ハッピーシュガーライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
金糸雀を暗い炭鉱に連れて行くのは、毒気に当てられ真っ先に死んで、染み出す悪を教えてくれるからだ。
皆が幸せになれる綺麗なものを信じて、親友のプライベートに踏み込んだ少女に、硝酸と惜別を。
勇気は死出の片道チケット。さよなら、飛騨しょうこちゃん。
そんな感じの、決定的な一線を主人公が超えてしまうお話である。名前も顔もない画家をぶっ殺した時点で、線は越えたとも言えるが、さとちゃんを"マトモ"な世界に連れ戻すべく必死にあがいたしょーこちゃんを殺しちゃったのは、やっぱなんかこう、作品全体が取り返しのつかない場所へ地滑りした感がある
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
どれだけ拒絶されても、傷ついても諦めず、より正しい道を探す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
他の物語なら主役を張れそうなしょーこちゃん(と、彼女に強く繋がったあさひくん)の"マトモ"さは、さとちゃんには刺さらない。
他の有象無象とは別の引っかかり方はしても、しおちゃんのように唯一の存在にはなれない。
しおちゃんとの白くて綺麗なお城を、そのマトモさでぶっ壊されるくらいなら、少しだけ友情に疼く自分の心ごと包丁でぶっ刺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
しょーこちゃんが引っ掻いた傷は、果たして殺人者の良心に届いたのか。怪物にも、少しは"マトモ"な部分があったのか。しょーこちゃんが死んだ今は、問いかけも虚しい。
あの包丁で殺したのは、しょーこちゃんの命だけでなく、さとちゃんが人間の形をぎりぎり保っていられる"マトモ"さでもあったのだろうなぁとは、少し思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
あるいは思いたい、のか。しょーこちゃんの場違いな蛮勇が、彼女の空回りではなかったと思いたいのか。なかなか難しいところだ。
愛と安心を過剰に求め、答えてくれない世界を見限る。さとちゃんの冷たい世界に、一滴堕ちた人間性のしずく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
しおちゃんに純粋さを求める狂熱が、しょーこちゃんを殺させもしたわけだが、それは見たかったが、見られなかった自分の似姿であり、エゴの投影でしかない。
次回予告でしおちゃんが指摘しているとおりだが、他人と優しく付き合う方法を誰にも教えてもらえず、学べもせず、手を差し伸べてくれた相手は包丁でぶっ殺しちゃったさとちゃんとしては、それしか幸せの形はないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
その幸せをぶっ壊してくるあさひくんと、全く同じように。
あさひくんの献身的不屈と、果たされない再開の約束を地獄の前奏に使う構成はなかなか最悪でよかったが、あさひくんもまたエゴイストではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
求めているのは、既に失われてしまったもの。母と妹と自分が幸福なシェルターの中で睦み合う、崩壊した思い出。
実像としてそれが戻ってこないのは重々承知で、それでも幸福の幻像を追うしか無い。そこにしか、幸せの形を感じられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
しおちゃんを監禁し、しょーこちゃんを殺人することでしか幸福を維持できないさとちゃんと、あさひくんは似ている。そして、決定的に違う。少なくとも現状は。
他人の手を取ること。異質性と接触した時の軋みだけではなく、繋がるものへの共鳴に耳をふさがないこと。人類種がおそらく特性として持っている、他者への強迫的な共感能力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
人間として当たり前の"マトモさ"は、個人的な快楽に塗られない、より公明正大な善を連れてこれる。
しょーこちゃんもそれが機能すると信じたから、ホイホイ魔物の口ん中ツッコんでバックリ食われた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
まさか親友が幼女を監禁し、それを通報されないために自分をぶっ殺すとは…"マトモ"な世界にそんな狂人がいるとは想像しなかった結果、しょーこちゃんは死ぬのだ。
"マトモ"な人がバカを見た結果だが、しかしさとちゃんも"マトモ"でない自分を開き直ったり、完全に"マトモ"な世界に勝てているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
どれだけ男に抱かれても、他人に好かれても満たされない”マトモ”ではない自分の状況を、どうにか"マトモ"にしたくてあがいた結果が、種々の犯罪である。
"マトモ"になりたいけども、"マトモ"には"マトモ"になれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
セックスを道具として使ったり、嘘と愛情で他人を操作したり、殺したり閉じ込めたりすることでしか、安心と平穏を獲得できない。
でも、"マトモ"にはなりたい。人類が普遍的に望む善へとたどり着きたい。
そんなねじれ方が、さとちゃんを破滅させるのだろう。しょーこちゃんは、一足先に地獄で待っているように…善人だったから、天国に行って離れ離れかなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
死んだものが敗者で、殺されたものが勝者。荒野ならばそうなるのだろうが、人倫見果てぬ街の中では、どっちも満たされぬ敗者である。
"殺人"という最大限のアビューズを、しおちゃんと共有する空間の中で果たしてしまう所がさとちゃんの限界点だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
愛してる、守る、大事にする。口ではそう言いつつ、子供に最も強く(おそらくセックスよりも強烈に)傷を残す超暴力行為を、子供から隠しきれない。
