DOUBLE DECKER! ダグ&キリルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
片側剃り上げた強火の腹筋ねーちゃん、マキシーン・シルヴァーストーン 。
無敵の清楚ロボ娘、ユリ・フジシロ。
SEVEN-0三組目のバディを掘り下げる、VSスクールカースト回。性差のグラデーションを丁寧に扱いつつ、マックスの根っこが良く見えるイイハナシだった
つーわけで、待ちに待ったロボマックス掘り下げ回である。とにかくマックスの外見が好みだったので、早く中身が知りたかったわけだけども、ここまで待つことになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
しかし待っただけはある内容で面白かった。スペダン第17話と良い、アメリカっぽいアニメにはプロム!https://t.co/ZsJC3qOqQW
マックスの過去、スクールカースト、ダンスパーティー、ほのかに香るゲイネス。バラバラに見えていた要素がスッとまとまって、1人の音なが過去を受け入れ、その隣に相棒が寄り添う構図で終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
ダブデカらしいスッキリした構成が、なんとも気持ちのいい作りである。同性愛を茶化さないのが良かった。
マックスはいかにも『男っぽい女』な外見をしていて、僕もそこのギャップに惹かれたわけだけども、ロボとの描写もどっかパートナーシップを感じさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
その実家庭的で『女らしい女』であるということが、自宅での食事シーンで示される。では、それが彼女の"素顔"なのか。
"シーツの匂い"とさり気なくセリフ入れ込んで、二人の寝室に想像力を誘導するのは上手い運びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
セクシュアリティが女を求めるなら、欲望の主体は自動的に"男"なのか。男役のロールに相応しいから、マックスは髪の毛を刈り上げているのか。
ロボは求められる"女"の記号を読み取って、貞淑を演じるのか
そこら辺の雑念をスラリと躱して、マックスは『これが私に一番似合っているから』と理由を語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
凸凹だけど妙に気があった相棒は、実は"女っぽい男"だった。(同性愛というより異性装だとは思うけど、コナーのクイーン志向は。それも生のグラデーションの一部だろう)
彼に釣り合う存在になるため、マックスはイモい眼鏡と三つ編みを切り捨て、”男らしい女”を装う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
髪を切るとき泣いていたのは、"女らしい女"というイメージを自分らしさとして引き受け、育んできた過去との決別だからだろう。三つ編みで芋眼鏡で、料理が好きな自分も、マックスは好きだったのだ。
だってそういう自分だから、コナーと並び立てたから。でもコナーはマックスを信頼して"素顔"をさらけ出し、クイーンになりたい自分を預けてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
その腕を取るために、マックスは"男らしい女"を引き受けた。ドレスの代わりにタキシードを着た。そしたら、思いの外似合っていたのだ。
今マックスが警官を続けているのは、ロボが推理(あるいは嫉妬)するようにコナーの思い出、悲劇を止められなかった無力さを心に刻むため…でもあるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
ここら辺は、先週見たダグとパットの関係性にも通じる部分だ。人は過去の傷を抱えながら、現在を活きる。
しかしコナーの"女"に合わせた"男"の装いは、ただマックスに最もフィットしたから、私自身である私を際立たせているから、今でも続けていると、マックスは答える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
大事な人を傷つけないため選んだタキシードは、クイーンをパーティーには連れていけなかった。
でもコナーのためにタキシードを着た自分、そこに込められた思いは凄く尊く大事なものだ。コナーがダンスパーティーに傷つけられたとしても、ドラッグに落ちていく彼を止められなかったとしても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
そういう過去と思い出があってこそ、現在の自分、刑事の自分、"男らしい"自分もある。
そういう自己肯定感を手に入れるためには、コナーを奈落に突き落としたダンスパーティという聖痕に向き合い直し、肯定し直す必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
なので今回は、学校が舞台となり、プロムが動機になるのだ。性役割の倒錯も、コナーとの関係を再話するように幾度も顔を出す。
これまでも"女っぽい"と茶化されてきたデリックは、聞き込みで『慰めてよ、お姉さん』と生徒に言われる。そこに同性愛の気配を感じ取るのは、多分作者の誘導どおりだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
加害者であり被害者でもあるサブクイーン("クインビー"なので女王蜂の怪物)も、親友に重たい感情を向ける。
それが性指向を伴った欲望なのか、はたまた行き過ぎた友情なのかを明瞭に区分することは、乱暴だし意味もないと思う。そういう感情はグラデーションの中にあって、明瞭には定義しきれないものだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
