メガロボクスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
野良犬の牙が唸る。闘犬の爪が吠える。拳一個を抱え込んだ、狼は狼を知る。
惨敗に終わったファーストマッチは、ジャンクドッグの魂に火をつけた。もう、偽物としては生きられない。それほどの出会い。その炎は白いチャンプにもまた伝染する。かくして、運命が燃焼を始める。
というわけで、主人公たちの物語がギシギシと駆動し始め、再戦のリングへの道のりが血と意地と男惚れで舗装されていく第2話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
ジョーとユーリの濃厚な感情だけでなく、贋作の意地、それを見取った藤巻の支援と、色んな場所で色んな戦い、色んな運命が渦を巻いていた。
熱量が高いッ!!
やはり宿命のライバル、ジョーとユーリの魂の絡み合いが目立つが、その熱量が贋作に飛び火して運命を決断させ、それが藤巻を動かし物語全体が動き始めるという、男の情熱ドミノ倒しが非常に気持ちよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
『戦うのは俺だ』とジョーは言うが、リングの外にも戦いはあるわけだ。
原案でジョーが苦しんだ、減量という『階級』との戦い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
ギアにより身体性をサポートされた今作では、ウェイトとしての『階級』よりも、クラスとしての『階級』との戦いが、よりクローズアップされているように思う。
いやまぁ、”あしたのジョー”は超階級闘争漫画でもあるけども。
IDがなければ、リングに上がるきっかけすらつかめない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
無邪気に拳を振り回すストリートの喧嘩じゃ、ジョーとユーリの運命は決着しない以上、社会的闘争は『階級』を乗り越える、サイバー世代の減量なのだ。
ユーリのリングに『上がる』ことは、下層から這い上がり、己の存在証明を掴む戦いでもある。
子供であるジョーに、その戦いはできない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
生きるか死ぬか、生身のヤッパと人間ジビエが飛び出すケジメバトルの存在は、ジョーには見えないのだ。
だから、結構呑気に『あ、終わったの?』くらいで贋作を出迎える。おっちゃんマジで死ぬか生きるかやったんぞキミ。
これはある種の親子関係でもあって、ジョーはしち面倒くさい社会闘争を全て、贋作に預けている。預けても良いという信頼感が、ジョーと贋作の中にはある、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
使う・使われるだけではない魂の繋がりが、主役とトレーナーにあるのは、やっぱり良い。
藤巻に脅迫されたとき、贋作は赤い血を流す。あれは涙であり魂そのものでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
銭金のことばっかり考えてた汚い大人が、実は天真爛漫に憧れを目指す少年を大事に思い、守ろうとしている。そういう赤心が視聴者にさらされるシーンだから、血が流れるのだ。
贋作が藤巻を説得するタンカは、『イカサマに何が出来るか見せてやる!』だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
名前からして贋作、丹下段平のパワーワードたる『立て、立つんだジョー!』『明日のために』を、徹底的にカウンターする言動。
南部贋作は、丹下段平のパスティーシュでしかない自分自身を、よく把握している。
『イカサマに何が出来るか見せてやる!』は”あしたのジョー”というあまりに巨大な作品を背負い、しかし新しい物語に挑戦するメガロボクス自身の叫びでもあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
引用と変奏で成り立つヒップホップを積極的に取り込み、コピーのコピーが溢れかえる現状を見据えた上で、ど真ん中のイカサマをやる
その思いは、ただただ気持ちのいい殴り合いがしたいジョーの幼さに火をつけられ、彼を代理闘士(チャンピオン)として焼き付けられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
何がどうなろうと関係ねぇ、ただもう一度戦いてぇ。
そんなガキっぽい願いに当てられて、贋作は贋作である自分自身を吠え、度胸試しのスープを全部飲み干す。
これを受ける藤巻の描き方も非常に良くて、私情に流される甘い人間ではないことを、まず暴力BGMでしっかり見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
暗黒街の凄腕が、一見全く関係ないウンチクを垂れ流した後、それがむき出しの暴力に繋がっていく描写大好き人間としては、ジビエトークは最高に良かった。やっぱ『凄み』が大事よ。
そういう男を動かすくらいに、贋作の決意、それを生み出したジョーの熱量は高い。そういう魂の閃きを見落とさないくらいに、藤巻の目は鋭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
男たちの決意と血が共鳴し、状況が動いていく手応えが分厚くて、非常に楽しかった。なんつーか、泥臭い真心がキャラの間でバチバチしてるのが、気持ちいい。
オッサン二人の盤外戦を始動させたのは、ぶつかり合う拳と拳のテーブルトークだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
ジャンクドッグはユーリを、ユーリはジャンクドッグを、それぞれ見つめる。目のアップが非常に多いのは、拳のコミュニケーションで手に入れたものを反射する鏡だからだ。