それはおそらく、"おばさん"から溢れ出るエゴに溺れた結果、"おばさん"を憎みつつ同じ方法でしか生き方を学べなかったさとちゃんの限界なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
他にやりようがあるなら、殺人もしなかったし、するにしてもしおちゃんに届かないように気を配る。でも、そんな正しい方法は知らないのだ。
さとちゃんが綺麗だと信じたい、しおちゃんとのお城。優しさと真実だけを詰め込んだ欺瞞の監獄は、だから破綻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
正しさは伊達で正しいわけではない。"マトモ"であることが価値なのは、それが最も安定的に幸福を連れてきてくれる最小公倍数だからだ。
正しさに背いた幸福は、継続するのが難しい。ちと流行りの言い回しをすると持続可能性が低い、という感じか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
"マトモ"さを維持する厳しいルール(法制)に反しているから、メール一つで穴が開く。二人の秘め事が少しでも外に漏れれば、幸福なお城は瓦解していくしか無い。
そんなことは、妙に目端が利くサイコパスたるさとちゃんには、当然アタマのどっかで理解っていたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
それでも、奪って騙して殺して、どうにか幸福になりたかった。他に方法はなかった。間違えた方法を選んだから、当然失敗していく。今回はその途中であり始まりなのだろう。
主役たるさとちゃんのどす黒い幸福論に、べっとり寄り添いつつどっか冷たいというか、"マトモ"な判断を残して当然の帰結に引っ張っている所が、僕は結構好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
狂った人を描きつつ、狂ってるから当然ぶっ壊れるよねと、どっかで醒めている感覚。狂熱に踊りきらない冷徹。
そんな"マトモ"な、硬くて冷たい地盤が物語のどっかにあることが、このひでー話のフェイルセーフのような気もするし、どうにもならないさとちゃんの、どうにもならない決断と帰結に熱量を与えている気もするのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
やっぱモラルある話だと思うよ、この作品。
お話の通奏低音としてあった、しおちゃんを天使として見る視線のエゴイズム。しおちゃんという他者を見ているようで、その実汚れきり狂いきった自分の"在り得たかもしれない反射像"として見つめる、身勝手な暴力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
しょーこちゃんの殺害がトリガーとなり、話はそこに踏み込んでいくようだ。
愛だけが狂気を肯定すると描いてきた筆は、予定されていたとおり乱れる。無私の愛に見えていたものは、身勝手なエゴイズムの発露でしかなかったのなら、愛でできた綺麗なお城は内側から倒壊していくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
それもまぁ、"マトモ"になれなかった人たちの、当然の帰結である。
自分を捨て、本気で他人のために踏み込める存在がいる…暴力的なほどに”正しい”存在がいるのだと信じきれなかったから、さとちゃんは殺した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
愚かにも信じたから、しょーこちゃんは踏み込んだ。
今回の殺人は、正しさとエゴイズムの衝突、敗北を約束された一時的勝利なのだろう。
しょーこちゃんが信じた”正しさ”の種子は、メールに載ってあさひくんに届いた。届いてしまった以上、失われた人の思いのために、自分自身の欲望のために、守るべき妹の幻影のために、あさひくんはもう引けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
しょーこちゃんが死んでも、事態は続く。地獄続行である。
さとちゃんに誘導されたとおり、小賢しい誘導を笑顔の仮面はっつけて頑張った太陽くんが、あさひくんの大人嫌悪と連鎖する形で成人女性嫌悪(レイプトラウマ)を爆発させて、"マトモ"な演技ができなくなるのは、なんとも哀しいシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
まぁ、核地雷だよねそりゃ…強姦されたんだもん。
小器用に”マトモ”を演じることでそれを蔑しつつ、腐り果てた魂の奥底で"マトモ"を求めている。でも、一度正しさから踏み外した足はもつれ、真っ直ぐな道にはもう戻ってこれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
あるものは死体になり、あるものは罪を重ね、傷と腐敗だけがグズグズと積み重なる。慈雨のように、あるいは呪いのように
そんな感じの、地獄の一里塚でした。まぁこうなるしか無い運びなんだが、しょーこちゃん死んじゃったなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
『正しさは正しいゆえに正しい』みたいなトートロジーには、最初っから唾ぶっかけてたアニメではあるんだが、しょーこちゃんの死でそれが決定的になった感じはある。"マトモ"は遠い。
12階に隠蔽されてたお城にしょーこちゃんがたどり着けたってことは、鍵を管理してた"おばさん"が情報出した、ってことだろうしなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
子供はどれだけ苛まれても、大人の用意した檻から出れない。愛憎で縛り付けられながら、ぐるぐるぐるぐる同じところを回って、いつか落ちる。
それが遅いか早いかの話なのかもしれねぇが、必死に勇気振り絞って、友人の中の愛と正義を信じて、包丁ぶっ刺されて殺されるのはまぁ、割に合わねぇよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月8日
まったく理不尽だが、このお話は不条理の毒に満ちている。砂糖まみれの毒りんごが主役を殺すまで、後何話か。楽しみですね。