少女☆歌劇 レヴュースタァライトを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
輪廻を超えて、運命に導かれ、悲劇へ至る。
最後の二人を決めるためのデュエット×デュエットを通じて、主席と次席の関係を追い、そこに追いついた幼い二人の表情を切り取るエピソード。
真矢クロを濃厚にやりつつ、過去現在未来、いろんなモノを見据える回。
というわけで、待ちに待った真矢クロであり、レヴューという巨大なシステムを巡る物語が決着するための序章でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
幾重にも折れ曲がりつつ、これ以上ないほど繋がった真矢クロの距離感と、幼い日の約束を素直に共有するひかれんの絆…と、挫折を知ってるひかりとの断絶を、じっくり追うエピソード
今回のお話は豊かな暗喩に満ちた静かな日常を歩くAパートと、濃厚な感情体験が詰め込まれたBパートのレヴューという、このアニメの基本構造に立ち返ったような作りである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
過去話数への目配せ、最終ステージに選ばれなかったものたちへの心配りもしっかりしており、集中しつつも横幅は広い。
濃厚な歪みを見せたまひるちゃんが”大丈夫”なのだ、と安心させてくれた第6話アバンのように、”みんなを守ってあげなきゃ”という重責から開放されたばななちゃんが、今回映る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
足りないからこそ外部から取り入れる、純那イズムを真似するように、ヘッセの言葉を引用する姿を見れば”大丈夫”と判る。
ばななが作る得意のマフィンは、今までと形を変えて”みんな”のお腹を満たしていく。色んな場所で色んな人がイチャコライチャコラ、死ぬかと思う濃度で絆しあっていて、はーお前マジ…って気持ちになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
”お姉ちゃん”を取り戻したまひるちゃんの、パワー溢れる女神っぷりが好き。
学園という閉鎖空間を活かし、”いつもの場所のいつもの二人”を流れていくカメラ。同じ場所を様々に使い倒すことで、場所それ自体に特定の意味を宿らせる演出は、話数を重ねてきたからこそ生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
いつもの練武場、いつものダンスレッスン室。そこに刻まれた年輪。
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この段階ですでに、真矢クロが同じポーズを取っていて、しかし真矢は日向、クロディーヌは日陰にポジションしているのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
真矢が上に立ち、クロディーヌはそれを追う。出会いの瞬間から始まっていた二人の距離感は、今回徹底している。
奇妙な姿勢で結びついた、ストレッチという名前の抱擁。お互いけして認めはしないけども、胸を焼く強い感情が引力のように引き寄せ合う、バロックな姿勢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
鏡を活用することで、足を手前に置くレイアウトがマジで変態である。
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ここでも直立して上に立つのは真矢で、クロちゃんは下から腰にしがみつく形になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
一位と二位、勝つものと負けるものに固定された姿勢と外部からは見えるが、当の本人達はこのポジションに誇りと愛情を持っている。
天は追われればこそ高くそびえ、人は追えばこそ己を高められる。
出会った時に手を差し伸べたのもクロ。伸びた鼻っ柱をへし折られ、身の程を教えられたことを彼女は感謝する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
後に観客席に座る”敗者”たちにも共通する、謙虚で熱い野心。敗北から学ぶ、清廉なる貪欲さ。
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私室と机が内面を教える演出も、はやお馴染みと言っていいだろう。よく整理され、
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
思い出が丁寧に並べられたクロディーヌの部屋。天堂父による誉れの賞状と、99回公演の思い出両方が大事にされているのが、舞台少女らしいところだ。…なんで”時計じかけのオレンジ”なんだろうな、ポスター…。
最終決戦を前にした、最後の日常の中で、クロディーヌは下から這い上がり、天堂真矢と対等な視線を掴み取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
背後の鏡に写った自分は、眼の前の相手に反射した自分でもあるのだろう。そういうふうに己を確認させてくれる、かけがえのない他者。
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真矢クロがあくまで、”自分と違う貴方”だからこそ相手を求め、認めているのに対し、思い出タワーにもう一度帰る華恋とひかりは、その輪郭が曖昧である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
主観的で暖かなオレンジの光の中で、過去と現在は複雑に交錯し、アタナとワタシは滲んで混ざる。
第4話で確認した、自分たちの基準点。物語が始まった塔に帰還する時、12年前の子供と、12年たった少女はあやふやに混ざり合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
