青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
梓川咲太は青春ブタ野郎である!
やれやれ系な態度の奥に優しさと熱さを隠し、青春症候群に首を突っ込み、めんどくせー女どもの心に踏み入る。
今日の獲物はシスコンアイドル、入れ替わり事件を解決し、先輩とのイチャイチャを取り戻せ!
そんな感じののどかエピ後編。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
相変わらずベタ足の青春絵巻に、ストレートで強い演出がしっかり噛み合い、非常にトルクの出るエピソードとなった。ひねくれたキャラと設定の割に、真っ直ぐが強いのが子のお話のいいところだ。
今回は咲太ではなく、ヒロインに縁が深い麻衣先輩が解決役を担当する。咲太は練習付き合ったりライブ付き合ったりメンタルケアしたり海入ったりビンタされたり、麻衣さんが最後にキメる土台を作る仕事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
…ほんとお前、いろいろ面倒くせー立場頑張ってるな。理不尽なビンタにも、よく耐えた。
麻衣さんは非常に人間力が強い人で、自分の事件を解決してから常に正解を選び続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
空気に飲まれた一瞬の気の迷いで消えかけていたけども、咲太が校庭の中心で愛を叫んだことで、完璧すぎるほどに完璧な彼女のスペックは元に戻り、圧倒的なヒロイン力を発揮する。
このメインヒロインの強さが、やはりこのアニメの特色である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
かえで言うところの『とっかえひっかえ色んな女の子が、家に訪れる』話なんだが、第一エピでぶっちぎりのヒロインを恋人に定めた後は、横恋慕の後輩、見捨てられない親友、未来の義妹と、上手く彼女を切り崩さない距離感で女が出てくる。
実際麻衣さんの人間的完成度、人生を救ってくれた咲太への信頼感を見ると、咲太が他の子に目移りする様子は想像できないし、ヒロインレースの競り合いで盛り上げるのは上手くない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
一見女の子を束で扱うハーレムラノベのようで、その実強すぎるヒロインの独走物語なわけだ。
そんな麻衣さんが今回ゴールを奪うのは、まぁ正しい運びである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
代理でやってるアイドルを、難なくこなすどころか完璧以上に演じきり、栄光も母の愛も独り占め。
ライブシーンに作画力をしっかり注ぎ込み、麻衣さんの卓越性、それにコンプレックスを抱くのどかの感情にシンクロさせる演出がうまい。
求められる役割をこなすどころか、マイクが落ちかかるハプニングにも見事に対応し、トークもパフォーマンスも最高以上。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
自分より遥かにうまく”豊浜のどか”をやりきる姉に比べ、凡人な妹は12回のリテイクである。そら、感情も拗らせる。麻衣さんの完璧さは、時に仇ともなるわけだ。
憧れと不安、嫉妬と羨望をゴチャゴチャに絡ませた妹を解くのは、毎先輩自身ではどうしても上手くいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
ここで数多の青春症候群を退治してきたベテラン戦士、咲太の出番となる。以心伝心ツーカーラブラブだからこそ、言わずとも麻衣先輩の望みを叶えるように動いていく。
『鳩サブレの缶、絶対開けるなよ! 私の真意を確認するなよ!』という前振りを正式に読み抜き、咲太は姉の真意を確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
大嫌いとうそぶきつつ、その実大好きな姉妹。おとなになって、ただ無邪気に好きだとは言えなくなったけども、やっぱり根っこはそこにある。
しかし素直にそこに戻れるのなら、そもそも入れ替わりなんぞ発動していない。大嫌いだけど大好きで、憧れてるからこそ独立していたい複雑な心が、姉妹を揺さぶり、距離を離す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
この裏腹な感覚は、姉を飛び越え母に届く。そこを解決しないと、青春症候群は乗り越えられない。
自分が入れ替わっても、気づいてくれない母。いつも怒ってばかりで、お姉ちゃんばっかり褒める母。好きだから笑っていてほしいのに、駄目な自分では怒らせてばかりの母。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
麻衣への強い思いは、常に”母”に反射して強化され、捻じくれている。
のどかが取り落とした手紙を、麻衣は拾い上げる。過去と和解し、捻じくれた感情をどうにかしようとあがく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
そこで修復されるのは姉妹の関係だけだから、二人の間にはまだ溝がある。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/Vosk1JN7lY
そこで更に踏み込んで、不在の母の代わりに目線を合わせ、母の思いを代弁してあげる。のどか自身が受け取るはずの、のどか自身の勲章を、ちゃんと手渡してあげる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
麻衣さんヒロイン力だけじゃなく、ママ力もすげーな
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シスター・コンプレックスは、その実マザーコンプレックスでもあった。その想いを吐露する表情が、非常に鮮明かつ火力が高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
