スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
凶悪な暴力と重たい現実が、星の戦士を押しつぶす。
敗走を重たく受け止めるひかるを、ノットレイダー幹部が追い詰めていく。
星の光を繋げ、星座を生み出す想像力。その是非が今、決戦の中で問われようとしていた…。
そんな感じのスタプリ1クール目、勝負の節目回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
ひかるの子供っぽさをポジティブに描いてきた筆が、その影になっていた現実の重さ、シリアスな暗さを切り取っていく。
宮本SDがHUGっと第18話でも見せた明暗の冴えを使いこなし、物語の核を鮮烈に描くエピソードとなった。
今回は影も光も色濃く、ねっとりと重たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
特別な戦士に選ばれ、夢の宇宙に踏み込む特権。浮かれていたひかるは、敗北(が、他人を追い詰めた事実)に強く傷つく。
さらに特別捜査局の長い影が、傷ついた少女たちに伸びる。その筆致は重たく、ザラついたリアリティがある。
ひかるは夢ばかり見ている子供で、その輝きがここまでずっと書かれてきた。しかし前回、夢だけでは動かない現実を突きつけられ、ひかるはスッと醒める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
遼じいとのやり取りを見るだに、暴走しがちなイマジネーションが彼女自身を傷つけた経験は、過去にもあったようだ。
アーパーな底抜けバカに見えて、かなり周囲を気にかけているひかるの性格は、これまでも描写されてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
それは過去に痛い目を見て、自分なりに時分を押さえつけることで手に入れた、バカなりの処世術なのかもしれない。その生々しく苦い味わいが、アホ主人公に良い陰影を付ける。
ひかるが明るく振る舞っているのは、結構頑張って朗らかにやってんだなと、プラネタリウムのやり取りで思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
遼じいはそういうひかるのナイーブさを、年長者として受け止め、優しくされた経験がひかるに星へのあこがれを育んだのだろう。過去は直接語られないが、色々想像が膨らむ。
その努力は当然無駄ではなくて、新しく出来た友達に希望を与え、楽しい日々を作ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
カッパードさん達”大人”が、子供が知りえない生老病死の現実を重たく突きつけ、ひかるが身動きできなくなった時。
ひかるに救われた仲間たちが、その背中を支える。
ひかるは子供だから、世の厳しさも、奪われたり奪ったりするルールも知らない。それなりに幸福で、それなりに個性を世間と摩擦させながら、強すぎる痛みから適切に守られ育ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
カッパードさん達は、どうやらそういう”当たり前”から遠い過去を背負っているらしい。
しかしだからといって、彼らのように『奪われたから当然奪う』というルールに身を浸してしまうのは、あまりにも悲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
悲しみの星を恨みと暴力で結んで、凶悪な星座を描く。そういう不幸の連鎖にララが落ちなかったのは、恵まれた星でぬくぬく育ったひかるの輝きが、彼女を照らしたからではないか。
子供は現実を知らない。それはとても重たい言葉で、賢いひかるはその重量に足を止めてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
世の中には自分の知らない地獄があって、”楽しい”しか見ていなかった自分の想像力は闇を見落としていた。
そういう事実を鑑みれる知性と慎みが、ひかるにはちゃんとあるのだ。本当、ただのバカじゃないのだ
自分の未熟さに囚われかけたひかるは、無明の宇宙の中で一人きりになる。それをナビゲーションするのが、彼女に出会ってプリキュアとなった、三人の仲間である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
確かに、ひかるが見据えた想像力の輝きは、現実の闇を見落とすかもしれない。でも、それは生まれる輝きを全否定するものではない。
故郷ボーボー燃やされて、でもひかると出会って笑顔を思い出して、絶望に抗う力を手に入れたララ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
それに比べりゃ、”家”の重圧に飲まれそうだったかぐやの陰りは、軽いのかもしれない。
でも、人が抱えた不幸は天秤で図れるものではない。それぞれに重たく、それを半分背負ってあげる優しさは尊い。