クインビーの欲望は、自分のイケてない顔を捨て去り、麻薬に溺れるほどに強い。その先に少女がいる
今回の事件は、(これまでの事件がそうであったように)そういう個人的な事件であり、同時に警察が出動する社会的な事件でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
マックスとコナーが、二人きり学校という社会の外で"クイーンとキング"になっていたなら、コナーは拒絶されず、絶望も破滅もしなかっただろう。
しかしコナーはそう出来なかった。"女っぽい男"である自分を肯定したいから、学生生活で最も社会的な瞬間、プロムの晴れ舞台で堂々ドレスを着たかったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
それは悲しくも失敗してしまう。個人的な動機から始まった事件が、その暴力性で社会撮っ食した瞬間、犯罪となってしまうように。
アンセムによって身体が変容し、"顔が変わる"というモチーフも、マックスの過去と照応している。イモい三つ編み少女と、バリッバリのパンクスは全く繋がらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
彼女は蜂が脱皮するように変容し、"男らしい女"になった。愛する人に相応しい自分に、それに相応しい外見になろうとした。
それは(おそらく)過度なダイエット含めて外見を変えて、優しくしてくれた少女に相応しい自分になろうと、麻薬にまで手を出した女王蜂と全く同じ心持ちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
だから、マックスは少女に自分を、救えなかったコナーを投影する。12歳のパットと、20歳のデリックを重ねて見ていたダグのように。
法執行官としての相棒を信じて、ロボはマックスを女王蜂の元に一人、向かわせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
今のマックスは、ロボットである自分を受け入れてくれた優しい相棒であり、銃を手に人を助ける法執行官だから。かつて偏見と魔薬から、大事な人を守れなかった女の子ではないから。
そんな相棒の信頼に答えて、マックスは事件を解決し、被害者=加害者を救済する。誰かに投影した過去を取り戻すことで、他でもない今の自分を再獲得していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
ここで我らがバカの優しさが炸裂して、SEVEN-0オフィスという"社会"がダンスパーティーを開くのが、とても良い。
マックスの好きなもので全てを埋め尽くして、もう一度ダンスパーティーをやろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
バカはバカなんで、深く考えずやったと思うんだけども、その純朴な善意は治癒の儀礼となり、マックスに過去を乗り越えさせる。キングとクイーン、男と女、そういう別け隔てのない、優しいプロム。
これを経験することで、マックスに刻まれた傷は治癒され、無力さと偏見の呪いでしかなかったダンスパーティーは"下らないし、やらなくて良いもの"から"良いもの"へと変化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
その変化はつまり、いろんな傷があって今の姿になったマックス、それ自体を肯定もする。
先週のダグと少し重なる、過去と現在、相棒と自分の関係性に迷い、傷ついて、癒やされるまでのお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
マックスの複雑なキャラクター、過去の屈折を大事に扱いつつ、ロボの穏やかな心持ち、タフなロボ力も随所にみえて、二人がより好きになれるエピソードだったと思います。
アンセムは人間を怪物に変えてしまう魔薬なんだけども、それは外見の変貌を伴う。美醜を競うプロムを舞台にすることで、悪と知りつつそれに手を伸ばしてしまう加害者=被害者の内面もよく掘り下げられていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
外見がガラッと変わったマックスの遍歴と重ねることで、個別エピとしての奥行きも出た
バディの間にある濃い感情が、どうしても近似して引っ張ってくる恋と性。ジャンルの宿命とも言えるナイーブな問題にもちゃんと向き合い、様々な角度からパートナーシップと性差を彫り込んでいたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
高度に発達した親愛は、性愛と区別をつけにくいのです。
その環状は明瞭な色に分けられるよりも、グラデーショーションの中で曖昧に、しかしその色合いを生かして肯定されたほうが、より悲しくない物語が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
ロボの機械的個性をSEVEN-0が柔らかく受け入れている描写、バカの優しいロボバレ回避と合わせて、優しいお話でした。
すんげぇ荒い言い回しをすると、キャラの座組とジャンルの掛け合わせの時点で、どうあがいても"ホモっぽく"”レズっぽく”なっちゃう話だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
それを『そういうジャンルだから』で流さず、自分なりの答えを出す。メッセージを大上段に振りかぶらず、ドラマとキャラに刻んで届ける。
そういう事ができるアニメは、やっぱりとても良いものだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年11月18日
過去と現在に引き裂かれつつ、その両方を肯定できるよう相棒と歩んで、手を取って未来に進んでいく。第4話、第7話とも呼応しつつ、自作の根源をしっかり掘る。
良いマックス&ロボ回でした。来週も楽しみ。