宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
艱難辛苦を乗り越えて、はるばる来たぜ南極! 極地の荒々しい自然の歓迎…は白夜の南極にはなくて、ごくごく普通にハードな生活の準備を、淡々と積み上げていく。
その中で見える喜び、分からない友情。形のあるものとないもの、partialな私達の関係性。
というわけで、遂に目的地にたどり着いたよりもい。しかし『南極』から想像される嵐も氷もあんまなくて、少女たちは当たり前に安全確認して、当たり前に必死に働く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
飯を食ってイベントを楽しみ、ゴミを捨てて友情に悩む。『南極』は生活に満ちている。
人間到る処青山あり。極地だろうが人が生きている以上、目をみはるようなスペクタクルだけではなく、すごく当たり前の風景が繰り返される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
そんな日々の中で大事なものを見失わないために、食事の楽しみ、イベントの喜びは意識して製造される。でも、イベントにこだわりすぎると大事なものを見落とす
今回、話しの中心にいる結月にとって、友情とは『イベント』だ。遠い世界の憧れで、一回も出会ったことがなくて、極地に吹く嵐のように劇的なはずの物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
だが、『日常』としての友情は他の三人が体感しているように、形がない。言葉にも出来ないし、誓約書を差し出してはい親友です、でもない。
固体化された『イベント』と、液体化して輪郭がない(でも確かに存在している)『日常』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
半生(パーシャル)に解凍された友情を共有して、ようやく『南極』までたどり着いた三人と一人は、実はその認識において大きな食い違いを抱えていた。そこを掘り下げるのが、今回の物語である。
アホバカ人間があまりに楽しそうに、仲良くアホバカやっているので。また結月自身がいい性格しているので忘れてしまいがちだが、彼女は他の連中より一個下である。後輩であり、色んな部分が足りてない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
凄く不器用に切実に、形のある友情を追い求める今回の結月は、いつもより幼く見える。
アイドルとして大人に混じって仕事をしてきたことは、結月の大きな力だ。シンガポールでの立ち回り、カメラの前でのキリッとした表情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
でも、それが取りこぼしてしまったものも確実にあって、センチメントな空気を加速させるクリスマスは、ゲロと荒波で忘れていた『それ』を、表に露出させてくる。
それが劇的に表面化したのが『親友契約書』であり、四人の中で最も感受性が高く、状況の真実を言語化出来ないなりに直感できてしまうキマリは、それを見て号泣する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
そういうものを書かせてしまった自分と世界、書いてしまった親友が、なんとも哀しかったのだろう。優しい子だ。
契約書のような、きっちり形のある『友情』。仕事に遠ざけられて、誕生日を祝ってもらったこともなかった結月にとって、そういうカタチ以外の友情は判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
曖昧で、あやふやで、いつの間にか周囲を取り巻いている自然なカタチ…流体としての『友情』を体感するチャンスは、これまでなかった。
だから結月は自分が水のような感情に既に取り囲まれていることに、自分たちが親友であることに気づけない。実感も出来ない。『イベント』がないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
だからキマリたちは、遅れ馳せのバースデイケーキを作り、誕生日を祝う。『イベント』という形で、『友情』を判ってもらおうとする。
人を縛り付ける契約書は、煮ても焼いても食えない。カッチカチに凍りついた冷たい『友情』の形だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
でも、第3話で既に少女たちが到達していたような『ねー』『ねー』で通じ合えてしまう感覚は、結月には判らない。友情の中で泳ぐ訓練を一切していないのに、プールに放り込むようなものだ。
だから、アポロとマーブルで飾られたケーキを作って、一緒に食べる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
『イベント』という形、『食事』を共有することで、確かな形を保ちつつ、瑞々しい感覚に満ちた半生な『友情』を結月に届けて、なんとか分かる形にまとめ上げようと頑張る。
当たり前に生きていては伝わらないことを、特別な形で。
それは繰り返される南極の日常に押し潰されないよう、『食事』と『イベント』を大事にするスタイルを、少女たちが学習した、ということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
契約書は、確かに大間違いだ。でも、『ねー』一言で判ってくれってのも、難しすぎる質問だ。形がなければ見えないものを、結月は見ようと頑張ったのだ。
結月がヤバい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
忙しない仕事の中で、年上のお姉さんたちは危機感を共有して、それぞれのスタイルで対応する。
不器用にまっすぐぶつかる報瀬、溢れるセンスで共感するキマリ、的確に状況を見て言語化していく日向。それはここまで、このアニメが描いたキャラに嘘がない描写だ。
三者三様の対応は、どれも正しく価値があるモノとして描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