かくして溝は乗り越えられ、二人は元に戻る。お互いをただ好きでいられた過去を取り戻す
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今回こういうベタ足の心理表現が全体的に強く、ありふれていればこそ複雑な”血”の桎梏を、体温高く届けてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
入水を演じ、誰かに愛されていることを確認したがるのどかに、咲太が言葉と思いをぶちまける瞬間の潮
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少女の涙が相模灘になだれ込んで、湘南の海は出来ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
それが咲太の手で跳ね上げられる瞬間こそが、青春症候群が解決に向かい、二重らせんのコンプレックスが出口を見つける刹那なのだ。
普段ダルダルなだけに、咲太が超熱血でど真ん中の言葉を使うシーン、ホント好き。
のどかを本当に助けたい恋人のために、腐らず寄り添い、時に強く真実を叩きつけるブタ野郎は、相変わらず真っ直ぐでパワフルだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
姉妹の絆、親子の絆を力強く描く筆は、次のエピソードへの助走でもある。制服を着て、”空気”に満ちた外界へ漕ぎ出そうとする妹が、次のヒロインだ。
おれは桜島と豊島、二つの家族の物語によく似ていて、全く違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
家族の繋がり方、あり方、抱えた問題と愛情はそれぞれ別の顔で、しかしどこか似通っているものだ。
だからのどかは、咲太に”家族”を問うたのだろうし、隔意と類似を確認することで、二人の距離は縮まっていく。
背筋をビッと伸ばして息子に向き合い、しかし椅子には座りきれない父の肖像。一度完全に壊れてしまって、しかし不思議な引力でまだ”家族”たり得ている息子との、不思議でぎこちなく、暖かい距離感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
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ここの親父さんとのトークが、『子育ての不安を、親は子供に言えないもんだ』という言葉、麻衣さんの説得をアシストする最後の一手に繋げているところとか、非常にポジティブでよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
孕ませ疑惑への初心なリアクションと言い、親父さんいい人なんだな、と分かる。
だからこそ、その善良さがかえでの崩壊を止めれなかった過去は重い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
家ではなく喫茶店で、実の父親と合わなければならないコンプレックスを生み出したのは、咲太の胸を引き裂いた傷、その真相だ。
恋人の家族は上手く解せたけども、さて、自分の”家”はどんな複雑さを抱え込んでいるのやら。
制服を着た義妹を素直に喜んだ麻衣さんが、次に来るだろう咲太最大の試練、彼の根源に関わる妹の事件を、上手く助けてあげるといいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
今回咲太がしてくれたように、当事者では解しきれない絡まった糸を、真っ直ぐにする手助けをして欲しいと願う。
ここまで青春ブタ野郎が青春探偵でありえたのは、遅い来る症候群が自分ではなく他人を巻き込んだからこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
蚊帳の外の経験者として、誰かのダメージを肩代わりし、事件を解決に導く特権あればこそ、咲太は正解を選び続ける。その鮮やかさと優しさは、今回描かれたとおりだ。
しかしいざ青春症候群が自分に、”血”で繋がった愛おしい妹に襲いかかった時、彼は”空気”に決定的に敗北し、家族は壊れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
二度目の戦いが迫る中で、ブタ野郎は果たして何と戦い、いかなる傷を受けるのか。相当とんでもない爆弾が準備されてる予感が、ひしひしと高まる。
そんな感じの、のどか症候群解決編でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
麻衣さんの人間力、作品全体を貫く”家”と”血”の視座。姉妹のコンプレックスを彫り込みつつ、この次に待つ物語の核心を準備もする、非常に面白いエピソードでした。
次回の楓回は楽しみなんだけども、既に傷ついている兄妹に、あんまヒドイことはしないで…。
あ、最後に双葉えもんがヒョコッと出てきて、説明がついてんだか付いてねぇんだか分かんねぇ理屈で事件をまとめるところは、探偵小説のエピローグみたいですげー良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
ぶっちゃけ京極堂シリーズ思い出した。陰惨な事件が終わって、京極堂でダラダラ放心しながら終わるアレ。
前回自分の物語を終えて、ほっとけない親友としての絆を確かめた彼女だからこそ、外野から状況を観測して一応のオチを付ける仕事もしっくり来るし、そこで一旦枠組みを外すことで、状況が収まった感じも強く出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月9日
双葉ちゃんを上手く使うシーンで、彼女が好きな自分としては嬉しかったですね。