ペルソナ5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
八百八町の巷には、欲と夢とが舞い踊る。悩める若き芸術家が、友情を杖に世間を泳ぐ。銭金に溺れて窒息するもの、そこから頭を出して息を継ぐもの。
万色が踊る浮世曼荼羅の中で、探偵はひとり、冷徹に西洋将棋で白黒をつける。
そんな感じの、祐介&明智のコミュ回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
斑目回の余韻も生かして、白黒ハッキリしない世の中の深み、そこに飛び込んでいく芸術の面白さに、祐介が目覚めていくエピソードだった。
横領事件を絡めることで、ゼニの生臭さを話の取り込み、明智が介入する余地も作る。なかなかうまい構成に関心。
ここで斑目を再話するのは、彼に感じるものがあった視聴者としては嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
祐介が追い込まれた状況は、『金のない芸術家は惨めだぞ?』と告げていた斑目と、ほぼ同じである。夢だけで腹は膨れず、阿れば腐る。斑目が踏み外してしまった細い道に、彼を断罪した祐介も立つ。
祐介一人だと、実は斑目と同じルートだった気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
欲望を直接可視化できる特権に溺れて、黒一色で世間を塗ったり。あるいは潔癖すぎる狭い視界で、裏表ある世界を切り捨てたり。
世間の評判に浮かれる竜二や三島とおんなじ、若さゆえの危うさが祐介にも当然ある。
そこに躓きそうになった時、ツンデレおじさんに釘を差されたり、言葉少ない親友に隣りにいてもらったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
誰かが隣りにいることで、自分が指弾した”汚い大人”にはならない。しかし、『自分ももしかしたら”汚い大人”になってしまうかも』という危惧は、独善に陥らないためには大事だ。
画商おじさんは、斑目が幼い祐介を気にかけ、電話してきたと語る。そういう思いやりが、かつての悪人にはあった、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
光り輝くものが腐り果て、どうしようもなく劣化してしまう世界の中で、どうやって輝きを保つのか。キャンバスに封じ込めるのか。
祐介と蓮は、画業に悩み難題に飛び込む。
そういう難しさを諦めて、『世の中そんなもんですよ』と諦めてしまうと、怪盗団は怪物になってしまうのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
青雲の志を抱えた青年時代、だれもが怪盗団だった。しかし欲望と現実にまみれていくうちに、スタイリッシュな仮面は剥がれ、異能は他人を踏みにじるために使われる。
そういうエントロピーを、青年たちはどう跳ね返すのか。今回のふたりの旅路は、”友情”こそが答えなのだという、青臭い真理をズドンと打ち立ててきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
ともすればありきたりなジュブナイルになりそうだが、横領の絡むサスペンスを、祐介のアーティスト気質でまとめることで、ピリッと芯が入っていた。
今回画商おじさんに出会ったことで、少年たちは世界のすべてが腐っていくわけではなく、若さだけが清廉を与えてる特権ではないことを学べた。ともすれば、自分たちが腐る危うさも実感しただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
冒険をともにし、そういう智慧を実地で学べる。爽やかで、良い青春だなぁ、と思う。
そういう爽やかムードを横目で見つつ、チラチラちょっかい入れてくるのが明智である。な~にパンケーキとか食ってんだオラッ!(偏見殴打)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
祐介の旅と並列して、怪盗団に対峙するライバルを掘り下げたのは、とても良かった。胡散臭いが、優秀なのは間違いねーんだな明智くんよー。
盤面の見えないチェス。ヒットの出ないバッティングセンター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
高校生らしい”遊び”を通じて、蓮の迷いと明智の優越、二人の対立を印象づける演出はとても良かった。
黒と白に切り分けられたチェスボードは、祐介と見た欲望と夢が同居する複雑な世界とは、正反対の色彩である。
断罪すべき対象、抱え込んだ正義を疑わない(だろう)明智は、秩序の擾乱者である怪盗団を危険視する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
しかし黒の側に居ればこそ果たせる正義が、怪盗団にはあると蓮は返す。
黒に染まらない信念と潔白、腐敗をとどめてくれる友情が、オレたちの正義を支えると。
祐介と一緒に世間を見たことで、蓮の信念は強まった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
黒いビショップを握り、チェックメイトで一太刀返すCパートは、チェスの敗北を超えた信念の芽生えでもある。
一回目の対戦では、名探偵として世間を泳ぐ明智に王手を許したが、揺るがない人日を一つ見つけた二度目には、指し手を返せるわけだ。
蓮の主張は、怪盗団が黒に染まってしまえば瓦解する。世間の欲望に踊らされ、潔白なる希望を維持できなくなった時、青春と正義の季節は終わるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
今後、より世間に認知されチヤホヤされるだろう怪盗団は、”悪ゆえの正義”を貫けるのか。面白い宣戦布告だった。
しかし、明智は怪しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
俺も明智を信じたいのだが、盤面は常に何かに隠されて見えないし、明智といるシーンではカメラの前に何かが置かれてるし、演出が素直に信頼させてくんないのだ。
画面の不安定さを意識して増して、キャラの内面を塗り込める演出は凄く良かった。アーバンサスペンスって感じ。
冒頭の事件も、今回の横領も、軒並み民自党政権の吊し上げに繋がっている。この奇妙な符号が、潔白の正義を堂々と主張する名探偵に、裏があると勘ぐらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
そういえば、シャア声が異常に目立つ政治家が、チラホラ顔見世してたね、みたいな。
ここら辺のヒントが真実を言い当てているかは、まだまだ先を見ないと分からんだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
しかしジョーカーと明智の、バチバチした奇妙な友情は魅力的で、可能ならあんま悪いやつじゃないと思いたいの…出てる情報は、だいたい”ゴミクズッ!”って言ってくるけど。
P5アニメはヒントが明瞭だし、状況の変化もわかり易く見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
黒と白が入り交じる世界の中で、誰もが灰色だ。しかし、許されない悪に堕ちるものと、必死に善にしがみつくものの差は、明瞭に存在している。
浮かれムードが強くなってきた怪盗団が、はたして志を維持できるのか。
それは物語開始時から示唆されてきた注目点で、今回さらに強調された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
義人の資格はどこにあるか。どうやって、それを維持するか。
今後様々な事件が起こるだろうが、やっぱり大事なのはそこな気がする。ピカレスクをやる上で、とても大事な視点だ。
そういう大きな面白さと、少年たちの青春が爽やかに火花を散らす楽しさが一緒にあって、なかなか贅沢なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月30日
祐介と蓮が青春迷路をグネグネするシーンとか、明智とバチバチするところとか、奇妙だけど爽快でよかったなぁ。来週も楽しみです。