伸びた背の丈は本当に、そこに中身を詰めているのか。人生の厳しさ、どうにもならない世知辛さを、学んだ上で見据えているか。
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エピソードの結末でひかりがブッ込んだ、衝撃の決断を知った上で、この不可思議な対峙を見ると、実は二人は鏡像関係にはないことが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
ロンドンで全てを奪われ、華恋との再開によって”ワタシ再生産”を果たしたひかりは、何も知らない無邪気な子供のままではいられない。
だけどそれでも、ひかりはあの時の約束が、二人で手に入れ敗北の結果失ってしまった”私のひかり”が、永遠であると信じたい。奪われたもの、損なわれてしまったものが蘇るのだという祈りを、彼女は幾度も言葉にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
第3話で真矢に負け、第4話で取り戻し、しかし華恋はその痛みを実感できない。
重なる手、自己像(あるいは過去の記憶)をそのまま重ね合わされる関係を強調されつつ、ふたりはその実ズレている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
既に負けてしまったものと、前を向いて勝ち続けるもの。それは真矢とクロディーヌの関係にも似ているが、上に立つ側の自覚という意味では、やはり大きく異なっている。
過去を過去と大事に受け止めた上で、あくまで背の伸びた自己像で抱き合うトップ二人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
過去に失われたものを求め、あるいは過去に見た夢が永遠に続くという幼い万能感を捨てられないまま、みっしりと繋がる主人公たち。
Aパートはそんな四人の姿を、日常の中で丁寧に切り取っていく。
思い出タワーの優しい光。その加護から滑り落ちてしまったひかりと、未だ光の中にいる華恋。二人のアンバランスを示すように、中心軸はひかりが占めて、華恋はそこに寄り添う形だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
ひかりの孤独な痛みを強調するように、影が濃くひよこが不気味な対峙もいい。
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バナナマフィンをカリカリ食べるシーン見れば判るように、華恋もひかりもまだまだ子供だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
でも大人になるということは、子供時代に夢見た無邪気さを踏みつけにすることではないし、現実に膝を屈する事でもない。
夢がかなわない時。ワタシ達が”ワタシとアナタ”でしかないと知った時。
どのように世界を見据え、決断を現実に変えていけるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
無力さに嘆くのではなく、残酷さに足を止めるのでもなく、システムを上書きするような超現実と夢を融合させられるか。
同じように子供っぽく、しかしそのベクトルは大きく異なる二人を見ることで、その幼さの先にある物語も予感される。
かくして時は満ち、レヴューが始まる。プレーンな舞台でのシンプルな縦が力強いが、レースから降ろされた凡人組が、観客席に入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
光はあくまで舞台に降り注ぎ、脱落したものの世界は暗い。しかし、舞台少女は諦めていない。そこが好き。ホント好き。マジ好き。
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双葉はんがKUSOAMA力をぶん回して『帰ります!』と言い出す役をやるのが、なんとも好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
負けてミソッカス、当然惨めだ。逃げたくもなる。綺麗事だけじゃ、ホントっぽく聞こえないから、誰かが拗ねる役をやんなきゃいけない。
俺、双葉はんのこと…。(伝えられないメッセージ)
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
双葉はん→香子はん
自分に足りないものを貪欲に求める、挑戦者の視線に照らされ、特別な舞台に立つ四人。デュエットを”最終決闘者”ではなく、”二人の勝者”を選抜する儀礼と見るところが、華恋の危うさであり、英雄的資質でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
その幼さが世界を変えうるかは、終章の見どころと言える。
かくして始まる運命のレヴュー、主役組は同じ方向を見て、主席次席は背中合わせに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
名曲”スターディヴァイン”との音ハメ、歌詞ハメが完璧で、最高に気持がいい。『目を話せない』のところで観客席のチャレンジャー映るの、二億兆点。
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舞台の力を使わないフラットな剣戟から、感情の高鳴りが世界を変えていく舞台戦へ。これまでのレヴュー描写をオーソドックスになぞりつつ、二人と二人の身体は複雑に交錯し、戦い、あるいは支える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
ひかれんは”二人”であるのに対し、真矢クロは”一人と一人”である描写が多いようにも感じる。
お子ちゃまカップルは闇の中手つなぎ止まりで、真矢クロはみっしり抱き合うところとか、人格成熟度をややエロティックな挑発に乗せていて素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
決闘の最中に惚気るの、やめてほしいんですけども! ありがとうございます!!