貴方はそういう、かけがえのないことをちゃんとやってきたんだよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
絶望に膝を折った”大人”が、『何も知らない子供のくせに』と蔑する想像力の光、楽しいを放散する朗らかさが、私達を救ってくれたんだよ。
挫けそうになったひかるに、真っ直ぐ告げる仲間たちの瞳が、僕にはとても眩しく、優しく見えた
無力さ故に瞳を閉じかけていたひかるは、仲間の輝きを受けて立ち上がり直す。それはひかる自身が発していた想像力の光が、巡り巡ってきて彼女を照らし直す構図だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
現実は重い。子供は何も知らない。
それでも、子供である私がやってきたことは、やりたい夢は無駄じゃない。
カッパードさん達がぶつける暴力に拮抗する形で、ひかるは夢見がちな子供時代を厳しく試され、現実の重さを知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
自分の無力を学び、成し遂げてきた事実、見据えるべき夢を正しく計量する。星を支えに未知の海へ漕ぎ出した、太古の航海士のように。
児童向けの作品が子供に向けて何かを語る時、子供が向き合うには重すぎる闇を排除するのではなく、子供でも実感を持って受け止められるファンタジーに変換して、真摯さと重たさを宿して描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
闇と光が描き出す星空の下で、星奈ひかるの幼年期が終わる今回は、スタプリが目指す方向性も照らしている。
素敵な衣装、凄い力、楽しい放課後。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
甘いお菓子で子供の欲望をドライブさせるだけでなく、それが拾いきれないもの、子供でしかないプリキュアが背負えない無力から逃げず、ちゃんと描く。
描いた上で、その重さを乗り越えうる希望を、響き合う光を信じ、書ききる。
それは児童向け作品を描く上で、現実の中にフィクションをあえて問う上で、とても大事な姿勢だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
綺麗事は脆い。それじゃ何も解決しない。
そんなことは、絵空事を描いている作者達は重々承知だ。
それでも、だからこそ。重たさを宿したお伽噺を語り切ることが、現実の力になるかもしれない。
そして多分、それは”想像力”と呼ばれる力なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
カッパードさんの激情を受け止めたひかるは、世界の陰りを思うだろう。自分とは違って踏みにじられ、優しくされなかった人々のことを考えるだろう。
それは今までひかるが見据えてきた楽しい想像と同じくらい、大事なイマジネーションだ。
子供がそういうものに向き合うのは、とてもショッキングで怖いことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
叙情的な筆致で丁寧に、ひかるが闇を前に震え、無力を前に涙を堪える様子を追ったのは、とても良かった。
自分が知らないことがある。それが世界を律している。自分は無力である。
そう思い知るのは、いつでも怖い。
でもその事実を足場似、それでもイマジネーションを闇と光に伸ばしていくことが、子供(そしてかつて子供であった大人)の世界を広げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
想像力の筆以外に、暗闇に満ちた世界を描き直すデバイスはないのだ。
それに出会うことで、子供は適切に大人になっていく。一つ一つ、出来ることが増える。
今回のひかるの歩みはひかる個人を超えて、児童がどう現実を認識し、震えて怯え、そこから他者の助け(他者に分け与えた、己の善性の反射)を受け止め成長していくかのプロセスを、ロマンティックに的確に描いたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
そしてその成長は、児童を終えたと見なされる”大人”にも共通なのだろう。
絶望の荒野に投げ出されたララに、ひかるが人生の潤いを取り戻してくれた。家の重圧から、まどかを救ってくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
プリキュアの助けと同じくらい、無能力な遼じいが庇ってくれたこと、”敵”に為りうる香具矢局長を助けに死地に向かったことが重いのが、今回好きだ。
まーたプルンスが英雄の決断を引き立てる伴星の仕事を完璧にこなしていたけども、利害だけ考えりゃ見捨てれば良いのだ。逃げれば良いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
だが、プリキュアは暴力を前に引かない。守るべきを守り、闘うべきと闘う。
『でも、行かなきゃ』
断言したララの瞳に、正義という星が宿る。ヒロイズム…。
