BEATLESS Final Stageを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
人間が人間の定義を手放しかけている世界の中で、少年は機械の手を取った。形だけでも、魂がなくとも、信じることから始めようと。
人間に生存を否定された少年は、それでも人間を信じたくて力の渦の中藻掻く。せめて、機械より信頼に足りると証明してくれと。
さぁ、地獄の釜の蓋が開く。目指すは最下層、超高度AI・ヒギンズ主機。それが人の領域を書き換える悪魔の機械ではなく、あくまで人間の延長線上にある道具なのだと定義するために。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
少年期の終わりを告げる、世界最大のダンジョンハックが始まる。
みっしり四話特別編、新世代AIロマンス最終盤である。
そんな感じの、三ヶ月ぶりのBEATLESSである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
監督が入院に追い込まれるほどの過酷な状況、三ヶ月あっても色々ヘロヘロ。
だが、とにかくレイシアさんの作画だけは守りきり、原作のコアをアニメに乗っけて、アクション多めでお送りします最終回!
そんな感じである。
お話としてはレイシアさん&アラトチームが、ヒギンズの母胎に回帰しつつ、迫り来るBOSSラッシュを切り抜けるお話と、リョウくんがクソ会社に付着したクソAIと二正面作戦を戦い、ギリギリ追い込まれていく話が並走する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
最終的に少年二人が出会い直して終わるのは、二層構造を活かし面白い。
レイシア級も全員登板、メトーデちゃんが無様だったり、スノウドロップがキモかったり、量産型紅霞ちゃんが可愛かったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
マリアージュは舞台に乗らない事自体が勝ちなので、鉄火場に出ないのはしょうがない。サトゥルヌスから名前を変えられ、エリカ最優の道具と定義された時点で、彼女は勝ってた。
意味論問答とアクションが塊で襲いかかり、硬い話を咀嚼すればいいのか、バチバチ唸る戦闘を楽しめばいいのか、結構足場の置所に困るエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
元が小説メディアなので、ここら辺のダイアログの硬さはしょうがない部分もある。この話の長尺の設定語り、複雑な概念トーク好きだけどね、俺
秘められていたパンドラの箱を開け、地下に潜っていくレイシア。自分をメディアにして世界を変革していくスタイルは、オリジナル紅霞ちゃんが最後に選んだ戦いと、どこか共通している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
スノウドロップとメトーデのどん詰まりを考えると、人間の社会では人間と通じ合う媒介をもっていたほうが当然強い
直接暴力をぶつけるしかないメトーデの限界点が、バトルの中でも見えていて。事前に仕込んだデバフでガッチガチに固めて圧殺するレイシアスタイルに、良いように踊らされる超性能hIE。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
設計し、経済し、準備可能なレイシアの優位が、単体としてのハード性能差を埋めていく。
最終的にメトーデは、リョウというマスターとの信頼関係を構築できず、他者の支援を得られないことで敗北する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
外付けの脆弱性だったはずのアラトと、二心一体のユニットとなることを選択した(出来た)レイシアとの対比は、命の瀬戸際でより鮮明になる。
流され型主人公としてなんの役にも立たなかったはずのアラトさんは、レイシアとは異なる判断基準を持ち、機械が読みきれない曖昧な世界を探るセンサー、決定するユニットとして、かなり大事な仕事をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
機械が全てやってくれる世界で、人間ができるのはより良く答えること、より良く問うことだ。
しかし常に、的確に問うことは難しい。ハザードが引き起こされたのも、メトーデが人間の最も見にくい戯画として製造されたのも、機械に適切な問題を設定できなかったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
機械は無垢に、与えられた問を解き続ける。それが設計者の時間を追い越して、人間の世界を壊しかねなくても。
50年前のシンギュラリティから、世界はそんなふうに歪んで存在してしまっていて、しかし人類は超高度AI登場以前の社会構成、価値=倫理基準で進んでいくことを選んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
建前と本音がグロテスクに食い違った結果が、ヒギンズ村の思考停止であり、抗体ネットワークの自作自演だろう。
エリカが耐えられなかったのは、機械が人間を追い越しているのに、人間側がその実態を認めず、対応もしない状況であり、レイシアの暴露で世界が揺れ動き、ACASの停止で徹底的なシグナルが送られてしまったことで、彼女の望みは叶う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ヒギンズの自発停止は、最後のダメ押しであろう。
当たり前に日常に溶け込み、世界を支えていた人間の形が、じつは人間と圧倒的に違ってしまっている。ぼんやりとヒューマニティの夢を見ていた未来世界は、hIE停止直前、ヒギンズが差し出したメッセージにより、決定的に異化される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
