BanG Dream! 2nd Seasonを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
揺るがせない現実を前に、少女は残酷を選び取る。
さよなら、蒼き日々。さよなら、約束の歌。
謝罪行脚を終え、RAS脱退を決めた花園たえ。ラストステージとなる主催ライブを前に、レイヤの心は止水のごとく揺れない。
ナカナイと決めたなら、君の代わりに私が泣こう。
そんな感じの真夜中の感情超特急(エモーション・エクスプレス)、バンドリ二期第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
学園祭と並走していたストーリーラインを、ポピパとRAS一本に絞り、知事に乱れた感情を整え、また見出し、青春という複雑な織物が降り上がっていく。情動の力学である。
『運命の一周年学祭ライブ、まさかの不発』というヘヴィブロウで引いた今回、まずは夜闇の中、静かに思いを巡らせる五人を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
おたえは兎、有咲は盆栽、香澄はお風呂と、それぞれ『一番好きなもの』を間近に置いて精神安定を図っている所が、ナイーブでいい。
おたえの未熟と不器用は、バンド内部に小さな亀裂を生み出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
それを放置したまま致命まで突き進むほど、出会ってからの時間は無駄ではない。おたえもバンドメンバーも、少しの頑なさとたっぷりの愛情を混ぜ合わせて、状況を動かしていく。あくまで前へ。未来の方角へ。
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しかし心の距離というのは確かにあって、”学園祭ライブ”に強い感情を持つ沙綾、その痛みを己のものと引き受ける有咲は、それぞれ線の向こう側に身を置く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
穏やかな対応で間をつなぐ香澄とりみの存在が、メディウムとなって距離を埋めていく。
すぐさま、乱れた心が治るわけじゃない。見知った中でも、亀裂は生まれるし、それを正すためにはある種の”儀式”が必要となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
りみが『やまぶきベーカリーのパン』を差し出しているのは、後に描かれるマスキングのコーヒー、あるいはおたえのキャンディと響き合う描写だ
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(ツンツンな狂犬オーラむき出しなのに、自分はブラック飲めない(けど、仲間の好みは把握してる)マスキングさんの情動のデカさを語りだすと三時間はトぶので省略する)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
ポピパとRAS,過去と現在。様々に断絶しつつ、甘い”糧”を共有することは、哀しみを跳ね除けるエネルギーを生んでくれる。
ポピパが見落としているものを掘り返し、花園たえの姿勢を正す関係上、RAS(特にチュチュ)は”悪役”に為りがちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
しかしそこで差し出され、共有されているものはポピパと何ら変わりがない。
相手を思う優しさ。現実の世知辛さに削られた哀しみを、一緒に背負い涙する強さ。皆”バンド”である。
(『ナカナイと決めたお前の代わりに、アタシが泣くよ』という最強の情念アーツをキメたマスキングさんについて語り始めると、ガンダム00セカンドシーズン第3話のマリナ・イスマイールと絡めて五時間はトぶので省略する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
ホント強がりの仮面の奥を流れていく涙を、理解ってやれる人に弱い)
と思ったけども、レイヤさんの聖人っぷりについては今話しておいたほうが良いと思うので話す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
レイヤさんが『もう一度、会えたから』で我欲を引っ込めないと、もう感情がネトネト糸を引く女殺油地獄が展開されて話は終わらない。まぁ終わらなくても良いんだが、バンドリ2ndはそういう話でもない。
ある種の都合の良さを背負って、そしてレイヤさん個人の聖性ゆえに、レイは花ちゃんとの思い出を、強い表情の奥に噛み殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
でもそこには、取り返しの付かないものを取り返し、どうにもならないものをどうにかしたいという、人間なら当たり前の感情が渦を巻いている。
マスキングさんはそういう業を感じ取る柔らかなセンサーを、ヤンキー顔の奥にきっちり鍛え上げていて、だからこそ泣いた。柔らかな魂が、秘めた哀しみに感応して水となったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
それは美しく意味のあることだ。あの涙に意味がないなら、世界に価値あるものなんてなにもないほどに大事なことだ。
そういう美しいものを、自分のために絞り出してくれるドラマーとバンドをやっていることは、レイヤさんにとって幸福なことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
既に語られた物語を、なかったことには出来ない。ポピパが積み上げたストーリーに、レイは入り込めない。どちらかを選ばなきゃいけなくて、花園たえはポピパを選んだ
そしてレイヤさんは、それを受け止めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
哭きたかろう。吠えたかろう。でも笑顔で、親友の背中を押すことにした。大切な人を、自分といるよりも幸福にしてくれる未来へと。
その優しさは少し哀しく、とても美しい。
