ルパン三世 PART5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
パダール。ハイテクと伝統、理想と権益が渦を巻く南アジアのカオス。
米国、巨大企業、宗教組織、志士。様々な勢力が欲望をたぎらせるクーデターの渦巻きに、少女たちの友情が飲み込まれる。その時不思議の国の泥棒紳士は、何を盗むのか。
というわけで、学園パートはもう終わり! パダール編に本格突入なルパンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
徹底的に格好良くキメるルパンの凄み、アミちゃんの悪党奮戦記、不二子との奇妙な関係。キャラクター描写の切れ味が良く、舞台となるパダールの魅力も強い。とても良いエピソードだった。
パダールはインドとチベットとオマーンとワガンダをないまぜにしたような、独特の魅力のある国だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
インフラ空白地帯だったが故に、大企業の積極的な設備投資対象となり、古い町並みに似合わぬ最先端技術が、実地で使われる国。
電子の先鋭と、アナログな枯淡が同居する国。
ドローン、自動操縦、網膜認証、電子マネー。人々は供給される便利な技術にあっという間に馴染み、古き良きパダールはあっという間に塗り替えられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
過去と未来が同居し、ホコリ臭い風景とピカピカのガジェットが混ざり合う光景は、観光客には刺激的で、一般市民には当たり前の日常だ。
そして置いてけぼりにされる権力にとっては、覆すべき過ちともなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
クーデター(ある意味、国家へのテロリズム)の中核にいるのが、ホコリ臭いパダール最大の倫理規範であり、権力だったろう”宗教”なのは、生臭く説得力があった。
被ってるガワがキレイな色をしても、いつでも巨人の中身は腐ってる。
古き良きパダールを信じる軍人たちは、宗教権力の企てに乗っかる形で、暴力を提供する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
実務を追うべき軍人が夢を見て、題目唱える坊主がリアルな政治を見据えるズレは、なかなか魅力的だった。まぁキレイなこと言ってても、ゼニと力がみんな欲しいわけだが。
国家の規範を外れ、頭ごなしにいうことを聞かせられないメガコーポ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
国境線で区切られた、旧弊な政治力学を維持したい米国は、CIAという長い手で、南アジアの前線基地を掴みに行く。
銭金と権力で繋がる限り、俺達は仲間だ。冷戦期の、そして現在の国際政治から、いくらでもサンプルを出せる関係。
悪党どもが手を握り、国を盗もうと陰謀を企む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
しかしその向こう側にいるハイテクの申し子たちも、パワーとマネーの信奉者だ。超資本主義の戒律に乗っ取り、市民に利便を、資本家に利益を。
基本無料で便利を買うたび、知らずのうちに何かを売り飛ばす。国家よりも隠蔽が上手い、経済侵略の指し手。
PART5は最終的に、グローバルキャピタリズムとテロル(ざっくり”現在”)との対立になりそうな気配もあるので、ここで巨大企業の横顔を描きに来たのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
敵ではないが、尊敬できる相手でもない。握手なんてまっぴらごめん。そういう生臭く、賢く、力強い相手が、今回のルパンの敵の敵だ。
ルパンはあらゆるパワーから自由なジョーカーだ。モノは盗むが金にはこだわらず、権力にもしがみつかない自由人(アルティザン)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
そんな彼が、国家や軍隊や宗教の隙間を泳ぎ、一悪党として自分のスタイルを突き立てる展開は、とにかく痛快である。今回のルパンは、めっちゃかっこいい。
サモサ・アチチ・コントで萌えムーブいれてたけど、今回のルパンはとにかくワルくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
標的を定めた時のニヒルな笑い、サラリと最新ITを解説する智慧、志士すら切り崩す脅迫の妙味、無駄話に罠を仕込むアクション。
一人で国を相手取る凄腕のかっこよさが、あらゆる瞬間からビンビン来た。
そんなルパンの弟子として、体を張って頑張るアミちゃん。ヤクのバター鍋の下りがスゲー良くて、前回ギャグシーンだったものが全く別の尊さで立ち上がってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
EP3は尺の使い方がコンパクトかつ的確で、短い描写が的確に殴ってくる。この切れ味の良さが、僕はすごく好きだ。
ドルマ王女、出番自体はそこまで多くないけど、どういうキャラなのかしっかり掴めるし、視聴者の感情も引っ張れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
アミちゃんに足りなかった”友情”を背負うことで存在感もあるし、記号の使い方も良い。そこを超えた信念や強さ、痛ましさもしっかりある。
エピソードヒロインである彼女の存在感があるから、彼女を助けようとするアミ、アミを助けようとするルパンを応援したくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
パダールという場所の魅力、そこで複雑に絡む権益の魔力だけでなく、故人の意志とドラマの面白さがみっしり詰まっている所が、EP3の面白さだなと思う。
アナログな時代に回帰しようとするクーデター派と、デジタルの申し子であるアミ。得意技を封じられた電脳少女が、震える足を隠して友情のため戦う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
