ハッピーシュガーライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
薄暗いクローゼットの中で、悪夢は腐敗していく。顔のない暴力を、眼球をえぐる超暴力で撃退したさとう。
しおとのハッピーシュガーライフを回復したようにみえて、歪みがきしみ続ける。
脆弱な経済基盤、封印された記憶から漏れる膿。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない。
そんな感じの、フリルで飾った萌え萌えエルロイ第4話である。ハードコアな事件を序盤に済ませて、のんびりシュガーライフを描写…と思わせておいて、その脆さを確認、約束された破綻を暗示するエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
さとうちゃんは超暴力を有するスーパーサイコだが、狂気も愛も世界を盤石にはしない。
犯行は綱渡りだし、壁を塗りつぶした血は落ちない。二人のお城を支えるお金の石垣はグラグラしてるし、クローゼットに閉じ込めたしおちゃんの狂気も全壊だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そんな危うい世界を、全きものだと思い込み安心する。私も私の認識も壊れていないのだと確認するべく、色々壊していく。
そんなさとちゃんの異常性と、異常になりきれない…異常一本で正常(を気取る)な世界と渡り合えない弱さが、同時進行する話だったなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
さとちゃんはサイコ超人で、チンピラはぶっ壊せるしお城も持てる。でも、ドM教師はMの図太さを前面に出して、スキあらば歯向かう姿勢を見せている。
一事が万事そんな感じで、一見思春期の万能感をエグい暴力とサイコ言説で補強しているようにみえて、その無力さを延々描き続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
弱さを補ってくれる“真っ当“な手段とは、縁を切った。世界の残酷さが切ることを強制したのか、持ち前の狂気が切ることを選んだか。
そこの区別はわからんが。
どっちにしろ、さとちゃんは異常な手段で、他人を傷つけながら自分を満たしていくしかない。その行き着く先は確実に不幸だが、それしかないんだからしょうがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そんな砂糖の檻に閉じ込められたしおちゃんも、”真っ当”とは程遠い。
しおちゃんが幻視するお母さんスタンドは、万能の異能存在ではない。娘のピンチを座視し、鋭い言葉の刃でえぐるだけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
真っ先に庇護を求めるべき”母”がそういう存在なのに、大きくて遠くて警察なんぞが、悲鳴を聞いて助けてくれるわけもない。
あの街の治安機能不全は、家庭の破綻が拡大したものだ。
それは家庭の外側に、家庭とは関係なく成立する別のルールが有ると、信じられない世界でもある。全てがドメスティックで、家庭が壊れてしまえば全てが壊れてしまうような、単色の世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そのピーキーな一途さが、赤黒い描写の中一筋の真心となって、お話に体温を与えている気がする。
家だけが全てじゃない。今縛り付け傷つけているものだけが、私を支配はしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そういう開放感にたどり着くところまで、自分を生かせない人々の物語。狭く閉じた家庭と性欲に、みっしりと腐敗していく以外道がない世界。
その息苦しさと重たさが、妙に硬く太い所が好きだ。
ハッピーシュガーライフは家族を模している。愛し、愛され、求め、求められる健全な自足。衣食住の共有と供与。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
それは忘却や暴力によって家族(あるいは家族外)を拒絶しつつ、結局そこに立ち返る以外道がないどん詰まり。
温もりの死骸で満ちた、砂糖菓子の壺だ。
どれだけ殴りつけ否定しても、家族に帰ってくるしかない。愛に帰ってくるしかない。そういう唯一性がさとちゃんにもしおちゃんにもあって、しかもそれがお互いで充足しきれない所…他人はしょせん他人な冷たさが、僕には面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
間違っていると知りながら、それ以外手筋がない逼迫感。
なるようにして、ハッピーシュガーライフに二人は到達し、それはいつか、なるようにして崩れ去っていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そういう作品の内実と未来を、さとうちゃんのユカイな日常を追うことで見せてくれるエピソードでした。しおちゃんが何かと檻から出ようとするのが、極悪な健全さでいい。
そんな二人の密接と切断に巻き込まれる形で、色んな変態がハァハァし続けておる。ホントこの街、ギガバイオレンスと変態性欲塗れだな…”殺し屋1”の新宿かよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
充足した砂糖菓子の世界は、侵入する蟻を許さない。さとしおに欲望を向けるものは、目をえぐられたチンピラのように排除されるか…
あるいは欲望の共犯として、支配下に置かれるかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
破壊か恭順か、あるいは反逆か。変態どもとさとうちゃんが睨み合うゲームに、トロフィーたるしおちゃんも参戦してる。
彼女はなぜ、クローゼットに歪んだ絵(抑圧された自画像)を描き続けるのか。ハッピーシュガーライフが取りこぼしているのは?
そこら辺は今後、変態天下一武道会が激化する中で見えてくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
まずはバイトの後輩が、どれだけの人間強度を持っているか、である。直感だが弱そう…パッと見にバイオレンスが足りない…。
しかし犠牲者から一躍スターダムにのし上がった三星くんもいることだし、どうなるか読めんね。
間違いに間違いを重ね、しかしその間違いを開き直れない。自分が選び取った暴力とエゴの世界はキレイだと思いたくても、踏みにじった残骸が腐臭を放ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月3日
そんな状況で少しずつ壊れてきている、砂糖のお城。その行く末がどうなるか、来週も楽しみですね。