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武器のギミックなんかも駆使して、闘争は最高潮。内言はあっても、対戦相手に向けての言葉がほぼないサイレンスな緊張感が、とても面白いレヴューであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
ひかりを信じて落ちる華恋と、それを受け止めるひかり。”二人”の奇襲に、自分を足場に使わせることで対抗するクロ
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あそこで武器を投げて、天上真矢を星に飛ばしたクロちゃんの純愛は、本当に…本当に…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
あくまで、貴方には天の上で輝いて、私を照らして欲しい。導いて欲しい。
強い輝きに目を焼かれることもなく、まっすぐ星を見据えた女の想いが、力強い作画で瞳に焼き付く。今、あんた輝いとるよクロさん…。
運命を決着する交錯は、”下”から跳ね上げた真矢の一撃よりも、”上”から打ち下ろす華恋の一刀が上回る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
第3話で”上”を取り続け、”下”に回っても登り直した戦いを思い出すと、なかなかに感慨深い。ポジションは変わったのだ。https://t.co/8JImda4mfr
抱きしめあって”二人”であること、”私たち”であることを強く乗せた主役の一撃と、あえて剣を離し、自分のプライドすら足場にして憧れを舞わせた主席次席の一刀。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
どちらが上、ということはない。ただ、決着は付くのだ。残酷に、あるいは公平に。
『私は負けてない!』が口癖(キャラ記号)だったクロちゃんは、やっぱり『負けてない』という。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
でもそれは、胸に潜めた真矢への憧れが、常に見つめ続けた星がまだ輝いているという、ある種の生存証明であり、愛の叫びだ。
自分を守るためではなく、また、自分を成り立たせるため絶対を守るために。
”あなたと私”を分断する、青のスポットライト。真矢はそこに踏み込み、手を伸ばす。出会った時はクロから伸ばされたダンスの誘いは、今度は真矢から。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
クロだけが扱える言語だったはずのフランス語を取り込んで、貴方も私の中に深く刻まれていると証明する。
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ほんっと、外人キャラを印象づけるための記号だったはずの仏語を、『二人だけの暗号』にして感情でぶん殴ってくるの、悪魔の発想だと思う。強すぎる……。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
クロちゃんの名乗りが祖国フランスの”自由・平等・博愛”を拾ってるところとかも好き。
やっぱ故郷は大事なんよ。まひるちゃんの北海道と同じやね
かくして運命を証明した主役たちであるが、より刺激的な舞台を求めるキリンの欲望は当然収まらず、悲劇のレビューが始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
少女を導いていたはずの星は禍々しい赤に染まり、舞台・スタァライトのように瞳を焼く。
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星に一番近い場所には、たった一人しかいられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
星を摘みに高みに登れば、強すぎる光に焼かれる。
高い場所に登ったものは、落ちるしかない。
クソ鬱舞台が暗示していたもの…幼い二人を舞台に導いたものは、二人を引き裂くべく牙を剥く。予測されていた必然であり、華恋には意外中の意外であろう
あるいは、今回突き落とされることで初めて華恋は、ひかりがロンドンで失ったものを理解するのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
喪失と墜落。輝くものは必ず、いつか光をなくしていくというエントロピーの必然。それを知ってなお、再び舞台に挑んだひかりと、幼いままの華恋の断絶。
華恋が子供のままだからこそ彼女は落ちるし、ひかりちゃんももう一度立ち上がることが出来たというジレンマが、この作品が”無垢”をどう考えているか見えて面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
それは現実の前に無力だが、しかし現実を書き換えるパワーはそこからしか生まれ得ないのだ。
塔から落ちても、助けてくれる王子様はもういない。落下を続ける華恋の姿はしかし、”アタシ再生産”の冒頭に、少女に戦う力を与える変身儀礼によく似ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
塔の逆位置は、破壊からの再生の暗示である。
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華恋は落ちることで、何を知るのか。裏切られ、奪われ、それでもなお、あの日見た星に手を伸ばすのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
そしてそんな道を、歯を食いしばって一足先に進んできたひかりは、涙でサヨナラをいった。裏切りの一撃に込められた切なさは、どんな表情をしているのか。
レヴュー最終章の幕開けを告げると同時に、舞台少女の複雑な距離感、感情、関係性をみっしりと叩きつけてくる、濃厚なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月17日
イヤー…マジでおもしれぇなこのアニメ。来週も楽しみ。
サヨナラとかぜってぇねぇから。華恋の夢が世界を革命してハッピーエンドだからなマジよ!!