的確に笑いを交えつつ、それぞれがそれぞれらしく、友情の実態を感覚できない後輩に、一緒に『南極』まで来た仲間に、形がなくて形がある不可思議な『友情』を判ってもらおうと、色々やる。
その多様性とひたむきさが、僕は好きだ。
日向の眼の良さ、言語選択と人当たりのセンスが、今回は冴え渡っていた。賢いおかーさんのような包容力で、聞き分けの悪い結月に言葉を与えつつ、自分をうまく表現できない報瀬のフォローもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
報瀬もまた、時折言葉に詰まりつつも、自分なりに真摯に友情の形を探り、言葉にしていく。
再び、女のために泣いたキマリも含めて、少女たちは皆真剣だ。真剣に働いて、真剣に遊んで、真剣に悩む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
友情を求めつつ友情がわからない、壊れたロボットみたいな愛すべき親友のために、自分が差し出せる最大のものを胸のうちから探って、送る。『かたち』を与えていく。
それは言葉であったり、イベントであったり、ケーキであったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
優れた直感力が暴走して、号泣しながら抱きしめたりして、『かたち』を獲得するのに失敗したりもするけども、常に共有可能な『かたち』を探し求めている。
それはカッチリしすぎた固体と、曖昧すぎる流体の中間点。partialな友情なのだ
友情を知らないまま友情を求める、結月の欠落と真摯さ。可笑しくも可怪しくもあるそれを、少女たちはマブダチとして真正面から受け止めて、ちゃんと『かたち』を返した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
不格好で真っ直ぐな思いに、真で答えた。
それは人間として、本当に立派なことだ。
あの子達はトンチキなアホバカ人間であるが、同時に人間としての誠を裏切らず、思いのまま真っ直ぐに吠え、そうやって吠える同志の声をちゃんと聞く。呼びかけに応え、共有可能な『かたち』を探る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
それが人の魂の『かたち』を整えていくのだと思えば、やっぱり彼女たちは尊敬できる子供なのだ。
『南極』にたどり着いた今回、イメージの中だけにある極地とは違う、『生活』がやってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
そこで報瀬の過去が大いに活躍する描写があるのが、僕はとても好きだ。
しゃくまんえん貯めるために、引越し屋のバイトをやった。だから荷運びの仕事もバリバリやれる。
母を追い求めて勉強した南極の知識が、色んな場所で顔を出す。12月は想像より暖かいこと、トウゾクカモメだっていること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
過去の努力は現在につながって、報瀬を支えている。役に立て、という確かな『形』を求めて手に入れたわけじゃないけど、緩やかに彼女を包み、前に勧めてくれる。
そういう連続性の描写、固体と流体の中間点にある自分は、エピソードを貫く友情の扱いとよく似ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
曖昧で答えの出ないもの。明瞭すぎて嘘に思えるもの。その両方に足場を置きつつ、『日常』は流れていく。時折、明確な意味を、確かな実感を心に刻んでくれる『イベント』も起きる。
絶交キャンセル絶好無効という、ドでかい感情重力イベントを経験してなお、キマリはめぐっちゃんを『一番の親友』だと言う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
幼稚園時代からずっと、当たり前に包まれていた、羊水のような『友情』
それは淀み水をせき止め、歪な支配を目論む危ういものでもあった。
光と影の境界線が顕になる瞬間を経てなお、キマリはそこに飛び込んで、自分を包んでくれていた想い出を信じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
何も変わっていないのだと『かたち』で示すために、LINEを送り、曖昧なものが帰ってくる。それが自分の友情の実感であるし、それでいいのだと伝える。
大検のための勉強道具を私室に持ち込んでいる日向も含めて、今回は代え難い過去と接合したまま、『南極』までたどり着いた少女たちの現在が、とても細やかに描かれていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
それはデカい言葉で語られるわけではないが、リアリティ溢れる南極基地の情景に重ねて、細やかに細やかに積み重なる。
友情と同じく、時間もまた、固体と流体の間にあるのだろう。なんとなく包まれていて、カッチリ切り出せば嘘になって、でも確かに、影響を及ぼしながら取り囲んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
それが形のある『イベント』になるのは、少女たちが『南極』から帰還し、このアニメが終わる瞬間なのではないかと、なんとなく思う
『日常』に満ち溢れた夏の極地で、結月は曖昧で確かな友情を見つけた。追い求め、間違えて、ようやくたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
そうなるために、三人の仲間は凄く大切なことを見つけて、実際に『かたち』にして届けた。もう、契約書はいらないだろう。心に刻まれた想い出が、友情を保証してくれる。
キマリが泣いて嘆いた『判んない』は、ひらがな一つで『判ってしまう』関係へと変化した。ホント花田先生キレッキレだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
その到達は、また別の景色を見つけるための足場にもなる。新しい場所で、新しい『かたち』に包まれながら、少女たちはどこまで行くのだろう。来週も楽しみだ。