色づく世界の明日から を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
写真イケメンも面倒くさいあさぎちゃんも殴り倒して、唯翔くんとラブラブ文化祭にレディーGO!…な空気はキャンセルです!
時を捻じ曲げる対価は、時間からの排斥。それを避けるべく、あるべきものをあるべき場所に。
あまりに急過ぎる別れを前に、少年少女の心が軋む
そんな感じの終盤戦、トレンディドラマ力がグングン増すラス前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
将くんとかあさぎちゃんとか、周囲の枝葉を丁寧に切り落として、さてどう取り回すかなと思っていたら、離別をメインで持ってきた。
時の摂理を弄って成立してる話なので、そこ殴りに行くのは正しいよなぁ、確かに…。
琥珀の魔法に無理があることは、既に第8話で描かれていた。バラを再び咲かせる魔法に見えたほころびは、予感どおり瞳美に襲いかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
あの時琥珀だけが見ていた景色が、瞳美をキャンバスに全員に可視化された形、と言えるか。避けがたい離別が、子供たちを琥珀の領域まで(強制的に)引き上げる。
琥珀は非常に大人びた、完成度の高い人格の持ち主だ。第8話の彫り込みが良かったので、そこら辺の足腰の強さは良く見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
青春ど真ん中の部員とはちょっと違う景色を、一人先走ってみている頼もしさ。それが幼い頃に時間を止めた瞳美を、メインで見てくれるありがたみにも繋がっていた。
今回もそういう成長のギャップはしっかり根を張っていて、瞳美は時間魔法の歪みを、自分の問題として受け止められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
”時間の淡い”に閉じ込められる、ある種の死。それは他でもない瞳美自身
に襲いかかるのに、気になっているのは眼の前の友人、恋しい男。
ある意味等身大の視野の狭さであり、ここら辺の生っぽい感じを上手く泥を落として綺麗に食わせる手腕が、このアニメの特色とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
魔法という設定、圧倒的に美麗な美術でもって、巧く現実感を剥奪して、凄くありふれた身の丈の子供たちを、泥っぽさを拔いて見せてくる手腕。
それがこのアニメ独特のフワッと掴みどころのない、しかし見ていると楽しい視聴感覚を産んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
夢っぽいのにどこか生臭く、確かな手応えがある。このミスマッチを成立させている、思春期心理への解像度、一塊にまとまった部活の中の小さな波風は、今回も元気に動き回る。
例えば千草とあさぎの、理性VS感情な衝突。いかにも男と女の間にありそうな溝がドカンと衝突して、あさぎちゃんが泣きダッシュで飛び出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
そのまま放置したら『女は得だよな~ケッ』と悪態も出そうなところだが、あさぎちゃんは自分で反省して、千草の冷たい理性を自分のものにする。
こういう感じで、リアリティを生み出す生っぽい理不尽と、それを一話の中で秩序立てて整理するストレスコントロールの両立は、今っぽいとも言えるし、この作品独自の味わいだとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
後引いて楽しいもんでもないんで、スパッと解決するのは正しい印象。
無論引くべきところは引いていて、琥珀は今回、今まで見せなかった身の丈の小ささを露わにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
無敵のスーパーヒーローだったはずの彼女は今回、出来ない苦しさ、時間のなさに追い立てられていく。それは瞳美の属性だったはずだが、大人びた琥珀もまだ少女、当然届かない場所もある。
そこに(瞳美にとっての琥珀のように)助け舟を出すのが、魔法屋のニーちゃんである。こんないい役なら、もうちょい存在感出しておいてよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
彼が色々アドバイスをすることで、琥珀の空回りはなんとかグリップを手に入れ、なんか状況がうまく行きそうな感じも出てくる。
彼は瞳美にとっての唯翔くんでもあんのかなぁ…と、少し考える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
琥珀のパートナー…瞳美の祖父は気になる問題として暗示されつつ、今まで光を当てられなかった。どっかにヒントがないか、鵜の目鷹の目探していたわけだけども、『闇の中、光をくれる存在』が恋の相手として大事にされてるこの話。
瞳美のメンターである琥珀のメンターとなった兄ちゃんが、特権的なポジションをもっていくのは結構納得がいく。出番で言うと、ぽっと出のポッと野郎なんだけどさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
ここら辺は後に答え合わせがあるかもしれないし、ないかもしれない。全ては未来に帰った後、かな?