野良犬が吠え合い、噛み合うように、ボクサーは拳を交える。ジャブ一つ、フック一つが強烈なメッセージであり、返答にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
『お前はどれくらいの人間なのか』
『お前は俺を熱くさせてくれるのか』
問いかけを込めた拳は、冷めた態度を燃やし尽くし、己の魂を包み隠すことなく伝えていく。
愛の言葉よりも真剣で危険な、拳のラブレター。男たちの魂がリングで絡み合う熱量が、ボックスシーンにしっかり刻み込まれていて、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
紫の閃光のように、ジョーの視界に焼き付いたジャブ。それはくすぶっていた魂に火をつけ、イカサマにさよならを言わせるのに十分な火種だ。
返答として、自分がその衝撃に耐えうるタフなボクサーだと証明しなければ、恋は始まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
右手を使わせること。対等な試合の形に持ち込むこと。ジョーは野良犬の矜持と、偽りの中でも積み上げた実力で、ユーリのガードをこじ開ける。
本気になった二人は、非常に密度の高い会話をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
腹打ちを誘い込んで顔を狙うジョーと、まどろっこしい誘いを切り捨て本命を取りに行くユーリ。
誘う側と待つ側。実力差を反映して二人のスタイルは真逆だが、対話は成立している。真正面から喋って、上回る。
ストリートでむき出しの貧困に晒されているジョーが、作られた試合に慣れたフェイクを入れて、豪邸で庇護されているユーリがまっすぐ勝負をつけに行くねじれも、また面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
『階級』は魂の色を決める、決定的な要因ではないのだ。勝つべくして勝つ拳が、しゃらくさいフェイクをぶち抜く。
『ジョーのリング』を降りたユーリは、ここにはもう来ない、と言い切る。お前が上がってこい、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
それは勝者の傲慢であり、責務でもある。
『一度じゃない。もう一度、やろう。こんな地面の底じゃなくて、世界中に祝福されたてっぺんで』
ユーリが背中で語る言葉は、ジョーの拳が魂に届いた証明だ。
かくして、ジャンクドッグの魂に火がつき、『ユーリのリング』に上がるための物語が指導する。自分が何をなすべきか見つけた男は、名乗らなかった名前を告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
ジョー。
明日があるのかすら判らない、分断された世界を渡っていくための誇りが、そこには刻み込まれている。
OPで示唆されているように、ジョーのバイクは野犬の足であり、荒野をさまよう自由は『下の階級』にいればこそだ。(それはヤクザの下について、いつでも首を掻っ切られる不自由と背中合わせなわけだが)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
頬に刻まれた傷、胸に叩きつけられた拳は、恋のようにジョーを焼く。うっかり死にかけもする。
一方ユーリは豪邸に閉じ込められ、自分と同じ魂を宿した白い毛の犬を、ガラスの先に解き放つ。しかしスポンサーの鎖からは逃れられず、子供のように地下ではしゃいだこと…自分が自分のままでいた事を謝罪する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
富に満ちた檻、自由なる荒野。どっちにも不幸があり、脈打つ魂がある。
ジョーがユーリの、贋作がジョーの、藤巻が贋作の。魂のヴァイブスがリレーされるのは『男』限定で、ゆき子お嬢さんはユーリの躍動を理解しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
これが今後渦を巻いてくるのか、はたまた濃厚な『男の世界』にお嬢さんは取り残されるのか。原作からの変奏含め、楽しみだ。
ユーリの肉体に添えられる手。目線や口調。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
『女にゃわからない世界』に飛び込んじまったユーリを縛るゆき子だが、そこに情があり優しさがあるのは、細かい描写からも見て取れる。
それは多分、贋作がジョーのために土下座して流したのと同じ、赤い血の通った感情だ。
男たちの感情ドミノがバッタバッタ倒れる中で、ゆき子お嬢さんは一人ツンツンしておるわけだが、その健気さや強さも、今後掘ってくれると良いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
まぁ白木葉子の遺伝子を継ぐ以上、確実に掘るんだろうけどもさ。
男たちの拳と魂が出会い、ぶつかり、火をつける。それが一つの決意、一つの行動に繋がり、新しい局面が開けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
主人公が『名前』を世に問うラストと合わせて、物語が始まっちまう躍動に満ちた、素晴らしい第2話だったと思います。
『こいつは特別なんだ』という思いが、眼の作画に宿って良かった
かくして動き出した物語が、何処に行くのか。明日の形は見えないけども、とんでもないところまで突っ走っちまう予感がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月12日
この物語の先を見てみたいと、強く思わせるいいスタートでした。
開始(はじま)っちまうんだよなぁ…運命が。ほんとワクワクするわ。来週も楽しみです。