
構造自体がナンセンスを志向してるのは、すげー福田さんっぽい流れだった。
ホント、あじみの使い方とか何の意味もねぇからなぁ……既に人間飛び越して現象の領域だよなあの教師……。

全体的に肩の力が抜けたゆるーい回だったのですが、パパラ宿の面々がなんとなーく仲良くなって、気の置けない友情コメディをやれる関係が生まれてるのは、感じることが出来ました。
急に指相撲を仕掛けて『勝ち』の実績を取りに行くにのとか、相変わらず虹色ゆめエンジン全開のゆいとか、電波受信しっぱなしのミーチルとか、やっぱ彼女らは欠点だらけのダメダメ人間で。
しかしそういうところに嘘をつかず、『改善』もせず、欠点込みで自分らしくぶつかり合える場こそがプリパラ。

全力で明後日の方向に走りつつ、そのデコボコドタバタ自体を『みんな』で楽しめるようになっていたのは、ある種の『成長』なのかなぁ、と思いました。
無茶苦茶やってんだけども、妙に楽しそうなんだよな、アイツら。
そこがとても良い。


んで、プリパラのダメ人間の中でも一等ブッチギリの欠陥人間なのが、我らが紫京院ひびき様。
トラウマとヒステリーを振り回し、また自分も振り回されつつ、持ち前の天才でプリパリの頂点に立っている姿は、彼女なりの社会適応という感じでした。
まぁまほちゃんはそういう限界人間で、だから自分を打ち立てられない、とはならない所が、プリパラの自由でポジティブなところだからな……。
無印ではプリパリという自分のテリトリーでふんぞり返ってるまほちゃん見れなかったので、身勝手で魅力的な王様として、いい具合に娯楽振りまいてる姿が見れたのはとても良かったです。

ひびきは己の問題点を抑えようとはせず、自由に傲慢に振る舞っています。
それはそのまま突き進むと(二期終盤のような)大事故になる性質なんですが、ふわりとファルル、安藤とトリコとヤギというプリパリのファミリー達が、いい塩梅にハンドルを調整してくれます。
それは哀れみとか同情とか、ましてや『こうならなければならない』という規範意識から生まれたわけではなくて、ひびきのカリスマと弱さが周囲の人を巻き込んだ結果。
(色んな意味での)愛情に支えられた奇妙な、しかし彼女達らしい歩き方が、ドタバタの中でちゃんと描かれる回だったと思います。

無印から見てた視聴者としては、ひびきが独裁的に突っ走ってるように見えて、女のズルさ込みで手綱を握り、致命的な社会的クラッシュを発生させないよう皆で歩いているトリコロールの姿は、なんか懐かしさと達成感がありました。
二期飛び越して三期まで含め、本当に色んなことがあって、アニメ史上に燦然と輝く面倒くさ人間たるひびきは、尖りまくった己のまま社会に適応する方法を見つけ、我が物にした。
それを支えてくれる女たちの有難み含めて、第135話以降のトリコロールが見れたのは、とても良かった。
なんだかんだわがまま言いつつ、それを受け止めてくれる安藤にひっそり感謝している所がまほちゃんらしい。

あとまー、くっそ面倒くさいワガママ独裁者ってだけではなく、キメる所キッチリ決めて結果を出せる天才性が、レースとステージで表現されていたのも良し。
それがないと、ホント恋人と保護者に介護されてるだけの限界人間だからなまほちゃん……。
あと何の衒いも後ろめたさもなく、『恋人達』のアロマットカードにひびきとふわりを使ってくる『圧』が、すっげぇプリパラだなと思った。
ファルルの立ち位置含め、色々と普通ではないが満ち足りた相補性があるし、その異質な愛情に肯定的であり続けてるのが、やっぱ良いわな。


んで、今回トリコロールを濃口に見せたのは、新キャラ・華園しゅうかのメンターとして、今後出番があるからではないか、と思った。
ゆいに対するソラミスマイル、にのに対するドレッシングパフェ、ミーチルに対するガァルマゲドンの立場ですね。
今後しゅうかがプッシュされるに連れ、自然と画面に映ることが多くなるので、先行してキャラを理解してもらおう、という話かな、と。

しゅうかはまだ顔見世段階であり、濃いめの名古屋人で守銭奴なんだな、くらいしか分かりません。
自分は遅刻に起こっておいて、ひびきとの会合は余裕で遅れてくる辺り、セレパラで滅茶苦茶やっておいて「訳わからんシステムなど導入できるか!」と言い放つひびきと、魂の色がよく似てる。
新キャラのメンターはよく共鳴しそうなメンバーを選んでる印象ですねぇ……あろまとみちるとか。

あと第19話で張ってた伏線を回収して、みあ先生の登場が確定。
RLでべる様を追い込んだエッグい幼女みたいに、声が同じで設定が異なるパラレル存在として出てくる感じかなぁ……上葉じゃなくて華園姓だしね。
無印一期から存在は示唆されつつ、直接的描写はなかったセインツをどう使ってくるかは、結構楽しみな部分です。

アイドルタイム初期で用意されていたハードルは、かなりスピーディーにクリアされていきました。
校長も地獄委員長もショウゴお兄ちゃんも乗り越えて、パパラ宿も社会的に承認されて、話の起伏を作る材料が枯れちゃったと思ってたんですが、生き馬の目を抜く女児向けアーケード筐体原作、そら新キャラはどしどし押し寄せてくるよな、と。
ファルルが目ざとく確認してたファララ&ガァララも、今後速度を上げていくエンジンになるだろうし、パパラ宿に帰ってからが楽しみです。

あ、ファルルが相変わらずのんきでフワフワして楽しそうだったのは最高だった。
点数で言うと二億点。
あの子の超越的無垢さをボーッと眺めてると、脳みそが超絶ドライブしてきて、多幸感が爆裂するからホント凄いと思う。
今後もまほちゃんやふわりや仲間と仲良く、幸せに幸せに暮らしていって欲しい。(幼くイノセントなるもの、それが保護される維持されることへのよく分からない強い想い)


そんなわけで、狂気と仲良しが渾然一体と襲いかかる、プリパラらしいお話でした。
クレイジーなことを投げっぱなしで叩きつけつつ、全体的には楽しく仲良くハッピーハードコアな雰囲気を維持というのが、とても心地よかった。
色々目端鋭いことやりつつ、基本のん気で多幸的なのはプリパラのテイストだし、良いところだなぁと幾度目かの確認。

そして来週は、待ってましたのミミ子帰還回。
主人公たちの未熟さと可能性に嘘をつかず、あえてカルマを全て拾わせず、旅に出させたあの子が帰ってきます。
長い旅路でどんな自分に出会い、どういう表現法で『なりたい自分』にたどり着くのか。
憎悪と愛と哀しみが入り交じった彼女の物語のフアンとして、非常に楽しみな回です。