からくりサーカスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
脳に染み込む知らない記憶。炎の遊郭、冷たい雨。
自分の物語を掴むべく歩き出した勝は、誤解と因縁に引っ捕まって、祖父の過去を思い知る。
それはまだ、お侍様が両個を腰にぶら下げていた時代。重い島田を結って、遊女がしゃなりしゃなり、丸山を歩いていた頃のお話。
というわけで再び過去編ッ！ 勝の快進撃はちょっとまってね！ なお話。こうしてまとめて見ると、ほんと持ってねぇなこの頃の勝…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
ルシールの娘と勝の祖父、ノーマルな時系列を頭に入れると非常に混乱する二人の、炎の出会いの物語である。アクア・ウィータエによる不老が、擬似的な渡時機なのね。
『時を超える機械』という意味では人格ダウンロードも同じで、勝は"僕"として正二の物語を体験していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
認識を乗っける主体を入れ替え、時間を超越しながら編まれる長大な織物。そこにロマンスとバトルが絡んで、まぁ贅沢な作りよねやっぱ。語るべきことが沢山ある（時にありすぎる）。
今回展開されるのはそんな織物の一つ、見捨てられたしろがねと実直な医師の出会いの物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
そこで生まれた愛と因縁が、現在に続いて物語を生む。根源に戻って疑問を解き、新しい決意と疑問を織り直す。そんなからくりサーカスの語り口の、大事な大事な一幕。
アンジェリーナと正二は、しろがねと鳴海に擬されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
お互い最悪の出会いからその正体を知り、重い感情と因縁を預け、運命を超えて結ばれる。
構造としては異種婚姻譚なんだな。美しい女、隠蔽された正体、事件による暴露、男の身魂が試される。正二は人をやめる方を選んだ。
鳴海にーちゃんはサハラの地獄で背負ったものが重すぎて、正二のように素直に愛に向き合うことは出来ない。人の命に寄り添う"医師"という堅固いなアイデンティティも、今の鳴海にはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
しかし銀色の美しい女相手に『何だこのアマ…』と反発を覚え、それが愛に変わっていく流れはよく似ている。
正二はデカい人間力でアンジェリーナを受け止め、しろがねになってまで永遠を受け入れる気概を見せた。愛は偏見や妄執を乗り越え、ハッピーエンド…では終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
なぜ現在の正二がバラバラに分割されているのか。なぜ貞義≒勝を憎悪し切るのか。因縁はまだ続く。
それは同時に過去の物語でもあり、鳴海としろがねが挑むべき障害の予言でもある。正二とアンジェリーナ、幸福な怪物のカップルが乗り越えられなかったものを、現在の恋人たちは乗り越えられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
そういう風に、過去回想はあくまで"今"を語るために用意されている。
同時に個別の人生の物語として、ぎっちり分厚いのが面白く、また大変なところなわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
猩々緋が妖しく蝋燭の明かりに揺れる、丸山遊郭。しっかり結い上げた髪に、華やかな振り袖。アニメでもって総天然色になると、長崎郭は強い魅力があった。
アンジェリーナは名前を隠し、黒髪を装い、本心を隠す。人形の宿命から放り出されたのに、人の心を永遠に閉じ込め、人形を演じている（ココらへんも、しろがねに似ている）
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
そんな彼女に名前を与えた少年が、時の流れに押し流され、大人になって戻ってくる。ロマンスである。
アンジェリーナは正二に出会うことで、異人としての正体、永生者の過去を開放できるようになる。その象徴として一糸まとわぬ全裸と、美しい銀髪があるわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
いや、完全に忘れてたからビックリだったけどさサプライズ全裸。"闇のイージス"の守渡刑事かよって感じ（小学館つながり）
いがみ合ってた彼らが相手に、そして自分に素直になる切っ掛けが、"命"のやり取りだというのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
嫉心拗らせた厄介客でも、命がけで守り、炎に飛び込む。奇っ怪なからくり人形を兵器ではなく、救命装置として使う。
そんなアンジェリーナの心に、"医師"たる正二は惹かれていく。
アンジェリーナが『どうせ誰も、寄り添ってくれない』と諦めていたのはまぁ、"すっぱいぶどう"ってやつである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
本当はお母さんに、ずっと守ってもらいたかった。冷たく切り離されたくなんてなかった。でも捨てられ流され長崎、不死の怪物を受け止めてくれる人はいない。
そう拗ねていたところに、人間が太いタフガイがドドンと現れ、『お前の母ちゃん、ツンデレだよ』と教えてくれた。一発である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
ルシールの分かりにくい愛情を一発で解読する辺り、正二はよく出来た医者だなぁ…親子関係をこじらせる病原を、即座に見抜いた、というね。
このエピソードはサハラの補強にもなっていて、ルシールが仇敵滅殺のために”娘”ではなく”娘の人形”を用いた理由が、ここで語られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
怪物を殺すのは大事。でも、そのために娘を兵器にするのはどうしても出来なかった。憎まれても、永訣に引き裂かれても、幸福な連れ合いを見つけてほしかった。
そんな母の愛を知らず、銀髪の怪物を太夫の衣装に押し殺し、男にいいように飼われる人形を演じ続けたアンジェリーナ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
自分も銀髪の怪物になることで、彼女の孤独と傷を受け入れる覚悟を見せた正二のぶっちぎりナイスガイっぷりに、俺達も岡惚れである。
幸せにおなり…。
で終わんないから、正二は妖怪因縁ジジイになって、下半身消失してシリンダーの中でコポコポ言っているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
銀とフランシーヌの恋路が悲劇に終わったように、お互いを相思いあった銀色の怪物たちの物語にも、地獄が押し寄せることとなる。ほんとヒデェな…。
弟の傷を考えず直情勝負を挑んだ銀、失恋拗らせまくって世界を巻き込んだ金。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
二人に比べると、正二は愛する人も世界もしっかり見据えて、恋に狂わず、真実に背かず、非常にバランスよく生きているように見える。しかしそんな”正しい人”も、地獄に引きずり込むのが運命の歯車というやつで…。
現在にも通じる因縁のリフレインを書きつつ、様々な人格、様々な関係、様々な愛と悲劇を積み重ねて、人生いろいろ悲喜こもごもってところを見せるのが、このお話が過去と現在を行ったり来たりする理由なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
正二とアンジェリーナの物語は、銀とフランシーヌ、鳴海としろがねに似ている。
でも同じではなく、時代背景、社会との繋がり方、個々人の意思と選択により、別々の顔を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
そんな差異と合同を響かせつつ、各々の”今”が力強く先に進んでいくのだ。そして勝は傍観者、流れていく大人の恋を遠くから見守る、永遠の少年。
その切なさが回収されるシーンがとても好きなので、一見無関係に眼の前を流れていくように見える祖父の物語が、どれだけ勝に突き刺さったかは、ちゃんと描いて欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月12日
そのためには、ハッピーエンドの続き、憎悪の現在に繋がる悲劇をしっかり書かにゃならん。来週も楽しみですね。