EP1からの成長をしっかり見せてくれる構成で、凄く良い。舞台設定とキャラが噛み合って、良い見せ場が生まれている。
そんなアミと凸凹言い合いつつ、背中で導く不二子もマジカッコいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
泥棒紳士に守られるだけじゃ見えない、”女”としての強さ。
大好きなルパンに自分より近い、自分より女に反発しつつ、アミは不二子から色んなものを学んでいる。不二子もまた、アミに沢山のものを教えている。
『なんであたしがキライなの?』と聞かれて、答えられないアミちゃんが良い。スゲー良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
それはルパンへの慕情を表に出せないからだし、実はそんなにキライじゃないからでもある。真実嫌いな女と一緒に、命がかかった鉄火場になんて出ないのだ。
アミちゃんはまだ、色んなものを言葉にできない子供だ。何が好きで何が大事か、何を守りたいか。ルパンや不二子が手に入れたスタイルを、一個ずつ模索している真っ最中だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
そんな悪党見習いを、ルパンも不二子も自分の立場から、自分のスタイルで導いている。その多様な距離感が、立体感を出す。
のっぺり書かないのは舞台にも言えて、サモサのおねーちゃんとのやり取りはパダールが良い国だと教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
腐った連中が陰謀を企みもすれば、市井の人々の暖かさもある。それは写真を通じて繋がり、クーデターの歯車もまた血の通った人間だと教えてくれる。
複雑な混沌が魅力的な絵を描いているのは、アナログとデジタル、清廉と汚濁の対比だけではない、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
善人も悪党も、人間の様々な表情を押し込めた南アジアのケイオス。そこにある熱量がキャラのドラマ、スタイリッシュなアクションと一体化して、熱い律動を生み出す。
今回のエピソードはそういう、独特の魅力と鋭敏な視力のある話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
ここまでど真ん中にルパンが強くてカッコいいのは、PART5だと珍しい感じもある。やられてみるとホント最高で、早いストレート投げれるアニメは強いと痛感。
アミ救援に『やめなよ…』で出てくるシーンマジ最高だからなぁ…。
そんなルパンも、一ヶ月ぶりに土手っ腹をぶち抜かれてぶっ倒れてた。PART5のルパンはよく負けるな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
CIAのハイテクな銃弾は止めたのに、王女のアナログな鏃には不意をつかれるのは、今回描いてきたカオスが最後に凝集したようで、面白い演出だった。
『国を盗む』クーデターが主題に据えられて、同じく『国を盗む』アルベールの存在感が、影から投射された感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
薄汚い我欲と、現実を見てない理想主義のクーデター。司法怪盗であるアルベールは、一体どんな情念で”国”を狙うか。
そこら辺はあくまで副産物で、メインはアミが手に入れた友情、王女が国を思う気持ち、それを踏みにじる俗悪、孤高なる怪盗の痛快であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
楽しい要素がみっしりと詰まって、切れ味鋭い演出で一つ一つを磨き上げる。しかも、各要素がしっかり連動しお互いを引き立てることで、魅力がグングン増す。
力強さとセンス、現代的なガジェットを使いこなす腰の強さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
PART5『らしさ』が全面に出た、素晴らしいエピソードでした。
王子様がぶっ倒れた今、悪党見習いは一人戦わなければいけない。レジェンドビッチの薫陶は、いかな逆転をもたらすか。
敵は国家、標的は友情。いやー、次回楽しみだ。
追記 アミは僕らをルパンの世界に連れて行ってくれる、良い扉役だと思う。良い主人公は、そういう仕事をしてくれる。
ルパン追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
シリーズとしての縦軸を『アミの変化』に取ったのは、シンプルな強さがあって凄く良いと思う。
アミはキャラが強いしだし、彼女なりに必死に頑張ってるし、それでも足りなくてルパンや不二子の見せ場も創ってくれる。好きになラザるを得ないキャラ。
EP1での欠陥の魅せ方がうまかったので、それが埋まってだんだん変化している様子も分かりやすい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
ルパンというアイコンに惹きつけられて、悪党見習い頑張る中で、『ルパン』がどれだけ人の心を動かすか、しっかり見せることも出来る。オシリもキュートだ。
クールな現代っ子で、ルパンと出会って惹きつけられ、彼に憧れ変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
アミの軌跡は『ルパン』を世に問う制作姿勢、それを受け取る視聴者層と、奇妙なシンクロを見せる。
デジタルネイティブだって、『ルパン』を好きになって、『ルパン』で変わって良いんだ
そう語りかけるようなキャラを、実質的な主人公に据えたのは、やっぱPART5が『現在進行系のルパン』を見せたいからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月10日
僕はその野心と、それを面白いドラマとしてしっかりまとめてくれる手腕、届けようという気概が、本当に好きだ。
ルパン三世PART5は、とても良いアニメだと思う。