局長が部下の退却を確認してたり、ノットレイダーにも後詰めがあったり、今回細かい部分の描写に気合が乗っていて、エピソードの質感がとても良かった。隙がなく、キャラが生きてた印象。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
みんなで作った素敵なロケットがボロボロになって、悲しい少女たちの描写とかね。
素敵な放課後の魔法を邪魔する、ガミガミうるさい”大人”として局長を描くことは簡単だと思うが、北半球に存在するはずのない十字星を見上げる瞳は”なにか”を見出していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
敵幹部と同じように、プリキュア周辺の”大人”も深く掘ってくれると、面白くなりそうだなぁ。
バケニャーンの一歩引いた動きの理由とか、ノットレイダー幹部の背負った地獄とか、色々気になる伏線も今回大量に撒かれたからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
宇宙大好きJCの波動を浴びて、凄く元気になる悪の大魔王とかね。大ボスがチラ見せするところとか、凄く序章終了っぽくてワクワクするのう。
とまれ、ひかるに襲いかかった試練(ディシプリン)は、彼女に導かれプリキュアとなった仲間の優しさにより、力に変わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
ウェイファインディングにおいて導きとなった、南十字星。そのエピソードをスタプリの”真ん中”として、話を牽引するひかるの強みに結びつける話運びが、馥郁と豊かでした。
カッパードさん達が代表する超常的暴力の現実は、新合体技でどうにかなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
次に迫りくるのは現実的な”大人”の脅威、政府機関と”親”による抑圧との戦いである。
プリキュア VS 世間…ッ! 良い切り口だなやっぱ。
ずっしり重たいシリアスの後に、トンチキ映画撮影で話のネジを緩めてくるの”緩急”だなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
HUGっとのさあやに引き続き、まーたプリキュア女女巨大感情映画かよ…待ってました、と言うしかねぇな…。でもなんでニンジャなんだろ…。
宮元コンテに色濃く宿った叙情性が、ひかるの重たい悩み、それを足場に成長していく輝きを見事に描く、とても良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
このぐらいパワーのある話が序章の最後に来ると、やっぱ満足感が凄いですね。
4つの星が出会い、一つの星座となるまでの11話、非常に面白いです。
そしてここからまだまだ、物語は続く。えれながどんな陰りを持っているかも、敵幹部たちの事情も、香具矢家の家庭内闘争も、ドンドン掘り下げていってほしいと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
まずは来週、トンチキ映画撮影。第10話、第11話でかなり”ひかララ”がキテるんで、もう一発強いのお願いします。来週も楽しみ。
あ、局長が『防護服は機動性が下がる、脱衣しろ!』とか唐突にいい声で言い放ったシーンは、笑うところじゃないのに爆笑しちゃいました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
『脱衣しろ!』は消防とか自衛隊とかの言い回しなのか、局長の言語センスなのか…。どっちにしても、あのオッサンおもしれーなマジ。
追記 ひかララは血みどろの戦友感があって、百合っつーかフッドな感じがするのが好きです。
スタプリ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
奪われるものの苦しみを免罪符に、奪う側に回るノットレイダー。ひかるの心を傷つける現実の重たさ。
それを同じく奪われてなお奪う決断をしないララが『そんなことない!』と否定するの、ララにしか許されない見せ場だったなぁ…そしてそう言わせたのは、ひかるの想像力の光っつー。
『そんなことない!』ってまぁ過去作でも幾度も顔を出した、プリキュアの”定番”じゃないですか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
いくらでも手癖でインスタントな感動装置に為りうるセリフを、誰がどう言うのか考え通す。そこを怠けないことで、定番がエバーグリーンな輝きを発し直すんだと思います。
追記 ぶっちゃけ妖怪の人文的側面をここまでダイレクトに繋げてくるとは思ってこなかったので、嬉しい不意打ちでした。
あ、世の片隅に追いやられた被差別集団って顔を持つノットレイダーが、被差別民の秘史をファンタジーの中に背負った妖怪モチーフなのは非常に良く出来ていると思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月14日
鬼、天狗、河童、イッポンダタラ。みんなルーツ(の一部)に、虐げられたマイノリティの想念が宿っとるわけで。