キラキラ☆プリキュアアラモードを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
最終局面に向け、キャラクター総決算タイム! 第三弾はトンチキなおっさんにばっかり好かれる気弱子リスちゃん系女子、有栖川ひまりッ!!
彼女の小さな歩みに嘘をつかない、小さくてタフな変化を叙情的に描ききる、良いラストエピソードでした。
『キラキラ』とタイトルにはついているものの、ローカルで泥臭いお話が多いプリモード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
特にひまりは地味でコンパクトなお話を、どっしり積み重ねてきた。そんな彼女の総決算が、変わることを望みつつ変わりきれないのは誠実だ。変われるほど、劇的な物語積んでいないのだから。
素敵な王子様に出会うでも、硝子の靴を履かせてもらうでもないアンチ・シンデレラ。開幕もトンチキ料理博士の元で、地味にお菓子作って地味にノートを太らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
しかしそれは、ひまりが自分で歩いてきた道の先にある、確かな変化でもある。つーか、俺はひまりが好き過ぎる変なおっさんどもが好きなの
博士が物語の結論を先読みして、『ひまり君らしく、少しずつ変わりなさい』とアバンで言っているのは興味深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
似合わないアイドルに飛び込まなくても、また新しい道に飛び込んでみても、どっちにしてもひまりには仲間と理解者が既にいるのだ。それはひまりが自力で獲得したものだ。
なので、オーディションの結末は書かれない。ここら辺、岬さんとの対バンの結末を描かなかった先週と、通じるものがあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
ビカビカに輝くでっかい勝ち星を飾るのではなく、あくまで自分の手で掴める敗北、そこに至る道で歩みを止める。プリモードはそういう感じで、コンパクトに終わりつつある
それはあんま『ヒーロー』っぽくないかもしれないが、『プリキュアアラモード』っぽい結びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
いちご坂という土地、キラパティという店からはみ出さず、妖精は土着の動物で、戦うべき闇も土地の因縁に縛られている。ローカルでコンパクトな英雄譚。
なりたい自分に自在に変わる。そんな夢を見つつも、その前で足踏みし続けたひまりは、最後に小さな自己肯定を果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
英雄最後の物語としては、あまりにも慎ましい。だが、有栖川ひまりという女の子はそこまでしか行けなかったのであり、プリモードがそこまでの階段しか積まなかったのも事実だろう。
そんなシリーズとキャラの歩みに嘘をつかず、『自分が嫌いだけど少し好きになれた』距離感で止める塩梅は、僕はとても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
思えばあおちゃんもジュリオもビブ公も、みなそんな発展途上のまま、ひとしきりのクエストを終えているように思う。それは未熟で、可能性に満ちた終わりだ。
ただ、ひまりのプライドの源泉でありアイデンティティでもあった『スイーツノート』が燃やされても、胸の奥にある不壊の信念を信じられたのは、とんでもなく大きな一歩だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
どんなに世の中が殴ってきても、『それ、いるか?』とバカにしてきても、譲り渡さなくて良い領土を、彼女は見つけたのだ
エリシオとの戦闘が終わった後、ひまりの変身は解除されず、31番に誤解されて再度オーディションが始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
引っ込み思案な嫌いなワタシではなく、自分の『好き』を堂々と宣言できるステキなワタシへ。プリキュアへの変身はこの時、闘争の道具ではなく自己実現への階段に変わっている。
もしひまりが戦いの日々の中で、キュアカスタードに『変身』することで自分を好きになれたなら。変身アイテムは暴力の補助具ではなく、少女の背中を後押しする夢のアイテムに、ちゃんと成れているということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
プリキュアが果たすべき物語が、ひまりのありふれた変化を通じて見える回だった。
そんな物語をショーアップするべく、今回は非常に心理主義的な演出が目立った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
オーディションを終えたあとの三角の窓で、一人黄昏るひまり。影と光の境界線が鮮明な空間に、いちかと仲間たちが集まってくる。一年一緒に戦った、大事な友だち。
いちかは主人公らしく既に正解を知っていて、『ひまりはひまりらしく、ひまりのままで』と言ってくれる。仲間たちも一言ずつ思いを持ち寄り、光が大きくなる。(冬服全体的にかわいくて、特にあきらさんとゆかりさんの『引率の美パパ・美ママです。宜しく』感は凄かった)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
でもひまりは、心の中から発する陰りから逃げれない。自己嫌悪は自分で乗り越えるしかない。…乗り越えるという強い表現は、プリモードにはあまり似合わないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
苦しいことがあっても、へっちゃらと笑みを浮かべて堪えて、ダメな自分にも優しくリボンを掛けてあげることが大事なのだろう。
そのためには一度、闇の中をしっかり潜らなければいけない。まとめモードに入ってから、光を試す闇の冥闘士・エリシオ先生の仕事力が高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
すっかり闇(光担当はジュリオ)の男プリキュアと化したエリシオ、今回は芸能ネタにふさわしく、映画監督モードにキャラチェンジである。
ウテナの黒薔薇編よろしく、ひまりの心を切開していく映写機。『ダメダメで大嫌いなワタシ』を投射し、トラウマに追い立てられるひまりが自分を取り戻せたのは、バラバラになったレシピだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
炎の中から蘇る不死鳥のように、レシピに込めた思いと思い出が立ち上ってくる。
心を切開しているように見えて、エリシオが物理領域しか触れていないのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
ひまり自身すら気づかない間に、鍛えられていた自尊心は、レシピを燃やされたことで逆に強く光る。『不屈の闘志』なんて、臆病リスに一番に合わないものが、ちゃんと育まれている。
そしてそれは、くっそ地味で変なオッサンに囲まれてばかりだった過去の思い出を、一歩一歩踏みしめることでたどり着いた光だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
誰もが認める偉業じゃない。誰もが辿り着く、小さな自尊でしかない。でもそれは、映画になるくらい立派な変化じゃないか。俺はそれを、ずっと見てきたじゃないか。
エリシオの力だったはずの映写機が、ひまりの決意と変化を映し出した時、僕は凄い嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
僕が見てきたもの、彼女が歩いてきた道を、彼女自身が誇りに思ってくれたこと。その光を、プリキュアアラモードが見落とさず最後の物語で描いたことが、嬉しかったのだ。
そんな風に、有栖川ひまりの一年間の歩みは一つの終りを迎えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
地味で、小さくて、ともすればどこにも進んでいないと嘲られるような変化だ。
でも、孤独で自分のことがあまり好きじゃなかった女の子が、お菓子が好きな自分のことを好きだと言えるようになったのって、凄いことじゃないか。
思えばプリモードは、そういうコンパクトで手触りのあるスケールの中で進行し、時に迷走してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
今回ひまりが成し遂げた変化と、何よりも成し遂げなかった変化は、自分たちの物語をしっかり把握した上で生まれた、嘘のないお話だったと思う。それはとても、大切なことだ。
ひまりはアイドルの世界に背中を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
ステージの空気を読んで笑顔を作れることも、不要な長尺語りをすっ飛ばすことも、もちろん大事で尊いことだ。
でも、ひまりはそうはできない。そんな自分に出会い直して、またヘンテコなオッサンや可愛い仲間たちに、愛情いっぱいの長口舌を叩きつけるだろう。
そんな彼女のままで誰かと繋がれる場所、自己表現の方法を、有栖川ひまりはもう見つけている。それは幸運に転がり込んできたのではなく、恐怖に震えながら彼女が自力でもぎ取った、自分の居場所だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月10日
その意味。その価値。それを大事に描いてくれた、良いエピソードだったと思う。来週も楽しみだ。