瞳美の幼い他人事感、消失に琥珀だけが必死になってる(その処方箋として、未来帰還を焦る)描写は、作品に『難病モノ』の気配を連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
患者自身は平穏に日常を送れていて、少しずつ問題も解決してきて、唐突にリミットが来る。
理不尽な別れを既に予感していた大人と、運命に翻弄される子供。
冒頭、瞳美と向き合ったことで変化した部員を描く筆が、喪失の寂しさを強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
時空魔法はタイムトラベル・ジュブナイルを成立させる劇的装置であると同時に、回避不能なリミットを用意し、決断と感情の熱量を上げる障害ともなるわけだ。
ここで状況対応の処方箋を探すのが琥珀で、瞳美自身は徹底的に自分の内面、形にならない恋に悩み続けるのが、『難病モノ』感を更に強めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
患者は、自分の病気を前に無力だ。そういう難しいことは医者に任せて、個人が立ち向かえる個人的な感情相手に、必死に頑張る。
そういうすみ分けはメンターとメンティ、姉と妹、祖母と孫、大人と子供に分割されていた二人の少女、これまでの描写の延長線上にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
まぁ実際しんどいのは瞳美当人ちゃんだし、最後の大魔法を完成させることでトラウマ克服、自己肯定感アップ、色彩獲得! っていう流れではあるのだろうけども。
主治医・琥珀が『他人に頼る』という成長を見せ、必死に走り回る中。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
瞳美ちゃんはヒロインっぽく意識を失ったり、紙飛行機に思いを載せたり、電灯のモールス信号で思いを伝えたり、抱けー!抱けー!抱いたー!! したりしてた。
シチュエーションと絵面のエモさで全てを押し流す勝負、嫌いじゃないぜ
将くんを完膚なきまでにぶっ倒し、その余波で拗れたあさぎちゃんの面倒くささもちゃんと描写した結果、唯翔くんの”唯”一性は非常に強くなってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
いなくなった瞳美ちゃんという”問題”に答えを出すのも彼だし、瞳美ちゃんが未来に帰りたがらないのも、唯翔くんと離れるからだし。
ここら辺は”色彩”をテーマに、画家とか魔法使いとかアーティスティックな人種をメインに据えた運びが、非常に生きているところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
本来アート的感性に満ちていた瞳美ちゃんには、”色”が絶対に必要だ。それをくれたのは、同じくアート的感性を持ち、美麗な色合いをキャンバスに焼き付ける唯翔くん。
未来に帰還するということは、瞳美ちゃんが手に入れた唯一の色彩を奪われる、ということだ。彼女の成功体験が、軒並み色彩を必要とする美術的体験でもあるのは、巧い作りである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
アナタは私の色/イロ。アーティスティックな意味合いと、セクシャルな意味合いがここで重なってくる。
そんな心を表現する演出もまた、ロマンス極振りのエモ勝負であり、少し懐かしい風情もあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
『携帯電話使え!』とツッコみたくもなるが、技術的ノスタルジーを巧みに使いこなすのもこのアニメの特色。
電灯のモールス信号、思いを載せて翔ぶ紙飛行機。すこしアナログなメディアが、思いを際立たせる
一回目の飛行機(琥珀と一緒に取り戻した、魔法能力の証明)は真っ直ぐに飛び、二度目の飛行機は空に迷う。でもそれは、唯翔くんからの歩み寄りを反映し、彼の居場所を迷わず教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
回り道こそが近道で、真実にたどり着くための歩み。色々まどろっこしいこのアニメに、相応しい表現だった。
思いを伝えるメディアのまどろっこしさは、瞳美ちゃんの当事者意識のなさ、幼さを巧く肯定しているように、僕には見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
眼の前に迫る次元追放、それを回避するための未来帰還という、シリアスな問題。瞳美ちゃんはそれを前に、フラフラ恋に迷う。
恋愛蝶々かオメー、主治医の気持ちを考えろ!
しかしここで色の意味を再び抱きしめ、60年前の世界に迷い込んだからこそ見つけた温もりを確認するのは、とても大事なことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
色彩を失い、母を奪われた世界で死んだように生きていくことは、瞳美ちゃんにとって楽しいことではなかった。ただ息をしていることが、”生きて”いることと=ではない。
となれば、物理的に離れたとしても”色”を持ち続けていられるかが、瞳美ちゃんの問題となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
あまりに巨大な時間の摂理、恋人たちを引き離す潮の流れに、打ち勝てるほどの巨大な答え。永遠の色彩をどう心に刻み、物語を決着させるのか。
描くべきは、やっぱりそこである。
そういう作品のセントラルクエスチョンと、そこに挑むアプローチを暗がりの中でじっくり描くエピソードだったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
メインカップルである瞳美と唯翔くんのやり方だけでなく、小さな身の丈に震えつつ、なんとか家族を幸福にしようとする琥珀の背伸びもしっかり描いてくれたのは、とても良かった
アーティスト達の胡乱な歩みと、賢すぎる子供の実証主義的アプローチ。少し食い違って、でも確かな思いで結びついた祈りが、どういう奇跡を呼ぶのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
青い紙飛行機の導きで、しっかり確かめた想いの熱さを胸に、少年少女は避けがたい離別に、どう向き合うのか。
最終回に向けて、お話の構造がクリアに見えてきました。根本的には、非常にシンプルな恋愛ジュブナイルであり、個性と友情の話なんだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月15日
琥珀の理性的なキャラが感性主義に流れそうなところを抑えて、いいバランスに仕上げてるアニメだ。
さて風雲急、時を超えたロマンスはどうなるか。次回も楽しみ。