イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 19/05/03 シノビガミ戦国編『玉繭忍法帖』

昨日は"隻狼"に脳髄をやられたシェンツ先生が、シノビガミ戦国編で令和初セッションを飾ってくれました。

シナリオタイトル:玉繭忍法帖 システム:シノビガミ戦国編 GM:シェンツさん

アカメくん:錆風:20代男性:甲賀:律 傀儡師を表の顔にする甲賀忍び。組織のルール、規律の檻を重視し、心を殺して刃と化す生粋の忍者。だがその奥底には一つの秘密と、熱のある感情を隠している。
新米くん:柳生弦之助:25才男性:柳生:忠 柳生一族が誇る弓の名手であり、一人で砦を支えきった伝説を持つ若武者。人の在り方、あるべき国にしっかりしたヴィジョンを持ち、揺らぐことのない真摯な剣。
二次元くん:葛葉:22才女性:透波:忠 甲斐武田忍びに所属する、歩き巫女の一人。軽薄な態度の奥に鋼のような忠義を抱え、謀略と因縁が渦を巻く戦場を自在に泳ぐ。根無し草の仮面をかぶる、冷厳なる烈士。
コバヤシ:神遊(カミュ):15才女性:伊賀:情 紅毛混じりとして生まれ、伊賀の里でも居場所を見つけられなかった若き天才忍者。幼い頃の思い出と喪失を取り戻すべく、戦場で己を支える信念を見つけていく。

というわけでありがとう山風先生! 伝奇忍者小説へのリスペクトモリモリの超伝奇シナリオでした。"どろろ""鬼滅の刃""隻狼"…おどろおどろしい和風伝奇が環境内で超流行っているタイミングで、シェンツ先生の伝奇データベースがフル稼働するアツいシナリオがやってきました。
発売から10年、シノビガミも"古いシステム"となりました。実際遊んでみるとストレスフルな部分も当然あり、10年間のシステム進化を痛感できるセッションにもなりました。
が、対立構造が秘密を共有し、感情を結ぶ中でその裏側を覗き込んでいく二重構造は、やはりシノビガミ独特のもの。各種システムが『表と裏が食い違い、情と忠義が相食む忍びの地獄』をいかにTRPGで再現、体験していくかに集約しているかを、しっかり確認することが出来ました。

シノビガミは『忍法帖モノ』というジャンルをよく見据え、その醍醐味をいかにゲームに落とし込むかしっかり考えてあります。実プレイで許容可能な複雑さ、危うさをギリギリすくい上げることで、ヒリツクような魂の衝突、譲れない価値観の醍醐味を実プレイの中、色濃く味わうことができる。そうするために、システムが出来ている。
ゲームシステムというものが、なんのために作り上げられているか。それを使って、誰と、何を目指してTRPGをしているのか。GMの用意した魅力的な舞台と筋立て、それに引き寄せられ集った運命の四人が、それぞれの意志と敬意を持ち寄って生まれたセッションは、そういう根源をしっかり見せてくれました。
こういう体験をすると、僕は『TRPGをやっててよかったな』と強く思います。卓上の仮想世界に生きる存在を、真剣に考え生き様を導いていく。キャラクターの背中越しに、無限の可能性、広がるイマジネーションを堪能する。それが一人で終わらず、"みんなの物語"になる。
それを補助するためにこそ、世界観やゲームシステムは存在している。目の前のあなたと、それに向き合う私がいて、遊ぶ機会と練り上げられたシステムが噛み合うことで、奇跡のように物語が広がっていく。そういうとてもプレーンで強烈なゲーム体験を、たっぷり吸い込むことが出来ました。

他PLのみんなはやはり真摯にゲームに、対手に向き合ってとても良いロールをしてくれたのですが、錆風には特に助けられました。巨大な悪を討ち果たした後、大団円に向かうと思いきや、己を縛る心情と因縁に突き動かされ、仲間に刃を向ける。
盤上この一手。このキャラ、このシナリオ、このタイミングでならそうするしかない、という決断に背中を向けず、血を流すような切実さでキャラクターの行動を宣言していく錆風からは、ゲームと、ゲームを共有する僕らに対し真剣でいたいというPLの想いが、分厚く伝わってきました。
譲り合えないものが衝突した時、ダイスとゲームシステムにジャッジを求められるのがTRPGの良いところで。ぶつかりあうしかない二人がどんな天運を掴み、物語はどこに転がるべきか。馴れ合いでも強制でもなく、公平にサイコロの指し示す方向を共有し、強く納得しながらエンディングを迎えることが出来ました。
それは忍法帳の無惨無常な空気と、PvPを前提としてシステムとして組み込み"勝者"の定義を鮮明にしたシノビガミあってこそ、腑に落ちた決断だと思います。よく出来たシステムが、物語の萌芽を最高の形で育て上げ、卓のみんなで共有できる。ダイスを振って、複数人数で遊ぶTRPGだからこその物語を、敬意を持ってしっかり育めたセッションでした。

僕は幼い思い出、美しい幻想と一瞬出会い、奪われ、それを取り戻すべく駆け抜けた少女忍者をやりました。簒奪を奪え返す力を求め擦り切れていた魂が、運命の再開、戦場の血風。ぶつかり合う絆によって道を見つけ、大事なものを思い出す。そのために、叛逆と決断を積み重ねていく。
そういうストーリーをしっかりやりきることが出来て、とても満足です。普段は増上慢になるのであんま言いませんが、今回は衒いなく言い切る。俺はいいプレイヤーだったし、ロールプレイは超かっこよかった。最高でした。
とても良いセッションでした。TRPGって何が面白いのか、令和の最初に再確認できたのはとても良かったと思います。同卓していただいた方、ありがとうございます。今後流れていく時代の中でも、良いセッションに恵まれますよう。