ゆるキャン△を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
孤独なソロキャンパーに、忍び寄るピンクの影ッ!
旨そうな担々餃子鍋を携え、しまりんのパーソナルエリアを侵略するなでしこ。しかしその歩みは配慮と優しさに満ちていて、むっつり三白眼娘も思わず一歩を許す。
しっとりした時間の描画が、変化していく関係性を活写する回
というわけで、今週もゆったりまったり冬キャンプである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
野クルに足場を映した前回から、またしまりん-なでしこの関係性の綱引きに戻る今回。とにかく引きと押しのバランスが良く、ゆったりしたペースなのに心地よく状況が進んでいく。スローペースだがテンポと起伏がある。
これは絵的なものとキャラ描写的なもの、両方が連動しながら生まれているものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
キャラの細密な表情を切り取るクローズアップと、美麗な世界、その高い解像度の中に遊ぶキャラクターを自信を持って出してくるロングショット。
カメラが切り取る世界の距離に、ちゃんと緩急がある。そして両方綺麗だ。
担々餃子を最初に口にした時。あるいはなでしこの誠意にふれた時。非常に細やかな表情の変化を、丁寧に密着して描くカメラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
それが的確に使われているから、二人の距離感が細密に変化する様子がしっかり伝わり、しまりんの胸に宿ったアツさが、鉄面皮を貫通して良く分かる。
さじ加減ひとつ間違えれば、しまりんは自閉した冷たいクールキャラ、なでしこは距離感掴めないウザキャラになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
のだが、寄って寄って細かな変化を掴むことで、カタチを崩さないままテンプレートとは少し違う体温を、伝えてくることに成功している。ムスッとしたまま、喜んでいると理解る。
キャラが記号の集積体ではなく、揺れる心を持った人間だと見せる意味で、非常に緻密な食事の描写はいい仕事をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
彼女らのメシ描写は定形表現をあまり使わず、彼女ららしく旨そうだ。寒空の下で暖かいものを食べる喜び、それを共有できる楽しさが、仕草の中からちゃんと伝わる。
思わず腹が鳴り体温が上がるあの表現があって、すごーく緻密で危うい距離感をジリジリ詰めていく人間的な二人の変化が、視聴者に接近してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
厚かましいように見えて、ちゃんとソロキャンパーの意志、りんちゃんの嗜好を尊重できるなでしこの優しさ、賢さが皮膚感覚的に見えてくる。
先週、りんちゃんソロキャンプをとても美しいものとして描いたからこそ、それを保ったままソロがダブルになる変化には、緻密さが要求される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
人間の表情を丁寧に可愛く追って、ソロからダブルに為ることで生まれる熱量と喜びを切り取って、このアニメは私とみんな、両方を貶めない価値を描画してきた
それに説得力を保たせて描くのは、サラッとやってるが凄く大変で、偉そうになったり儀礼ばったり、落とし穴がたくさんある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
それを丁寧に回避しつつ、あくまでりんとなでしこという一少女の血の通った青春として、価値の両立を描き伝えてくる細やかさは、やっぱり凄い。
こういう透明感を成り立たせているのが、美麗な美術の存在感と、それを的確に使うロングショットの配置である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
自然の風景のみならず、酒屋や激安ドリンクショップすらも、彼女たちを取り巻く世界は美しい。そういう場所でなら、とてもキレイな夢がピカピカに描かれても、納得がいく。
ロングで引いた絵を挟んでくることで、少女二人の緊密な交流に一つ、涼しい風が吹いている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
ベタベタと接近しすぎず、他者を排除した特別な関係に逃げ込まず、一歩ずつ関係を縮めていく。それは美しい余白を、慎重に使う演出力があってこそ描ける歩調だ。
この『余白を粗雑に扱わない』強さは、お姉ちゃんの描き方にも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
妹の急なブッコミを弾かず、日がちょっと傾くまで車回して、キャンプ場に連れて行ってくれる姉。キャンプ代出してくれて、車中泊付き合ってくれる姉。面倒見が良すぎる…妹が好き過ぎるッ!(歓喜)
ソロになりがちなりんちゃんにお節介して、新しい喜びを開いてくれた斎藤さんもそうだけど、二人の特別な親密さは、その周辺にいる人々の善意で成立している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
凄くクローズに主役を切り取りつつも、ちゃんとカメラを引いて、そういう人たちに報いるのを忘れない。作品倫理がカメラワークに出ている。
そういう当たり前で、でもヲタクメディアでは結構な頻度で蔑ろにされてしまう創作のスタンスが、凄くさりげなく、パワフルな表現の技法として握り込まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
りんちゃんとなでしこ(と彼女たちを愛する人たち)が、美しい世界の中で間合いを詰めていく今回、そこを確認できてとても良かったです。
一緒にご飯を食べて、謝意と尊重を伝えあって、同じ星と山を見て、無防備な寝顔を共有する。気づかれないまま、下の名前で呼ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
キャラクター同士の心がゆっくり接近していく様子を、細やかに描いてくれるエピソードでした。ありふれていて特別な変化を、ありえないほど美麗な背景がよく支えていた。
体温上がるカプサイシン系食品を食わせることで、自然と帽子と上着を脱がせて、しまりんの警戒ハードルが下がって素直に喋る姿勢を創る所とか、魔法のように巧かったなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
しまりんのトーンはほぼ変わんないんだけど、なでしこが隣りにいる『今』を幸福に受け止め、特別に感じているのがよく判った
美しい世界でも、特に美麗なご来光をラストに据え、二人の関係が決定的に変化した瞬間と重ねていくドラマも、穏やかながら見事なクライマックスだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
味付け濃いきららムーブも上手く使いつつ、しっとり丁寧にやる所は徹底して彫り込む。これもまた、緩急の巧さ、押し引きの強さか。メリハリがある
このアニメが持っている独自のテンポ、ストイックで焦らないテンポ、見据えている景色、尊重したい価値。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
そういうものが、楽しく温かいエピソードを通じてじわっと流れ込んでくる、とても強くて良いお話でした。
このペースと強度で女と女の変化を描いてくれる…ありがたいありがたい。来週も楽しみ。
追記 みんな主役、と言うのはカンタンだけど、説得力をもたせるには細やかな作り込みと怜悧な視力、惹き付ける豪腕が必要になるよねって話
ゆるキャン追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
りんなでのクローズで広い変化をメインに据えつつ、野クルの二人がバイトに挑むときの緊張、彼女らなりの戦いをちゃんと置いてくる周到さも良かった。
あの子達もまた、自分なりに本気でキャンプを楽しもうとして、お金を稼ぐことにしたのだろう。それは尊い。とても尊い。
こんだけ濃厚な感情を描く時、いろんなものを取りこぼしてしまうもんだと思うが、このアニメは貪欲に横に広い描写、縦に深いカメラを使ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月18日
その視野の広さが、広い世界がなければ成立しない『キャンプ』という題材と噛み合っていて、なんか凄いトルクと風通しを出していると感じる。強いなぁ。