ルパン三世を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
バレルから立ち上る陽炎の先に、見えるのは愛か思い出か、死か。
”キノの旅””ガンゲイル・オンライン”の時雨沢恵一を脚本に迎え、銃弾飛び交う次元回。『とにかくガンアクションしたい…』という欲望を、ビターなテイストで絡めた一品。モロッコの乾いた空気感が良い。
というわけで、PART5脚本傭兵企画、満を持しての時雨沢先生である。扱うのは当然次元、当然鉄砲。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
持ち味を活かしつつ、ITメディアに重点したPART5のネタを拾ったり、『次元といえば昔の女!』な伝統を絡めたり、なかなか”ルパン”したお話に仕上がった。
とにかくボルトハンドルを前後に動かしたい欲求が前面に出た話で、次元とミラージュ、二人の狙撃手がワンショット・ワンキル…ではなく、超人めいた機動回避でバッチンバッチンうつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
APIが建造物抜いてボーボー燃える描写とか、精度より連射力重視して天井落とす描写とか、なかなかフレッシュだった。
導入は圧縮気味に進めて、アクションを広く取る。たっぷりガンパウダーを味あわせた後は、ミラージュの正体と次元の過去を絡めたミステリを匂わせ、余韻を作って終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
24分をどう使うか、結構技工のあるシナリオだったのが心に残った。鉄砲バンバンだけで終わるのもいいけど、こういうのも良い。
ミラージュ二世は次元の娘なのか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
映像を追いかけていく内、自然に浮かぶ疑問だが答えは出ない。それは視聴者が口の中で転がして、じっくり味わえばいいネタだ。
そうやって少し突き放し、スペースを活かす描写もあれば、しっかり答える疑問もある。
次元と銃の関係だ。
PART5は血なまぐさい描写が多くて、ルパン一味は結構ぶっ殺す。しかし今回、次元は狙撃合戦をボルトハンドルを折る形で終わらせる。殺すでも、銃を壊すでもなく、それを操る槓桿を折る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
そうしてミラージュを鉄火場から去らせて、人を殺さなくてもいい道に戻す。その才能を惜しみつつ。
次元は天性のガンマンだから、銃弾のコミュニケーションを経てだいたいのことは理解できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
自分が積んだ芽(それは血で育つ悪魔の花の芽だが)が、どれだけの才気だったか。理解しつつ、自分が歩けなかった”銃を背負わない”道を選ばせる。
そして自分は、ハンドルをへし折った銃を背負って進む。
ルパンが(おそらく断られること承知で)その重さを背負おうとするのが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
世界最高のガンマンとして、ルパン一味の仲間として、ただ友達として。命懸けのチェスゲームで背中を任せる相手は、一人しかいない。
そんな信頼と親愛があの言葉を言わせたのだろう。そして、次元はそれを蹴る
次元回と見せかけて導入から結論までルパンと次元の話だったなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
ルパンが指していた局面の意味を読めると、よりディープに話を理解できる気もするが、そっち方面の知識が皆無なのでサッパリである。
ルパンは本当に逆転されたのか、それとも自分から負けにいったのか?
ミラージュ二世を修羅道から下ろしたい、相棒の意図。それを叶えるためには、憐憫ではなく勝負の結果として、治療費が渡る形を作らなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
もしそこまで読んで、あえて悪手を指した(あるいは目隠しチェス特有のミスを選んだ)のだとしたら。
シンプルなアクション回にみえて、色んな奥行きのある面白い回だった。金持ち爺のブレないキチっぷりとか、命懸けのゲームがまんざら出ないルパンとかね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
彼らの過去は描写されないんだけども、”ルパン”らしい腐れ縁なんだろうなぁ、と推測したくなる魅力があった。結構好きだな、あのジジイ。
決戦場となった白い廃墟も良かったが、序盤の町並みの油絵調が非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
やっぱPART5は、毎回切り替わる美術が素晴らしい。それが各話の雰囲気やドラマにしっかり噛み合い、物語の中で仕事をしているのがいい。
油絵めいたバカンスであっても、事件はルパンを追いかける。因縁と銃弾も。
次元はこの回のあとでも”次元大介”だろう。ニヒルな凄腕、天性のガンマンのアイコンとして、”ルパン”の中で輝き続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
そんな彼が銃を手放すことはない。しかし彼の視界には、銃を持たない生き方も写っている。それを羨むのか、憐れむのかは、今回のエピソードを見た視聴者が考えることだ。
そういう解釈の自由と素材を、丁寧に用意してくれるエピソード。単話でやってほしい仕事をしっかり果たした、後味の良いお話でした。とても面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月14日
そして次回はとっつぁん回。
警官というスタイルを捨て解凍となった理由は。銭形の怪盗スタイルは。
とても面白そうで、期待が高まります。
追記 カリ城で人間相手には過剰火力なPTRS1941を選んでいるのも、カゲの非人間性、強敵っぷりを強調するドラマ性、それに対して”銀の銃弾”を用意できる次元のキャラ表現なわけで。
逆にいうと、M19という”次元大介の銃”がカゲに通用せず、以降ポケットに隠されて出番がなくなるところに、”ルパン”への宮崎駿の反逆というか、今やいかにも”ルパン”とされているカリ城の反逆性が良く見えると思う。
ルパン追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
今回次元はDTA社のSRS A-1という、比較的新しい銃(2013年に改良)を使っている。それは非常にPART5らしい選択だな、と思った。
ノスタルジーに染まり切るのではなく、最新鋭のツールを使いこなして、現在に適応して生き残る。ルパンがITに詳しいように。
それはPART5が過去作の引用とリスペクトを大量に埋め込みつつ、”今”放映されるアニメとして、自分を位置づけている証拠だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
常に”ルパン”は時代の先に立つ。だからカッコいいし、見る意味もある。重たいシリーズの歴史、ファンの想いを背負いつつ、前に出る意思がガジェットに垣間見えるからこそ。
僕はPART5と”今のルパン”が好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
ブルパップの新規なフォルムと、ボルトアクションのガチャガチャした射撃を共存させようと思うと、あの銃になる。ボルトハンドルという”牙”をへし折ることで、ミラージュ二世の未来を閉ざす=救うアクションの必要性を考えると、セミオート狙撃銃では困るわけだ
狙撃戦ということで、相手の痕跡を見つけ、裏をかく”静”の銃撃戦で盛り上げるルートもあったと思うが、戦端が開かれるのは早く、二人は銃弾を避け、移動しながら射撃する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
そういう運動にも、シャープなSRSはマッチしている。よく考えられたセレクトだと思う。
その上で、次元が死なないのは”次元大介の銃”M19を、バックアップガンとして用意していたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
遠距離狙撃戦を戦い抜くには頼りない、六連発のリボルバー。それで死の天井を破壊する神業が、彼を生き残らせ、決戦の場所へ導く。懐刀は常に、主を護るわけだ。
ミラージュ二世が、スナイパーライフル(FR-F2かな?)が使用不能になった後を考えず、それを棍棒代わりに襲いかかってくるのと、それは対比になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
ガンマンとしてしか生きられない男は、サブウェポンで助かった。
ガンマンになりきれない女は、サブウェポンを用意せず、殺しきれない。
ガジェットにはキャラクター性が宿る。どの武器、どの車を選ぶかがキャラクター表現になるように、銃それ自体のキャラクター性が、ドラマの中で生きる時があるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月15日
世界最高のガンマン、次元大介。彼のメインエピソードとして、銃のキャラ性をよく考えたチョイスだったと思います。とても良かった。