サクラクエストを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
かくして花は咲き、春は来る。クライマックス! ド派手な葛藤!! ということは特になく、これまでの積み重ねを淡々と確認しつつ、穏やかに楽しくお祭りが過ぎていく回。
その淡さがこのアニメっぽいし、最後に丑松とサンダルさんがキーキャラになるのも意外な納得。
というわけで、市町村合併はあくまで背景に、みずち祭りがドンドコ近づいていくエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
派手な色合いのないクライマックス。だが、商業主義の原色を夢見て大敗北となった建国祭を思えば、身の丈にあった良い祭りだったと思う。正確に言えば、『身の丈を今回の描写まで伸ばした』のか。
露骨にまとめムードが漂う中、由乃個人の成長も、間野山内部の変化も、簡潔丁寧にまとめられていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
千登勢が洋服を着て、丑松と同じ舞台に上がっている所が一番刺さったかな…彼女が安定性はそのままに柔軟性を手に入れたのは、自分が言っているように国王が色々引っ掻き回したから。
その由乃もPTの仲間、間野山の人々とぶつかったり仲良くしたりの結果、うわっ付いた部分が消え、『日常の中の非日常』『非日常の中の日常』が背中合わせであると気づけた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
間野山と国王、『内部』と『外部』の相互作用と変化。作品の中心軸を、どっしり確認していくエピソードだった。
ポジティブな変化を捉えつつもどっか薄暗い陰りがあるのは、このアニメらしいところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
外の息吹を受け入れるとは言え、軒先を貸して母屋を取られるんじゃ意味はない。拒絶するべきところは拒絶して、己を主張しながら守っていくことも、時には必要。TV絡みの攻防でそこら辺が見える。
あの拒絶が、外に出ていった雨宮さんと、中に残った丑松、二人の共同作業なのは面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
前回50年前の失敗と向き合い、スネてるだけの少年期にアディオスした丑松は、エピソードを引っ張るメインエンジンとなった。ガキのまんまなジジイが、24話かけて大人になるアニメ。地味だ。
降って湧いた市町村合併は、急に世界が終わるたぐいの問題ではない。思えばこのアニメで扱ってきたのはだいたいそういう話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
ヒタヒタ忍び寄る破滅を前に、ちっぽけな人間に何が出来るのかという問題を前に、自己満足と根本解決策の真ん中あたりを歩き続けてきた。
現実に身近で、なおかつ正解がない問題を扱っていく以上、そういう煮え切らないお話に抑えるのは、僕は正しいと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
地域に根ざし、特に派手なこともない、ごくごく普通の祭り。そこにある笑顔は、由乃達がドタバタ泥臭い歩調で、素手の取っ組み合いでもぎ取ってきた結末だ。
和菓子ケーキが出てくるお誕生日も、皆の分作れたハッピも、そういうコンパクトな身の丈にあった、小さな祝福だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
『そういうモンを積み重ねて、じわじわ生きていくってのも一つの救いじゃないか』とここまでたどり着いた物語が言っている気がする。大きい物語を運営することへの諦観とも取れるが。
思えばアニメっぽい色彩と服装のキャラが、クソ田舎を踏み荒らし、アニメっぽい逆転ホームランでカタルシス大勝利! という方向が通用しないことを、ジワジワジワジワ積んできたのが1クール目。その集大成が建国祭だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
同じ場所で、アニメっぽいキャラが地味ーな春の中、地味な喜びを堪能する。
夢見た空の高さと嘘っぽさを建国祭で思い知らされて、自分は飛べるわけじゃないと傷ついて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
じゃあそっからどうするの、ってのを追ったのが2クール目だと思う。色んなキャラが諦めて、思い知って、改めて歩き出す。凛々ちゃんの旅立ちが、予感だけで終わっちゃいそうなのは少し残念だが。
合併という避け得ない変化を前に、それ自体をひっくり返す力はない。みずち祭りが続いていく保証もない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
ハッピーエンドが約束されていない、ごくごく普通に揺れ動いている世界の中で、『そこから先』を素手で掴み取っていこうという生っぽい決意。このアニメがたどり着いたのは、多分そこなのだ。
それは結構いいんじゃないかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
確かにアニメっぽくないし、スカッと胸のすく逆転ホームランじゃない。けど、明日を信じ続けるタフさと、フィルターかけつつ現実をじっと見る冷静さが同居してる。それは、このアニメが2クールかけてたどり着いた一つの説得力…作品としてのテイストだと思う
残り一話、祭りの成功と姉妹都市への希望をモニュメントとして置いて、サクラクエストは終わる。色々あって、色々夢見て夢破れて、辿り着いた終わりだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
みずち祭りで、なだらかなピークを超えた感じもあるが、吉乃の去来が最後のクライマックスとなろう。どう収めるか、非常に楽しみである。
追記 桜未だ咲かざるとも、枯れ果てることもまたなし
サクラクエスト追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
タイトルにもなっている桜の花が、ここに及んでまだ蕾なのは面白い。未熟な国王PTが満開に咲き誇るのも、間野山が活気ある街として返り咲くのも、『まだ先』の物語としてある。
もしかしたら咲かないかもしれない。そういう薄暗さと、このアニメはずっと付き合ってきたと思う
どうにもならないかもしれない可能性は、現実に間野山を侵食している。滅びに向かって落ち続けるカルマの中で、人間に出来るのはそれに抗い続けること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
物語の世界認識としては地味だし、そこで負のカタルシスを入れるほど衝動的でもない所が、このアニメらしい。世の中悪いことばっかでもない。
ハンパと言えばハンパ、誠実と言えば誠実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月13日
見る人によって評価の割れるところだと思うが、あえて蕾を映したこのアニメの奥ゆかしさが、僕はなんだか愛おしい。
ポップテイストをスパイスに使いつつ、根っこの味付けは地味で暗いアニメだったなぁ…ヘンテコで、やっぱ好きだな、僕は。