宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
中卒コミュニケーション強者の日向を加え、ついでにアホリーダーを解任し勢いを増したJK南極部、しかし具体的な道筋が見えないのは変わりがない所で…というお話。
前二話のしっとりとした語り口とは打って変わってのアップテンポ、だが雄弁な静の詩情は健在。
というわけで、『アホ女子高生がキャイキャイするシーンを書かせれば三国一』花田先生の伝家の宝刀が抜き放たれる、勢いに満ちた第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
前回『あ、思ってたよりバカだ』と納得させられた報瀬を筆頭に、アホバカ人間たちがとにかく小気味よく喋る、喋る、喋り倒す。そのスケルツォが心地よい。
キャラ個別の顔、そのアンサンブルが生み出す光とパワーを前2話でしっとり、時に勢い良く描けているので、深刻にならずガーガーバカ話をしている彼女たちが、凄く愛おしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
活力に満ち、方向の定まらないエネルギーを放射し続けている姿が、とても眩しい。
とにかくダイアログのテンポ、状況が進む速度が早くて気持ちのいい回である。このスピード感は前2話には無かったもので、同時にあのアホバカ達を描くなら必須でもあって、つまりこの話数にドンピシャな変奏曲だと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
巧いこと視聴者に『あ、言いそう』というイメージを作って、満を持して、と。
必然性のあるターンは『いかに南極へ行くか』という問題にもかぶっていて、しゃくまんえん程度では揺るがないシリアスな『南極』に手をのばすべく、『アイドルに同行する』という魔球が投げられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
まぁこのくらいしないと、『南極』には行けない。問題は魔球をどうミットに入れて、納得させるかだ。
ここで生きてくるのが、アップテンポな展開の合間に挟まれる描写力の高さ、暗喩の巧さである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
前二話を高速駆動させた圧倒的なイメージ力が、印象的な休符めいて挿入されることで、うわっついた物語が地面に縫いとめられるよう、感情を丁寧に伝えてくる。ここら辺の呼吸の作り方は流石だ。
今回の物語は第四の前髪パッツンおバカ、白石結月の友情にまつわる物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
『南極』への切符を背負った彼女は、孤独に苛まれている。アホバカテンションが一旦収まり、母親と口論する時、抜け目なく描かれる『3つ』のランドセル。彼女が求める遠い憧れは、静かに暗喩されている。
報瀬に『南極』を夢見たキマリにしても、そんな二人に光を見つけた日向にしても、この物語の少女たちは、お互いに此処ではない何処かへの切符、青春のイグニッション・キーを求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
『南極』を押し付けて逃げ出すべく訪れた結月も、三人を結びつけている『南極』に何かを見出した。
アッパーテンションでおバカな展開をやりつつ、そういう運命的な出会い、溢れかえる輝きに目を見開かされる瞬間の衝撃は、ペースを落としてしっかり描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
そういうメリハリが効いていることで、様々な語り口で青春を描ける豊かさ、その時大事なものを見落とさない眼の良さが確認されるのだ。
気の置けない関係を創り上げた三人を元気よく(良すぎるくらいに)描くことで、そのうねりに引き寄せられていく結月の気持ちに、僕らの目線が重なっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
楽しいコメディは、小気味良い掛け合いを元気満点でやりきれるマブな間柄を、『あ、良いな』と自然に思える誘導にもなっているわけだ。
誰かと触れ合いたくて、でも届かなくて。結月の思いはLineという形式だけを追いかけた、実態のない友情を既に用意している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
でもフォローバックのないそれは当然、空気が抜けて萎んでしまう。ランドセルは遠目で憧れるだけ、友情は夢に見るだけだ。
そしてその境界線を、三人は飛び越えていく。
バカに見えてナイーブでクールな日向を調整役に、報瀬の行動力にギリギリブレーキがかかっているのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
結月が抱える『行きたくない理由』に思いが及ぶのは、自分自身高校に馴染めなかった経験があるからだろう。そういう成熟を共有できる温かい関係が、彼らにはちゃんと出来ている。
アホバカ大暴走で笑いを作りつつ、誰かの願いを踏みにじったり、憧れに吸い寄せられる視線を共有できなかったり、誠を裏切るようなことには、ちゃんと二の足を踏む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
人間の一番柔らかい部分を大事にできる子なんだと、芝居がちゃんと語ってくれるからこそ、僕らは彼女らと笑いつつ、敬意も持てる。
友情へのあこがれと、切ない孤独を告白した結月を前に、キマリは彼女を抱きしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
たとえ普通じゃなくても、胸の高鳴りに従って為すべきことを為す。
『南極』へ向かう足取りは、友情を結晶化させる瞬間にも有効だ。普通じゃなくたって、形にならなくたって、熱い思いはちゃんと伝わる。
