宝石の国を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
美麗なるグロテスク、玲瓏たるヴァンダリズム。美しきものが脆く崩れ去るデカダンスの奥に、ごくごく当たり前のヒューマニズムが揺らめく。
オレンジの3D表現力を最大限活かす奇想と、アクションとドラマの切れ味、世界全てに貫通するデザインの強さが婚礼した、とんでもない圧力
PVの段階でかなり期待していた作品だが、裏切られた。想定よりも遥かに強烈に、奇想と美麗、残酷と哀切できっちり殴り飛ばしてくる作品であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
面白い。とんでもなくインパクトがあって、それだけではないベーシックな強さもある。アクションが良いし、キャラにも雰囲気以上の味わいがある。
何が強いかというと、まず絵が強い。ココはもうぱっと映像が始まった瞬間に感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
宝石人間という、人類とは全く異なる、しかし人よりも美しい存在の以上性が、キラキラと輝く彼らの髪と瞳を見ると、スッと脳を殴ってくる。目が奪われ、離れることが出来ない。異形の吸引力がある。
彼らは人間ではない。死がなく、生殖がない。始まりも終わりもないまま、月からやってくる仏と殺し合い、砕き合い、奪われあう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
それをいくら繰り返しても、装飾品に堕ちたとしても、彼らの生は終わらない。終わることを前提に世代を積み重ねていく生物とは、根本的に異なる異質生命。
なのだが、彼らは人間にとても近い。スラリと伸びた手足、くるくると変わる表情。玉と砕かれた遺体は人間のそれとよく似ていて、しかし人間のはずはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
砕かれたパーツそれ自体に記憶がやどり、集めれば再生する鉱物生命体。彼らは寄り集まり、己の居場所を求めて生きている。人間のように。
人間のようでいてあからさまに人間ではなく、しかし間違いなく人間性の精髄を埋め込まれた存在が、美しい廃墟を走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
この麗しい退廃が画面にみっしり満ちていて、それを浴びているだけで別の世界に連れて行かれる快楽が身体を貫く。足穂や龍彦にも似た、しかしこの作品にしか無い清潔な耽美主義。
3Dの表現力は色んな所で最大活用されているが、人類を超越した宝石人の戦闘能力がしっかり描かれ、アクションの興奮があるのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
この話は戦いを背景に据えているので、死なない戦争で砕かれる敵味方を、ちゃんと描くのは大事だ。終わらない戦争の中で、しかし失われていくものを。
宝石人達は無性の、永遠の少年/=少女として、瑞々しい青春を送り続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
宝石中最弱のフォスフォライトは、世界の有様、戦いの真実を知らないまま、ただなんとなく『かっこいい仕事』を求める。自分が無用ではないと証明できる、社会の中に位置を見つけられる場所を。
タンパク質ではなくミネラルで作られているとしても、その幼い衝動は切実で、形を持たず、ありきたりで……つまり普遍的な物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
誰かとふれあいたいのに、己の弱さがそれを許してくれない。仏と殺し合う形でのコミュニケーションも、脆すぎる彼には遠い。そんな彼が、辰砂に出会う。
辰砂はフォスとは逆に、強すぎるがゆえに他者と触れあえない存在だ。社会も彼の制御不能の強さを受け入れられず、『時間が解決する』という万能札も、不死不変の宝石人には通じない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
仏からも無用のものとして、岬に一人立つ誘惑は無碍に扱われる。触ってくれるなら、敵でも略奪者でもかまわないのに
最弱の孤独者と、最強の孤立者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
緑と赤の補色が出会う時に、物語は始まる。それは何者でもない二人が、お互いを鏡として己を見つけ、居場所を探していく物語だ。
とても普遍的な教養小説の出だしであり、奇想だけが無限に加速できそうな世界の中で、確かな手触りを与えてくれもする。
フォスは『博物学者』という仕事がどんなものか知らないまま、『なんとなくかっこ悪いから』拒絶する。世界の有り様も知らないまま、ただ破壊に慣れてしまった子供。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
そんな彼が初めてノートに記したのは、辰砂の赤い毒だ。運命がエンゲージしたことをべっとりと貼り付けた、毒まみれの血判。
