青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
岐阜、世界の果て、二人きり。
青春症候群により世界中から存在を抹消される中、梓川咲太と桜島麻衣は出口を探す。青春の終わり、恋の始まり、自分が自分でいられる場所。
絞れば青汁取れるような青春群像ど真ん中、エンジン全開快調航行ッ!
そんな感じの第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
作品のフレームと各話ヒロインをダーッと駆け抜けた第一話に対し、エピソードヒロインである麻衣先輩とがっぷり四つ相撲、クドいダイアログと溢れる自意識と濃い口のリリシズムがたっぷり混ざり合い、『このわざとらしいラノベ味!』と大満足の叫びもアガる。
自分の二次元受容史と照らし合わすと、ラノベっぽいというよりはエロゲっぽいわけであるが、そこら辺のテイストはお互い様というか、相互に響き合ってる感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
綺麗にコーティングされた性欲と自意識、時間や記憶にまつわる切なさ、存在証明を巡る小さな戦い。
様々なメディア、様々な作品、様々なキャラクターが自分なりの語り口で、”それ”と戦ってきた歴史の先に、やっぱりこの作品はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
ということは、”それっぽい空気”を継承しつつもやはり独自の物語なのであり、その独自性をこそ大事に見ていくのがいいかな、と思ったりもする。
お話としては藤沢を舞台にしたうれし恥ずかしファーストデートから、マネジ(やっぱ母親だった)との断絶、症候群から脱出するべく二人きり知らない街へ…という流れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
『朝起きたらぜってぇ先輩のこと認識できなくなってるヤツーゥ!』という感じだった。切なさブーストは大事よね、ウン。
咲太は性欲むき出しの変態野郎…を物分りよく装いつつ、非常にナイーブな善因善果野郎である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
自分が辛かった時、手を握ってくれた人がいて嬉しかった。だから先輩が一人になりそうなら、自分が手を握る。学校も妹も蹴っ飛ばして、世界の果てまで一緒にいようと願う。
こしゃまっくれたラノベ主人公語を垂れ流しにしつつ、彼の行動原理は純朴な子供のようにシンプルであり、そこにほのかに恋の色がつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
男のお風呂シーン、男の勝負パンツ選別。肌色サービスを巧妙に回避しつつ、咲太は初めてのデートに浮かれまくり、グイグイ先輩の心に入っていく。
先輩も捻くれ世慣れた外装で自分を守りつつ、その実世界に、母親に忘れ去られる恐怖にブルブル震える、一人の子供である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
ワンワン泣き出して、怖いと本音を垂れ流しに出来る子供時代はもう終わった。水着でオナペットになる因果も笑顔で飲み込んで、いい加減おとなになりなさい。
そんな大人の理屈を飲み込みたくないから、麻衣先輩は芸能界をやめ、しかしその名残で”有名人”であり続け、そこから逃避するべく青春症候群を発症した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
自己防衛作用が、思いとは裏腹に自分を傷つける。青春症候群はどこか、免疫系の不治の病に似ている気がする。
『自分の意志で来ると決めて、自分の足で歩く街は、子供時代と違って見える』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
麻衣先輩は孤独になって初めて、自分が大人になりかけている実感を手に入れる。それは青春症候群の、幸福な副産物だ。
可能ならば劇症の青春に溺れず、ゆっくり大人になれればよかったが、そうもいかない。
食事も取れない、親とも話せない。世界から忘れられる病は、麻衣を精神的に、そして身体的に殺している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
(彼女が置かれている状況のシリアスさを伝えるべく、”空腹感とメシ”といういちばん身近な身体感覚を畳み掛けてくるのは、なかなか巧妙な運びだ。人間、腹がへるのは辛いことだ)
そこに寄り添い助けになれるのは、かつて同じ病で苦しみ、それが未だ完治していない咲太だけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
同病相憐れむ、というよりは、血みどろの青春大戦場を一緒にくぐり抜ける戦友意識で、少年と少女は心を近づけていく。
二人きり海を見て、世界の果てまで行く。ロマンスの常道、徹底的に踏むぞ!