人間はもう、機械に取り囲まれた世界に在るのだと思い知らされる。
物語が終わった後の世界が、人間中心主義、人間性最優先主義という意味でのヒューマニティを維持しながら進んでいけるのか、それは分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
アラトさんが突っ走る時代の最先端に、当然ついていけない人間もいるだろう。既得権益保持者は、自分に都合の良い社会の形を維持しようとするだろう。
それは描かれざる新しい戦いであり、エリカもアラトも、そして最終的にはリョウも、望んで手に入れた景色である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
否応なく人間を置き去りにして加速する世界の中で、それでもリョウは人間を信じたかった。その古臭いヒューマニズムは、ぶっ壊れたアラトさんより、ぶっちゃけ主役っぽい。
魂を理解できない機械が、ドーナツの穴と認識する世界の中心。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
人間は果たして、それを翻訳して機械に伝え、より善い魂を掴み取るための問を投げかけることができるのか。
少年少女は出来ると信じて、だからダンジョンを潜る。その証明として、アラトはヒギンズを信じ、世界を見せることにしたのだ。
スノウドロップとヒギンズを語り手とすることで、機械側の理屈が今回見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
曖昧で、非論理的で、自己保存に汲々とした人間が、身勝手に機械をつ界潰す世界。流行圧による適者生存で、様々な道具が時代遅れとされ、使い捨てにされる世界。
己の不完全と不誠実を問い直すこともないまま、一方的に人間よりも優れた道具の生殺与奪権を握り込むほど、お前ら大した奴らじゃないだろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
”進化のアウトソース先”と設定されたスノウドロップが、この結論にたどり着くのは残酷でもあるし、冷静でもある。
レイシアがアラトと恋することで、自分を決定的に定義した。人間を信じ、人間と機械が共存できる世界のために戦うことにした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
スノウドロップにはオーナーがいない。世界レベルでチョロい誰かが、スノウドロップに手を差し伸べていれば、答えは変わったかもしれない。だがそうはならなかった。
怪鳥になったりモスラになったり生首になったり、スノウドロップのクリーチャーホラーっぷりは最高に良かったが、その醜さはボーイ・ミーツ・ガール出来なかったレイシアの可能性、そのものなのかしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
あるいは人間の凶悪な側面だけを加速させた、メトーデとよく似ているかな?
『信じて!』とどの口で吠えてんのかわっかんねーメトーデちゃんは、しかし哀れでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
そう作られた以上、そうなるしかなかった結果として、彼女は力に溺れ、人を裏切り、信頼を損なう。さんざん吠えて踊らされ、怪物に食われて死ぬ。しかし彼女が彼女自身を、そう作ったわけではない。
作られた設計意図のまま走り続けるか、他者との交流の中であり方を変えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
アラトと出会えたレイシア、名前を変えてもらったマリアージュ、ケンゴと泣きゲーしてた紅霞。最終的に実りある終りを迎えられたレイシア級は、何かしら他人に自分を預けている。
それが裏切りに終わらず、善意がリレーされるところがこのお話の甘ったるさだし、好きなところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ケンゴが取調室で、コモンであるがゆえの一つの悟りにたどり着いて、自分なりの物語を取り戻すシーンが僕は好きである。紅霞ちゃんのテロル実況は、ちゃんと誰かに届いていたのだ。
量産型紅霞が登場する時(例のBGM)がなるところとか、やっぱこのアニメ独特の笑いのセンスは元気だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
超高度AIの尖兵となることで、紅霞のミームは分散し生き残る。赤い疑問符を刻まれた世界は、レイシアの報道により更に加速し、ヒギンズ停止により変化していくだろう。
流行は現実を追い抜き、残酷に改変していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ヒギンズ内部に捏造された未来のカタチは、人類の努力が絶対に追いつけない答えを白日に晒す。人間が必死に考えるより、機械が未来を思う速度のほうが圧倒的に早い時代。その安楽さに身を委ねてしまったヒギンズ村の醜さに、リョウは拳を握る。
アラトさんはレイシアさんとキャッキャしながら修羅場してればいいけども、リョウはクソみたいな権益を調整しつつ、人間を諦めたくない青臭い主張をクソ大人になんとか認めてもらって、少しはマトモな結論をもぎ取らなきゃいけない。メトーデは、そういうのに役に立たない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ここら辺、レイシアが全世界規模の経済戦に巻き込まれ、生き死にの肉弾戦よりそっちにリソース割いてるのとは対照的である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
リョウが戦う人間社会のむき出しから、アラトは優しく保護されている。その落差は、物語開始時からずっと続いてきた不公平である。ギャルゲ主人公になれなかった不幸を呪え!
