アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
美神は方舟を去った。見放された衆生は、絶望の荒野で彷徨う。去るものの薄情、追う者の狂気。嘘でもいいから『みんなのため』と言えたなら、騎士の勤めも楽になるのに。
騎咲レイのエゴイズムとナルシズム、VAの閉鎖性が俎上に乗るラスト・ダンス。
というわけで、なんとも凄い回である。全体的に嘘はいっていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
見捨てられたVA生が船を去るのも、それを引き止めるレイちゃんが『エルザのために!』しか言わないのも、これまでの描写を全く裏切っていない。
だが結末はなんかいい話風に繋がって、『エルザを信じるレイをみんなで信じる』と収まる
ここら辺のギクシャクした接続はスターズの恒例だし、『アンタ結局エルザじゃん! アタシラ見ないじゃん!!』と一般生徒がキレても話しの納めドコロがないので、しょうがないかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
収める必要もなくグッチャグチャのドロドロにするのも在りだとは思うが、まぁ無理だわな。
レイちゃんは頭の天辺からつま先までエルザ…に美しい幻影を見る自分に酔っ払っていて、全てがそのエゴイズムとナルシズムに収束していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
エルザ本人がVAを切り捨てたのに、『そうじゃない! 本心は別にある! エルザはもっと綺麗!!』と全開なところが、露骨狂ってて好き。
その狂気は当然誰も惹きつけず、幹部連だけがレイちゃんの手助けをしながら、沈む船をなんとか浮かせようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
母を求めて船を去った神が、負けた後帰れる場所を守るべく。そうさせるだけの魔力が、間近でエルザを見てきた彼女らには宿った、のだろう。
エルザが人を引きつける引力と、それで生まれる責任や倫理を、VAは誰も彼女に教えなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
その船自体がエルザのエゴの延長なのだから、外側にあるロジックなどクソクラエなのは筋が通っているが、神が去れば、人は正気に戻る。それでも神を信じられるから、信仰は狂気を孕むのだ。
結局レイちゃんの狂気はステージを貫通して、『エルザ様はもう信用出来ないけど、レイさんなら信用できるから待つ』という結論に落ち着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
そんなレイちゃんはあくまで『全てはエルザのために』と呟いて、ステージに赴く。潔い。キミの瞳…に移る僕の瞳に乾杯、というわけだ。
VAの生徒が、自分たちが二の次にされ、エルザが帰還する船を飾る花としてレイちゃんに使われている(というかたちに、描写を繋いでいくと僕としてはなる)ことに気づかないほど、盲目なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
はたまた、そういう理屈をぶっ飛ばすほどレイちゃん(と背後にいるエルザへの信心)は強力なのか。
ここら辺のロジックを読みきれないのは第80話衝撃の嵐の宣言、あるいはそれ以前の『あの力』あたりから続く、スターズっぽさだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
キャラ単体では嘘のないロジックでも、それが世界に飛び出して反応が返る部分に、なんとも歪があるように見えるのだ。
ふつう、そうはならんでしょう、と。
しかしまあ、結果としてそうなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
レイちゃんのエゴイズムとナルシズム、エルザを理想像に飾り立てて個人として踏み込まず歪ませてしまったくせに、そのキレイな理想像を信じ切って身を捨てる自己犠牲(自己統制)は、より広範な人々の支持を取り付けるのだ。
キャラの歪みに嘘をつかないなら、世界の方にも嘘をつかせないでいいのに、と思うが、その歪みを素直に貫いて、世界にツバを吐かれる展開は夕方やるには重すぎるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
なら、こんなにエゴイストでナルシストに仕上げるのではなく、それこそきららみたいな変化を入れてあげれば良かったのに、とも思う。
どっちにしても、レイちゃんは真昼や四ツ星との交流で少し広範な視線を取り付けつつ、エルザに反射された自意識を強烈に抱きとめたまま、狭い世界を猛烈な勢いで走り抜いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
その変わらなさは、僕は結構好きだ。そんなレイちゃんを、エルザがあんま大事にしてないところも。
このあとエルザが真昼に勝って、ゆめに負けて、今回担保したVAに帰還する流れが来るとして、エルザが隠してきた『本心』とやらが表に出る展開になるのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
本当はVAもレイちゃんも愛していて、でも太陽に、失われた母に近づきたくて思わず足蹴にしてしまった、と。
その身勝手さも、『レイさんがそういうなら』で泥なすりつけられたVA生徒は受け止められるのか。蔑ろにされた惨めさに怒り、涙をこぼす権限すらも弱者にはないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
そういうことに思いを馳せると、レイちゃんとエルザの歪みも、ただただノンキに『美しい』とも言えない…と僕は思う。
けどまぁ、光を与えられない敗者、勝ちを譲られカリスマに飲まれる側の惨めさを、画面には映しつつ決定的な仕事を与えなかったのもまた、スターズの歩みであり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
このエピソードの歩みと終わりの繋ぎ方は、そういう部分に嘘をつかなかった結果、といえるのかもしれない。
レイちゃんが敗北それ自体にそこまで歯ぎしりしないのも、『エルザのため』を貫いた彼女らしいなぁ、とは思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
自分がないから、理想のエルザに反射したキレイな騎士像を、空疎な自己に残響させて生き延びる。
多かれ少なかれ、エルザのエゴに取り込まれて生きてたVA生にも、そういう生き汚さがあろう
今後戦いが進行し、数多の敗者が生み出される中で、そういう軋みや歪み(あるいはその不在)はどう描かれていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月12日
まずは来週、真昼である。セクシー、姉、空手、レイちゃん担当。その総和以上のものを、最後の晴れ舞台で描ききれるか。終わりの足音を聞きながら、僕はまだ微睡んでいる。