そんな情に満ちた関係を、結月は僕らと同じように『親友』と呼ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
でも、三人はそうじゃない、と断る。
今はまだ、ただ同じ光を見ているだけなんだ、と。
共有した時間の短さがそう言わせているのかもしれないが、その結びつきの強さ、思いの熱さはマブなんだよと、オッサンとしては言いたくなる。
友情の形をなぞるのではなく、真実胸の中で渦を巻く感情に素直に、行動を伴って手を握る。同じ方向へと、止まらず走っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
元気に進む今回のお話は、彼女たちが『南極』にたどり着ける根っこの部分を肌で感じさせてくれて、とても良い。それに引き寄せられる結月の思いにも、心底共感できる。
アイドルをチョロマカシて、『南極』のおこぼれに預かろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
結果だけを見た形だけの行動を、報瀬は自己嫌悪と結月との対話で見つめ直して、止めることにする。結月という自分たちによく似た少女が、心からやりたいようにすることを優先する。
『南極』に行けなくても、それで良いんだ、と。
『宇宙よりも遠い場所』に辿り着くのは、このアニメで一番大事なことのはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
でも、そういう形よりも大事なものを、アホバカ高校生たちは見落とさず、己を改めることが出来る。その真心が、逆に彼女たちを『南極』につれていく。
ストップ&ゴーを繰り返す今回の話は、そこを確認させてくれた。良い
三人の真心の残光をまぶたに宿した結月は、やっぱり友情を夢見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
はしごに乗って、高い塔のお姫様を助けに来る無茶苦茶を『まぁやりかねぇねな…』と思わせるよう、前半のバカ力を使ってくる計算が好きだ。
『花田先生ならこういう運びにしそう』という、クソヲタクの予断もあるわけだが。
でもそれはあくまで夢で、目覚めれば友達はいない。部屋は暗くて、窓は閉じてて、Lineの中の仮初の友情はあっけなく消えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
そこでノックが鳴る。高まりすぎた期待が生み出した幻聴のように、閉じられた部屋を友情が叩く。扉が開いて、そこには生身のトモダチが当たり前に、玄関を通って在る。
夢と憧れ、現実と理想を行ったり来たりするこのシーケンスは、このアニメ全体のリアリティがどういう所にあるかを、非常に雄弁に描いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
少女たちは窓を通らない。奇跡のように、物語のように美しい結末へと、あくまでリーガルな手段を選び取って辿り着く。少し夢っぽくて、とても綺麗な歩みで。
『動』の強さを示しきった、楽しいコメディの今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
しかし『静』の巧さを捨て去ったわけではなく、結月の孤独と願いをしっとりと描き、夢のような現実の到来をグッとくる演出で届けてくる筆は、やっぱりすごく鮮明で強力だ。
同時に元気な語り口を豊かにやりきることで、活力と笑いが生まれもした。
ここら辺の語りの巧さは、3回画かれる写真のモチーフからも見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
一回目は、お互いの真情を見ないミーハーな出会いの中で。軽薄に提案され、頑なに拒絶される。
二回目は回想の中、友情を結月が獲得しようとあがいて、巧く行かなかった象徴として失敗する。代わりに、キマリが結月を抱きしめる
そして三回目。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
科学館で取った写真は、手で掴み取れる実体としての友情が成立した後、感動の涙を追いかけるように成功する。
タレントとしての肖像権、母との闘争に勝利した証として、青春を切り取るスナップ・ショット。
その成否が関係性の変化を巧く切り取る、非常に巧みな劇作語法だ。
『南極』の光に足をかけた四人は、手の届く夢として科学館に赴く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
剥製のペンギン、レプリカの設備、投影されたオーロラ。
真夏の日本で、少女たちはあまりにも尊い嘘っぱちを共有し、同じ夢を見る。それはまだ、『親友』ではない距離感。
あれだけ幸せに見えても埋まらない、宇宙よりも遠い場所。
笑いと友情に背中を押され、『南極』を現実にもぎ取る魔球は、キッチリミットに入った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
アイツらならなんか『南極』に行けそうだし、行ったほうが面白いとちゃんと思わせる。物語に肩入れさせるためには絶対に必要な一手を、きっちり形にしてきた。ほんと凄いなぁ…語り口も変えて飽きさせないし。
運命的な出会いの衝撃力、それを繋ぎ止める友情の濃度が鮮明すぎて、すでにかなり満足度は高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
でも、彼女たちがたどり着いた美しい場所はあくまで途中経過であり、『南極』は真夏の東京が見せた幻影だ。『親友』にもまだなってない。
途中経過でこれほど爪を突き立ててくるのに、一体本当に『南極』に辿り着くには何が必要なのか。何を描き、何を届けてくれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月17日
描かれたものにガハハと笑い、しみじみ感動し、タップリ満足した上で、未だ描かれざる物語への期待もドガンと高まった。素晴らしいエピソードでした。来週も楽しみ。