ソフトなエロティシズムに行儀よく触りつつ、咲太は先輩にキスしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
”ブタ野郎”に相応しく言葉で変態を装っているものの、そういう大人の交わりは、大人になってからやればいいとどっしり構える。構える余裕が、未来への希望が、まだ彼には残っている。
麻衣先輩は”意に反した水着グラビア”という形で、セックスを弄ばれた。本当は嫌なのにNOと言えななかったのは、母の願い、周囲の期待という”空気”を過剰に読み取ってしまった結果なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
自分はそんなことでは傷つかないと証明するべく、時折蓮っ葉な態度も取るが、根っこは超絶ヴァージンである
そんな先輩の潔癖さに、咲太はブーブー鳴きつつ誠実に付き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
肉欲のレンズを通して自分が見たい像を結ぶのではなく、強がって、傷ついて、等身大の青春少女である桜島麻衣に手を伸ばして、なんとか一緒にあろうとする。優しくて偉いやつだ。
そのスタンスは甘酸っぱい江ノ島デートでも、世界の果てまで逃げる電車行でも、基本的には変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
胸に傷が残っている限り、咲太はずっと青春症候群患者であり、非日常の住人である。当たり前の学校生活に身を置きつつ、彼はそこからはじき出され続ける。フツーの”空気”には馴染めない。
だからこそ、一瞬”空気”から逃げようと願い、それが暴走する形で叶って”空気”に殺されそうになってる麻衣の非日常に、唯一寄り添うことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
当たり前のレールから外れて暴走する、孤独な列車。それは日常に帰還することを願いつつも、決定的なジャンクションにたどり着かなければ帰還は叶わない
麻衣が一人で走り続ければ、社会から切り離された彼女の未来はつまり”餓死”である。咲太が切符を買い、飯を作り、一緒に寝るからこそ、彼女は孤独な青春を行きつ戻りつ、自分の経験として甘受も出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
咲太も胸が張り裂けた時、”翔子”なる同輩に手を取ってもらったからこそ、なんとか生き延びている
毒ガスのような”空気”に満ちた息苦しい世界で、手を繋ぎ一緒に歩ける存在。それが確かにいたという救いを、別の人に手渡しする連続性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
ヒネた態度で語りつつ、この作品の世界認識はまっすぐだなぁ、と思う。とても大変だけど、善は善に繋がっていけると信じている。そういうところが好きである。
先輩がツンツン強がりつつ、その実むっちゃ不安だし、”エロを弄べるタフな大人”を演じつつ、そこに踏み込むのをブルブル怯えている姿が、可愛く痛ましかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
咲太は待てるボーイなので、焦らず一歩ずつエロいことしてきゃいいんじゃねぇかな…。
傍から見てると、咲太の献身、麻衣の純真、共に惹かれ合って完璧運命のカップルって感じであるが、今後恋愛関係で揺らしにかかるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
青春症候群にはいろんな形があると思うし、必ずしも恋が関わらんでも話は回るだろう。麻衣先輩が強すぎて、そっち方面でチャレンジしても二病で負け犬だろ…
”空気”に馴染めないブタ野郎にも、心強い親友というのはいて。佑真ボーイが、ともすれば二人で閉じて窒息しそうな世界の果てで麻衣のことを覚えてくれていたのは、なんとも有難いことであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
あの爽やかな青年が、世界の正しさを担保してくれているようで、僕はすごく好きである。
白衣の理系ガールも東山さん声の後輩も、今後の出番を睨みつけつつジリジリ存在感出しておった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
朋絵ちゃんが携帯電話という”空気製造機”に依存性気味なの、ぜってぇ青春症候群の前駆症状だよなぁ…”空気”に飲まれるのも無視するのも、どっちも危険、てことか。
二分間ずれてる時計も露骨に伏線っぽいし、結構用意周到に今後の物語の準備をしてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
しかしまぁ、今のメインは麻衣先輩であり、生きるか死ぬか、白紙のまま忘れ去られるか己を世界に叫ぶか、まさに土壇場である。第1話冒頭の未来日記シーンが、よく効いてきたゾ…。
”二人”にグーッとカメラを寄せて、強がりガールの微細な震え、変態ボーイの強さと優しさがじわっと染み込んでくる、良い第二話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
俺はアニメ見る時、可能なら作品世界とキャラクターを好きになりたい人なわけだが、ちゃんと好きになれる描写がたくさんあったと思う。ええこっちゃ。
母が娘を忘れてしまう無残に、届かないと知りつつ本気で怒る咲太が、真っ直ぐで眩しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
自分自身と妹が、両親との関係を青春症候群で無茶苦茶にされた分、二度目の悲劇は見たくない。他人の事情を自分に引き寄せる身勝手は、つまり優しいってことである。
そんな少年の思いは、世界を書き換える青春症候群の野放図さに、どれだけ有効か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
『一人になりたい』という気の迷いを、悪魔のように強烈に具現化してしまう症候群を前に、少女はなにが出来るのか。
心に泡立つさざなみを、大嵐にまで拡大してしまう超常現象の使い方も、いい塩梅にスペクタクルだ
ライトノベル的(あるいはSF的、エロゲ的。ラベル自体はどーでもいい)な派手な道具立てで、一体何を書くべきか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
二人きりのドキドキ、冷たさと孤独、痛みの中で吠えるアイデンティティ。
青春小説のど真ん中をちゃんとエグッてきていて、とてもいいと思います。
そういうど真ん中は、派手さで揺さぶらないと、なかなか届かないものでもあるしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月15日
ありふれて特別な、二人だけの青春。見慣れた”僕らの世界”で終わらず、”知らない街”まで転がっていった思春期は、一体どんな色の血を流すか。どんな障害がブタ野郎を待ち構えるか。
来週も楽しみですね。