それは辰砂にとって、初めて世界と接触した契約書であり、諦めたはずの居場所に繋がるドアだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
『求めてくれるなら、乱暴でも良い』というやけっぱちを、『月に行きたいなんて言うな』と否定してくれた人との思い出。可能性が彼を揺るがし、水銀の涙を流させる。諦めていたはずのヒューマニティが疼く
フォスにとっても、辰砂との出会いはよく知らない、知ろうともしなかった世界との接触点であり、自分によく似た他人と向き合う窓になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
世界を観察し、書き記す『博物学者』として、フォスは闘争に満ちた世界を歩いていくのか。それがフォスの居場所を作ることになるかは、先を見ないとわからない。
ただ、物語の常道としては、あんだけ先生が『お前は戦いだけは向かない、やるな』というのなら、フォスは戦いに飛び込んでいくと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
人類の存在しない世界は、美しいもので飾られたヴァルハラであり、鉱物達は永遠の闘争を飾り立てるために作品世界に存在している。なら、主役が向かう先は戦場だ。
そして闘争は、死なない生物の存在証明…記憶を略奪していくことも、今回ちゃんと説明されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
鏃に加工された同族のように、フォスもまた尊厳と『生き死に』を盤面に張って、脆く弱い身体で戦わなければいけない。己の無力と、否応なく向かい合う物語の道筋が、しっかり張られている。
あまりにも脆く、弱く、子供なフォスは、あの麗しい世界でどう変わるのだろう。辰砂という自分と正反対で、自分にそっくりな存在と触れ合って、何を学ぶのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
風が気持ちよさそうな世界を堪能しつつ、それがとても楽しみになった。それは青春の物語だ。破片と異形に塗れていても。
本当に風になびく草原、白い住居を通り抜ける空気の爽やかさが、3Dモデルから匂ってくるような画面づくりが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
生死に汚れから遠く離れた宝石人の生き方は、基本爽やかだ。だからこそ、辰砂の毒、仏の侵略、削り取られる記憶の痛みが、異物としてクリアに突き刺さってくる。
そういう異物に取り囲まれつつ、フォスと辰砂は行き交う風を心地よく思うのだろう。僕らと同じ感性を何処かに懐きつつ、圧倒的に人間以外であり続けるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
その矛盾、その共通点が、とても面白いと感じた。人間以外/人間以上を描くことで、その世界に存在しない『人間』が透かし彫りになる感覚
それはSFの醍醐味であり、創作物語の精髄でもあろう。脳髄の奥から想像力を強制的に引っ張り出し、前のめりに没入せざるを得ない、絵としての腕力。そうして掴んだ関心を更に加速させる、ベーシックなドラマ、超常のアクションの興奮。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
独特な形をした、よく刺さる武器がたっぷり並べてある第1話だ
今が旬の声優陣(ジョージ含む)を豪華に並べ、性差も寿命も超越した美しい集団を楽しく描いてくれるのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
黒沢ともよのダウナーな声、小松未可子の新境地。色々楽しめて素晴らしいねホント。
あとボディラインがすンゴイ良い。滑らかでスラっと伸びる手足。やや盛り上がった尻。神かよ。
この美しき無人の園で、宝石たちはどう永遠を生きて、死ぬことなく砕かれていくのか。フォスと辰砂はどうふれあい、己の居場所を見定めていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
この先見たいものが次々と胸の奥から出て来る、非常に良い第一話でした。いやー、想定はしてたけども、想像よりドンピシャだった。俺のアニメだわこれ
あ、性癖が凄く捻くれてるの凄い良いですね。時間を静止させ性別を超越した美麗存在を、思う存分砕いて欠損させたい欲望剥き出し…なだけでなく、生殖から切り離されたエロティシズムへの熱を感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
誘惑の結果を知りえないまま、子供に命と未来を繋ぐことを否定されたまま、無自覚に誘う足腰と目線
白粉を塗らなければ肉と肌を捏造することすら出来ない、生物から根本的に切り離された存在に人間の形を取らせ、人の心を与え、無垢なる誘惑をそこかしこに配置するカルマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月8日
肉欲の匂いを嫌悪しつつ、セックスを観念に純化したいという詩情を強く感じ、身勝手に共鳴した。よーく判る、わかるよー。