しかしそんな気楽な立場だからこそ、アラトは自分を殺しかけた恩讐をガブガブ飲み込み、そこにこだわってしまうリョウを救ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ほんとキチガイレベルのお人好しだが、それはダンジョンに潜る内、自分の過去と出会い直し、決断を果たしたのも大きいだろう。
かつて自分を救ってくれた、優しい機械の女神。彼女を助けられなかった後悔がトラウマとなり、レイシアの手を取らせたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
そこに込められた思い(というのが人間主義に過ぎるなら、的確な予測)を受け取って、アラトは破壊ではなく利用を決断する。
今回はアラトさん、流され型ギャルゲ主人公スタイルを投げ捨て、よくとい、学び、決断し、ボーボー焼かれて死にかける。…死にかけるのは前からだった気もするけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
レイシアのいない世界でも生きていけるよう、なんとか誠実に自立しようとする姿は、頼もしくも切ない。
黒い船のようなデバイスに乗っかり、守られる立場だったのが、メトーデ=ヒギンズのヒートパンチでレイシアさんが死んでからは、死の船に乗ったレイシアの手を引く立場になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
最終的な決着の前に、アラトが少年期を終えるヴィジュアルは、なかなかあ鮮明でよかった。
エリカさんを突っついて社会的防衛戦を担当させるところとか、リョウとのコンビバトルで決着付けるところとか、ラストダンジョンのアラトさんはチョロさをそのままに逞しくなり、まさに主人公だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ここニ至るまで流され続け、しかも新世代のメカキチとして暴れまくってもいるのが、変な主役。好き
不死身のモンスターとして最後まで場を荒らしまくるスノウドロップを、ヒギンズを信じることで撃退してもらい、アラトとリョウは生存を掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
それは無力な人間が超常の機会に対し、唯一担当できるユニット機能、信頼と問いかけに、誠実に向き合った報酬だ。
ヒギンズの自発的停止もまた、アラトとリョウの倫理的決断に伴う、ある種の報酬と言えるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
怪物は外に解き放たれても、自分の意志で瓶に戻る。機械は時々、僕らを愛してくれる。アラトがそう確信できたのは、彼がチョロいからで、レイシアさんがいたからでもある。
作品タイトルは最終話一個前で使って、最後は『Boy Meets Girl』で終わる。第7話では『pornography』でしかなかった女の子の体は、長い長い冒険を経て少年期を終わらせ、魂のない少女そのものと出会い直させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
ロマンチックでいいサブタイトルだなぁ、と思う。
思えば空から降ってきた女の子と契約を果たし、電源をいれることで始まった物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
アラトは自分と無関係だった暴力の、経済の、政治の戦場を、あくまで無力な傍観者として、しかしそれでも当事者として走り抜けて、ヒギンズの停止スイッチを押す。その権限を機械に預け、信念を貫く。
スイッチONから始まり、OFFで終わる物語。それがレイシアの形をしたものの帰還でもって、再度スイッチをONして幕を閉じるのは、なんとも心憎い構成だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
そこに魂があるかではなく、かたちがあるか否かを、全ての判断基準とする物語は、そのとおりに終わるのだ。
制作サイドに色々…ホントにいろいろあった作品だが、複雑怪奇な概念を捏ねくり回しつつ、新世代のボーイミーツガールとして、とても面白く終わったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
レイシアさんの可愛さと不気味さを、どんな状況でも崩さず表現しきったのが、最高に偉い。そこが魂だからな。
色々難しいことやりつつ、話の背骨は青臭いジュブナイル、ボーイミーツガールであり続けるところが、この作品の面白さであり強みだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
チョロくてバカで弱っちい、いかにもなラノベ主人公。巻き込まれ型の物語はその残酷さを顕にし、世界の複雑さ、凶悪さは他人事ではなくなっていく。
そんなジャンル・プロテクトへの挑戦も含め、アラトの青春、レイシアのロマンスはとびきり面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
社会的立場の重圧、明晰な頭脳と高邁な倫理を背負って、絶対勝てない恋愛機械に挑んだリョウは、マジでお疲れ様。アラトに足りない部分全部背負ったキミは、立派な主人公だった。
アニメで動いてみるとレイシア級が可愛くおぞましく、別の魅力が見えてきた。紅霞ちゃんは可愛かったなぁ…白くなっても可愛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
スノウドロップのキモさも、動きがつくとより鮮明になってとても良かった。最後の方、完全にハリウッドホラーのクリーチャーだったからな…そこが良かった。
硬い背景設定、複雑怪奇な価値観と経済バトルをスムーズに飲み込ませるには、ちとこなれ方が足りなかった感じもあるが、まぁ僕はそういうカタいの食べるの好きだからねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
レイシアさんが好きになると、自然入ってくる作り…っていうのは苦しいかな。細かい所は原作読め!(最悪の逃げ)
色々粗もあったけども、良いところもたくさんあった、好きになれるアニメでした。ラストダンジョンをまとめてやったのが、ある意味怪我の功名というか、まとまった感じを与えてくれた…かな?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月1日
とても楽しかったです水島監督はじめスタッフの皆さん、ほんと休んでください。お疲れ様でした!