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『僕らの音は 世界に憑依する』と歌う”R・I・O・T”が目指す、広い”世界”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
プロバンドとして、スキルバリバリで引ききり、たくさんのファンの声援を浴びるあり得た未来。
おたえとレイヤは、青く美しい世界の果てで、それを夢見る。
でもそれは、あくまで夢で。静かに寂しく、醒めていく。
花園たえには、あのプールから見た世界の広さとレイヤさんの微笑を、絶対忘れてほしくないなと思う。忘れない子だなとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
あの時繋いだ手が、思い出の路面電車(爆エモ核弾頭か何か…?)が。RASとしてのラストライブで打ち合わせた拳が。過ぎ去っていく過去が。後悔と決断が。
全て夢でも嘘でもなく、確かにそこにあったことを覚えていて欲しいなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
おたえはポピパ。それはお商売の都合としても、たえ自身の心の動きとしても、揺るがせられない決定だ。でもだからといって、それが振りちぎったもの全てが、嘘になるわけじゃない。
マスキングさんはそういう無情なる美しさを、闇夜の公園(かつて子供だったあらゆる存在が、寂しさを込めて振り返る場所)でレイヤと隣り合いながら、静かに見据えたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
それはRASに残る二人の、旅立つ花園たえの音楽を、多分美しくしていく。して欲しいし、しなければならないだろう。
この永訣をいかなる歌に変えていくかは未来の話として、まずは過去の始末である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
複雑な感情を交錯させ、自分たちのポジションを再確認したポピパは、いつものアーパー集団っぷりが鳴りを潜め、襟を正して感謝と謝罪を伝える巡礼に、五人で旅立つ。
RASの”凄味”を肌で感じる後半もそうだが、一期でやっちゃった失敗からちゃんと学んで、未熟なりに改めている様子が強く垣間見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
一年生の香澄は相当空気読めなくて、その恐れ知らずが道を切り開きもしたんだけども、同時に色々事故もあって。
今の香澄は爆発力を残したまま、止まり方を学んだ。
『いつでも元気で明るい戸山香澄』でなければならないという強制力が、いい形で削れたからこそ、今回香澄は凄く落ち着いておたえの意志を組み、バンドリーダーとして先頭に立って謝罪に付き合える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
幼い万能感に浮かれて、自分と世界を客観視出来なかったSPACEの少女は、もうそこにはいない…かな?
SPACEのオババにガツンと殴られて、声は出ねーわ涙は出るわ、散々迷ったからこそ、今回”正しい”対応ができる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
ポピパとして一年、バンドを頑張ってきたからこそ”RASのHANAZONO”の凄味も判る。
学びと変化をリセットせず、『らしさ』を残したまま成長させてくれる描写が、静かだが強いと思った。
他メンバーも一年前なら、もうちょい激情を爆裂させてたかなぁと思うわけだが、今回それぞれ不安を噛み締め、怒りを拳に込め、上手く首輪をつけていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
高校二年生。まだ感情のまま振る舞うしか無い子供であり、獣の飼いならし方を学ぶ大人でもある年齢。微細な筆で、丁寧にその空気を切り取っていく
ポピパ謝罪行脚との距離感は人それぞれで、燐子はペコペコし、パスパレは笑顔で切り返し、友希那は厳しくも正しく、優しく向き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
六花はステージモンスターっぷりが嘘のように、憧れのバンドとの感情ゼロ距離戦闘に赤面する。本当に色々である。
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友希那さんもRoseliaで、今のポピパ以上の大嵐を潜り抜けた。だからハードコアに当たりすぎるのを止めて、”次”を見据えた言葉をかけたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
バンスト二章を履修してからの”Brave Jewel”は、異常に刺さるな。あの湊友希那が、多様性と弱さを肯定している意味…SMSの嵐を潜り抜けたからこその”歌”…
馴染みのメンバーに筋目を通し、ホッと一安心のポピパメンバー。しかしおたえの顔にはまだ陰りが残り、最後のけじめを付けに行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
白いプロデューサーシートは、チュチュ様の見据える世界とHANAZONOの距離感そのものだ。
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俺は、チュチュ様は偉いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
情熱が溢れすぎて不器用なほど、音楽を信じ音楽をやる自分とバンドを信じている熱量も、衝突を恐れず未来を切り開いていくパワーも、とても良い。
『主人とメイド』というロールにズッポリと思いきや、同い年の気安さが時折顔を見せる、パレオとのキャッキャも良い。
そんなキャラクター単位の良さと同時に、チュチュ様が怒ることで作品世界が緩まずすむ、メタレイヤーでの仕事が偉い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
既に関係とキャラが出来上がっている既存バンドには、なかなか背負えない重たい泥。
未熟に怒り、不実に吠える正当性を誰かが担当しないと、作品世界は過度に都合良くなりすぎる。
たとえレイヤさんが微笑んで背中を押しても。巻き込んだ他のバンドが笑顔で許しても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
おたえが生み出した不協和音は正当に怒られて然るべきだし、チュチュが怒ることで『このお話は、そういうイヤな身贔屓をしないよ』というメッセージを焼き付けることも出来る。
チュチュ様は誰かが言わなければいけないことを、ちゃんと言った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
それは作品世界のベタつきをコントロールする劇作の視座から、プロデューサーとしてバンドをコントロールする責任感から、HANAZONOに強く惹かれていた少女の心から、同時に出ている。
色んなモノが入り混じった吠え声だったと思う。
そういうモノがちゃんと出てくるお話のほうが、やっぱ僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
チュチュ様にもRASにも、情と道理があり、スキルで繋がる完成度の高いバンドだからこそ見える景色がある。
それは慣れ親しんだポピパの温もりとは真逆で、でも(あるいはだからこそ)同じだけの価値がある。
そういうものは、チュチュ様の暴君熱血プロデュースから生まれてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
確かに当然、完璧ではない。
感情が荒れ狂うままに大暴れ、肥大した自我が他人と衝突し、己を改める気配もなし。マスキングの強みである奔放なドラミングを、自分の設計図で殺してしまっている感じもある。
しかしRAS圧巻のステージは、チュチュ様の迸る情熱がなければ形にならなかった。バンドに正式に向かい入れられることで、居場所のない傭兵だったレイヤやマスキングが何を手に入れたかも、あの夜の涙でよく判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
チュチュ様は未熟なクソガキで、同時にとても立派なことをしている。僕はそう思う。
主催ライブ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
その重責に悩めばこそ、過剰な重荷を背負い、周囲を振り回した。RASはポピパの悩みなど通過点とばかりに、世界観とスタイルを顕示した主催ライブを、”R・I・O・T”圧巻のパフォーマンスを堂々披露する。
ステージングで全て理解らせる、パワー溢れる演奏が良い。
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プロの凄みを解ってる側として、超絶早口オタクに変身した大和麻弥 with テキトーな相槌ロボと化した若宮イヴと、ポピパの面々のリアクションの差。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
それはポピパがある種の”枷”として、花園たえの可能性を閉じ込めていた事実を突きつけられたからこそだ。
有咲-レイヤ、麻弥-マスキング、イヴ-パレオと人間関係のラインを隙なく確認して、今後につなげる描写の作り方とかも良かったが、やはり四人の表情が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
自分たちの知らない”HANAZONO”を、引き出してしまったRASの凄さ。一年楽器を握ったからこそ、それは判る。判ってしまう。
その衝撃が醒めないうちに、舞台袖で『(やっぱレイにはHANAがひつようね!)』と確信したチュチュ様が、パンダカラーのメイド引き連れて横槍を入れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
おたえが一歩先に思い悩んでいた”音楽性の違い”が、グラグラとポピパを揺さぶる。チュチュ様のアプローチは、今度は功を奏するのか。
そんな感じで次回”ホシノナミダ”である。StarがBeatでTearがDropである。約束された”死”…文脈と歴史と感情の複合爆撃が、俺たちを更地にしていく…見える見える未来が見える…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
次回予告の情報量で脳髄を焼かれ、胡乱な電波を受信したりもしたが、まぁ大丈夫です。虹色の薬も飲んでる言ってんだろ!
まー次回予告の段階で蔵っていう”ホーム”に足を踏み入れ、メシも一緒に食ってんからそこまで荒れ狂うとは思わんけども、チュチュ様も大変な役回りよなぁ…物語に波風とうねりをもたらす”憎まれ役”が、ちゃんと正当性と可愛げ持ってるって描いてくれる筆は、ほんとありがたい。頑張れチュチュ様。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
(こういう物語内部の”仕事”に注目して、キャラやアニメを評価するのはやっぱ、TRPGやってるからかなぁ、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
ある程度俯瞰で物語を見て、解体して調整したほうがゲームは楽しくなる。それが肌に染み付いてるんで、チュチュ様の立ち回りはスゲー評価したくなる。巧いし強い。パレオも偉い)
自分たちの『いつもどおり』が、”おたえ”の中に眠る”HANAZONO”を押し殺していたかもしれないと、悩む少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
出会ってしまった星の鼓動は、一体どんな音を奏でていくのか。花園たえというモンスターの素顔を、アマチュア青春バンド・Poppin'Partyはどう受け止め、歌にしていくか。
RAS内部の激アツエモーション、レイヤさんの聖人力、マスキングさんの侠気爆裂人情人間っぷりもしっかり描き、二期クライマックスに見て力強い導線を引くエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月8日
この導火線をどう活かし、ポピパ主催ライブ、六花のRAS加入へと繋げていくか。来週も楽しみ。